「知人経由の輸出」はなぜ止まる?中小食品メーカーが陥る構造的弱点と回避ルート
私たちCOUXUは、これまでに20,000件以上の海外商談を創出し、特に中小・地方の製造業の海外展開を支援してきました。その中で、「たった1人で海外営業」を担当されている経営者様からいただく相談には、共通する深刻な課題があります。
それは、「今は知人の紹介で輸出しているが、その人からの要望がなくなると、取引も止まり、海外売上がゼロになってしまう」「自分一人で海外営業をしているため、他の選択肢のノウハウがない」という、属人化による構造的弱点です。
この状況を「仕方がない」「人脈がないから」と片付けているなら、それは思考停止です。偶然に頼る「運任せ」の体制は、ある日突然終わりを迎えます。しかし、ご安心ください。たった1人で海外市場と向き合っている方でも、「判断基準」さえ押さえておけば、知人からの紹介に依存せず、着実に海外売上を伸ばすことは可能です。
本記事では、製造業の経営者様が海外進出を成功させるために、以下の点に焦点を当て、販路拡大のヒントや、継続的な輸出を生むノウハウを提供します。
- ・なぜ「知人紹介」依存型の輸出が止まりやすいのか、その構造的弱点
- ・デスクリサーチでは手に入らない、「自社に当てはめる」ための実践的な情報収集のノウハウ
- ・偶然ではなく需要からスタートする、COUXUが提言する最短ルートと、取るべきアクションプラン
目次
なぜ海外売上は伸び悩むのか?現場のリアルが示す構造的弱点
紹介ベースの輸出が止まりやすい“構造”の闇
中小企業の中には、知人の紹介など偶然のつながりで輸出が続いているケースが少なくありません。しかし、この構造では“つなぎ役”の動きが止まった瞬間、売上も止まります。背景として、輸出が回っていた理由が相手側の手配に依存し、商品を出してるのみで社内には判断基準や仕組みがないからです。
本記事を読まれている方も、
・「もっと海外を伸ばしたい。でも何をしたらいいのか分からない」
・「自社に海外営業ができる人材がいない」
と考えることがあるのではないでしょうか。
これは努力不足ではなく、判断材料が整っていないために行動そのものが止まってしまう状況です。ただ、この状態をCOUXUは「あと一歩」で輸出を伸ばせる段階、と捉えています。
すでに海外で買われた実績がある商品は、海外で価値が証明されているという大きな強みがあるためです。
さらに、これから初めて輸出していきます、といった企業様と比較すると何が抑えるべき情報か判断は自然に身についていらっしゃいます。
これは次の国に展開する際にも活かせる“武器”です。一方で、こうした価値ある情報が社内で整理されず、活かしきれていないことが現時点で最大の弱点と言えます。
貴社の判断が止まる背景
海外を伸ばしたい、しかし行動が止まってしまう背景には、次の3つの構造的な失敗が存在します。
1_そもそも海外営業できる人間がいない
あなた自身が海外に詳しくない、また社内に海外営業マンがいないため、「現地の友人に任せてるから安心」と、営業は知人に、物流は商社経由でと全てを外部に任せておけば安心だという気持ちが働くのは自然です。しかし、判断基準がないまま任せ切ると、営業意欲は友人頼みですし、いつ売上が上がるのかは不透明なままで、最悪の場合その友人がこの仕事から離れた瞬間に輸出はゼロになります。

2_情報は多い。けど“自社に当てはめられない”
たとえば、上記で挙げた情報元から「香港で米菓子が売れている」という情報が入ったとしても、 それだけで「自社の米菓子が香港で売れる」ことにはなりません。
汎用情報を自分で自社戦略に変換できず、どこの国のここ!という具体性まである状態でないと判断に迷い、結果的に動けない状態に逆戻りとなります。
3_自社商品の“良さ”をどう魅せたらいいかが描けない
多くの企業は、過去に買ってくれた海外の知人企業が「なぜその商品を選んだのか」という評価軸を言語化できていません。現在の輸出の紹介元や商社の担当者も理由を説明してくれるわけではなく、
「何が評価されているのかわからない」「既存実績のある国は相性良さそうだけど根拠はない」というお声をよく伺います。こうした核心が整理されないまま、海外向けの資料が作れず、準備ができていない状態の企業様が実は多いのです。確かにこの状態では、商品を海外に広げていく戦略を描くことができません。つまり、“成功パターンの再現性” を確立しないまま、情報を得た先に総当たり営業をして、ただ任せたままのにすると依存構造は何も変わらないのです。
判断材料を整える海外展開時の情報収集の「2つのコツ」
20,000件以上の商談の中で、着実に売上を伸ばす企業には共通点があります。それは、営業機会を作る前に、まず自社独自の勝ち筋を作るための「実践的な情報」を収集していることです。

ステップ1:出せる国・出せない国を把握する(規制の壁)
これは最もシンプルながら最重要です。成分規制や必要書類が分かるだけで、「A社とD社は進んで良い道」と「C社は進んでも成果が出ない道」が明確に分かれます。似た商品がすでに出回っているのか、全くない市場なのか、国や市場によって、“勝ちやすい場所”はまったく違います。ここが曖昧なままだと、後戻りすら気づかず迷子になります。
ステップ2:商品に適した“販売形態(チャネル)”を見極める(利益構造の理解)
その国のどの販売形態(チャネル)に商品が最も合うかを見極めることが2つ目のステップです。例えば、ベトナムでは昔からある小規模店(いわゆるパパママストア)が2021年時点で小売市場の約88%を占めており、大手スーパーよりも街角の個人商店が圧倒的な購買チャネルとなっています。
一方、香港の健康食品市場ではオフラインの販路としてドラッグストアや薬局、ブランドショップなどが重要視されており、巨大チェーンのワトソンズはアジアとヨーロッパに8,000店超の店舗網を構えています。またマレーシアではECが急成長中。2024年の国内eコマース売上は237億米ドルで2027年には360億米ドルに拡大する見込みで、10人中8人がオンライン購入経験を持つと報じられています。
COUXUではさらに、商品の特性や容量、賞味期限に応じて、どこの棚に置けば最大限に価値を発揮できるのか、バイヤーが仕入れる理由(利益構造や棚割りの考え方)まで理解する。ここまで説明できる状態をつくることを重視しています。ここが曖昧だと、商品は棚に並んでも売れ続けませんし、最悪の場合は棚おちをしてしまい、その国では人気のない商品のレッテルがはられてしまうケースもあります。
情報収集の落とし穴と実践的な情報を取る最短ルートとは
ここからは一般的な調査手法の実態と、実際に役立つ情報の取り方を整理していきます。
判断材料を整えるためには情報収集が欠かせません。集めた情報が信頼できるものか確認するために、様々な方法で情報を獲得してくることは有効です。ただ、どの方法を選ぶかによって得られる、”自社に適用できる”情報の質に辿り着くまでの、時間もコストも大きく異なります。

AIは一般論を返し、デスクリサーチで現地視察は雰囲気は掴めても、棚に置かれる理由までは見えません。
これらの情報に共通するのは、 “自社商品の評価” だけは絶対に手に入らないという点です。
商談をすれば、知りたい情報は一瞬で返ってくる
最も実践的な情報は、実際に商品を扱うバイヤーや現地企業との対話から得られます。味やサイズ、価格、パッケージに対する具体的な評価は、いくら机上で考えてもわかりません。一方で、海外バイヤーと実際に話すと、1時間で次のことが分かります。
- ・味は現地だと濃い評価なのか薄味評価なのか、好みに合うか
- ・価格はどこまでが許容範囲なのか、別条件で交渉ができないか
- ・パッケージは成分的に通用するか、棚のサイズに適しているか
- ・現地競合と比べた強み
ここで重要なのは、1社だけの声ではなく複数社の声を聞くことです。1社が「高い」と言ってもそれはそのバイヤーの事情かもしれませんが、10社が同じことを指摘すればそれは市場全体の声であり、自社の課題を明確に示します。
行政や金融機関が主催する商談会や展示会も活用できますが、「開催頻度」が限られていたり、出展費用が高額だったりするため、年間を通して継続的にバイヤーと接触し今の情報を取得するのは難しい場合もあります。
近年はオンライン商談プラットフォームが普及し、数万円の費用で毎月複数社のバイヤーと対話できる環境が整っています。これにより、現地の声を短期間・低コスト・高精度で収集することが可能です。

COUXUが提供する「もう一つの視点」
これまで説明してきたのは「自社から情報を取りに行く」構造ですが、
COUXUのオンライン商談プラットフォームモデルはそもそも逆であり、海外バイヤーからの 「調達依頼=買いたい」 からスタートします。
最初から「このカテゴリを探している」「こういう商品が欲しい」という
具体的な需要が提示されるため、偶然ではなく需要から逆算した戦略が描けます。
海外展開を成功させた企業に共通しているのは、「売りたい」という自社の意思だけでなく、市場からの「求められている領域」を基準に戦略を組み立てている点です。
COUXUが持つバイヤーの調達ニーズを起点に商品を提案すれば、売り込みではなく“求められる側”として商談を進められ、複数の国・販路で仮説と検証を繰り返すことで、社内に海外展開の判断基準が蓄積され、任せても属人化しない仕組みが作れます。
まとめ_偶然に依存しない “選べる海外展開”へ
知り合い経由の輸出は、当たり前ですがつなぎ役が動けなくなった瞬間に海外への売上が止まります。しかし、海外展開を自分たちで掴みにいくチャンスは、探せばいくらでも出てきます。
「このまま知り合い頼みでいいのか」「一度他の方法とちゃんと向き合うべきではないか」
現在、あなたが抱えている迷いや不安は、海外輸出全般のスキルの問題ではありません。もし、迷っているのであれば、それは新しい一歩を踏み出すサインです。
正しい情報の取り方と、商品に合った販路と価格帯を定め、複数のバイヤーからの声を積極的に取り入れ、、自社で小さく検証していく型を築くことができれば、地方メーカーでも着実に売上を積み上げることができます。
自社商品の強みを自分たちで定義をし、どの市場で勝てるかを仮説立ててみようとお考えであれば、ぜひオンラインでも構いませんので弊社までご相談ください。
オンラインでの「海外市場に向けた展開のご相談」

