海外の日本食レストラン数が18万店に到達|次に来る輸出トレンドは「食材」より「味」
「海外の日本食レストランが増えているから、日本の食品を輸出すれば売り上げが伸びる」
── この考え、注意が必要です。
結論から言えば、海外市場における日本食輸出の成長を左右するのは「食材」ではなく「味」です。
現在、海外現地では日本食を提供する店は増えているものの、味は均質化し、激しい価格競争が進んでいます。
結果として“日本食の本来の味”が薄まりつつあります。
私たちCOUXUが見ている次の輸出のトレンドはシンプルです。
輸出で伸びるのは「食材」より「味」です。
海外の日本食レストラン数は18.1万店に到達。しかし輸出で伸びるのは「食材」ではなく「味」。
20,000回以上海外企業と商談をしてきたCOUXUの実績から、日本食輸出の次の勝ち筋を解説します。
海外の日本食レストラン数増加が日本食輸出に与えるデメリット

出典:JETRO 海外の日本食レストラン数は18万1,000店に
2025年12月のJETRO発表データによると、世界の日本食レストラン数は約18万1,000店に到達しました。
全体では6,000店ほど減少しつつ、増えているのはアジア圏、一方で中国での店舗数が減少しています。
また、オーストラリアなどでは同じ寿司のチェーン店が“同じ地区に複数店舗ある”レベルで浸透しています。
タイでは特にその数が多く、約6,000店舗、カテゴリもそば・うどん、居酒屋、喫茶(カフェ)などへ広がっています。
次いでインドネシアは約2,580店舗、ベトナムでは約1,820店舗など毎年数が増加しています。
ただ、日本食を提供する店が増加することによってよくない事も現地で起こっています。

同じような料理を提供する店が増えることで使う食材も似てしまうため、飲食店毎の味の差が少なくなります。
結果として「安くて、ほぼ同じ質」なら安い価格の方へ現地消費者が流れ、価格競争が始まります。
さらに重要なのが、「店側は毎回日本から輸入するより、現地で調達することが多い」という実情です。
そうなると、日本で食べる味と海外現地で食べる味に差が生じてしまいます。
これが続くことで、“日本食そのものの価値”が薄れてしまいます。
COUXUが考える次に輸出が伸びる製品
なぜ「食材」ではなく「味」の輸出が伸びるのか。理由は3つあります。

食材・原料は、規制と調達難易度が重すぎる
野菜などを日本から持ってくるのは規制・認証が絡み、肉に関しても国によって出せないという
状況に我々もよく直面します。
温度帯、検疫、成分規制、認証、ラベル…ここで詰まると、現地企業との商談以前に物が出せません。
店舗数が増えるほど、味は“ローカルへの最適化”で本来の味からかけ離れてしまう
飲食店、特にチェーン店などはオペレーションが重要です。
原価・安定供給・手間の少なさが店舗運営に必要な指標となり、食材に関しても現地調達が最適な手段となります。
結果、だしや麺の質、醤油など味と質の現地でのスタンダードが変わり、「これが日本食ね」といった“現地特有の味と質に対する基準”ができてしまいます。
次に伸びるのは日本の味を再現するための調味料・だし・即戦力の加工品
これらを踏まえた際、次に輸出量が増えるのは調味料・ドレッシングなど“日本食本来の味に関わるもの”と我々は考えます。
さらに、缶詰・冷凍食品のように「開封したらそのまま食べれる」「乗せるだけで料理ができあがる」形なら、
効率化が必要な厨房のオペレーションにも導入が容易です。
ここで重要なのは、輸出の最終目標をどこにするかのゴール設定です。
理想は「日本食レストランだけが使う調味料・完成品」で終わらず、
ローカルのレストランの調理にも波及すること。
また、「超有名店舗で使われている調味料・味」といったブランディングができれば、
飲食店から小売店に並んだ際にも消費者からの購買が促進されます。
この流れが出来上がると、輸出が単なる売り上げを支える施策ではなく、主力事業となります。
COUXUが提供する「もう一つの視点」
私たちCOUXUは、バイヤーからの日本から仕入れいたいという要望を基にこれまで20,000回以上の日本企業と海外企業の商談を支援してきました。
その中から今言えることとして、「これはとても品質の良い商品です!美味しいです!」といった営業文句は
もうバイヤーは聞き飽きています。
“本当の味を送り、現地でも日本を再現させ、広げる”
ここまで実行できる企業が輸出を継続させ、輸出量自体も増やし続けられると考えています。
特に調味料を提供している日本企業がやるべきことは、次のステップです。
Step1:「その調味料を使っている店 = 美味しい」といったイメージを作る
調味料を軸に「その店に行きたい」といった状態を作ることができれば、飲食店と家庭の両方にも高確率で波及します。
スーパーマーケットや小売店の“棚取り”から始めるのではなく、まずはどこで使われている商品と言うための飲食店への導入が近道です。
Step2:輸出しやすい形状にする(調味料/たれ/だし/即席ソース/冷凍・常温加工)
輸出が難しい原料で苦しむより、調味料や完成品といった”味”を輸出する。これが勝ち筋です。
Step3:料理と一緒に提供する”物”も輸出する(食器・テーブル・インテリア)
日本を伝えるには食品以外に空間も重要です。
店の体験価値を向上できると、味の価値も上がります。
ここまでセットで考えられるとより良いでしょう。
Step4:最後に“正しい調理方法”を提供する
最後に、正しい調理方法を現地で再現できるかが最も重要です。
正し食材で、正しい調理法で提供できれば本当の日本食を現地で広げることができます。
まとめ_”トレンドに合わせた輸出の実現”へ
海外で日本食レストランが増えている。これは確かに追い風です。
ただし、その追い風で伸びるのは「食材を出せる会社」ではなく、そのトレンドに適した形で対応できる商品です。
大切なのは、単純に日本食ブームだから輸出をするではなく、
〇〇を完全再現する出汁、タレといった“味の強み”を言語化し、商品に合う市場・販路・価格帯を定め、
複数の現地バイヤー/飲食店の声を取り入れながら輸出に対して再現性のある勝ち筋を見つけることです。
私たちCOUXU株式会社は、「いま何が起きていて、次に何をするべきか」を一緒に作り、実行します。
こういった海外のトレンドに適応したい、輸出を始めたいがそもそも何から始めたらいいかわからないといった企業様は、お気軽にご相談ください。
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