【海外の未来を見出す】エビデンス要求/便益優先/行動で生まれる価値/デフレ国/グローバル事業投資
1.長期継続を見据えた海外戦略の重要性
サプリメントOEM事業における海外展開は、国内取引と比較して、商談に至るまでのコストや労力が大きくなる傾向にあります。そのため、単発の受注で終わらせず、いかにリピート発注や新商品開発につなげ、長期的な利益を確保するかが成功の鍵となります。
本インタビュー記事は、創業約50年の歴史を持つ株式会社アスナロ化工研究所の志賀様との対談を通じて、アジア市場で実績を上げているOEM企業が実行する、「スピード」と「フォローアップ」を重視した再現性の高い戦略を深掘りします。
下記の3項目に焦点を当てた内容となっています。
- 海外市場で特に要求が強い「商品の訴求効果とエビデンス」への対応策。
- 香港企業との取引における「リピート獲得」と「新商品提案」を両立させる具体的な戦略。
- 現在の海外売上比率25%を、将来的に50%に引き上げるための具体的な目標と取り組み。
2. 企業背景と強み:海外に未来を見出す姿勢
Q: 貴社の海外展開の現状を教えてください。
志賀様:数年前は海外売上は数%でしたが、直近で海外の売り上げは25%まで成長しています。良質な商品を作るという自信はありますので、これを土台に、日本の未来を見るよりも、海外にこそ未来を見出すという姿勢で、事業に取り組んでいます。
3. アジア市場の特性と課題:海外顧客がサプリに求めるもの
Q: 海外展開を進める中で、特に東南アジア市場特有の顧客ニーズや課題はありますか?
志賀様:大きな違いとして、特に東南アジアの方々は、サプリメントに薬のような即効性や効果効能を求めるケースが多いという、認識の差があるんですね。そこは、日本のサプリメントの考え方を理解いただくよう、うまく説明していく必要があります。
また、各国によってレギュレーションが異なるため、商品開発の際には、その国の法規制に合わせた製品設計が非常に重要になります。
Q: 海外取引におけるコストや労力の課題には、どのように向き合いましたか?
志賀様:国内取引よりコストと労力がかかるため、一回のオーダーで全てを回収しようとは考えないことです。それを皮切りに、リピートや新商品開発までを見据えて、国内の取引より長いスパンで物事を考えるようにしました。末長く取引をすることが最大の利益につながります。
4. 目標と評価指標(KGI/KPI):海外売上比率50%への道
Q: 貴社の今後の挑戦と海外展開の具体的な目標について教えてください。
志賀様:直近の海外売上比率25%を、国内と海外で50%ずつにしたいという目標を設定しています。言語や貿易業務など課題はありますが、それらに取り組むことが会社の付加価値向上につながると考えています。
この目標達成のため、海外展開を「博打」ではなく「投資」と明確に捉えることが重要です。
- KGI: 国内と海外の売上比率を50%ずつにすることを目標とする。
- KPI 1(投資実行):海外展開を「博打」ではなく「投資」と捉え、一定の投資金額に達するまで営業強化を継続する。
- KPI 2(リピート率):納品後のフォローアップにより、リピートや新商品開発の打診に繋げる。
5. 成功のアプローチ:投資と社内連携
Q: リピート獲得と目標達成に向けた、具体的なアプローチと社内の体制についてお聞かせください。
志賀様:良質な商品を作る自信はありますから、あとはそれを理解いただけるお客様を見つけ、末長くお付き合いすることです。
重要なのは、社内を巻き込む姿勢です。一人だけが空回りせず、社内のプロジェクトチームに情報を共有し、共感を入れながら、人を巻き込みながら進めていくこと。これが、言語や貿易といった課題に取り組むための会社の付加価値向上に繋がります。
香港の顧客など一度出会ったお客様とは、簡単には諦めずに、お互いがウィンウィンになる形で仕事のボリュームを増やしていきたいと考えています。納品後に売れ行きの進捗を確認し、「何かお手伝いできることはないでしょうか?」というフォローアップを継続することで、リピートや新商品開発につなげています。
6. 配荷結果と傾向(対談形式):今後のターゲット市場
Q: 今後の海外展開のターゲット市場について、具体的な戦略をお聞かせください。
志賀様:現在の主流である欧米よりも、中央・東南アジアを主として強化し、特に中国、ベトナム、タイに注力したいと考えています。これらは人口規模も大きく、成長が見込める市場です。
さらに、将来的には、バングラディシュなども人口規模が大きく、10年15年先を見据えた攻めどころになる可能性があると見ています。日本の未来を見るよりも、海外に未来を見出す方が有効だと考えています。

