成果爆増!海外営業向け資料&会社案内の効果的な作り方

目次
なぜ「日本商品は高い」と言われるのか
日本国内では「リーズナブル」「妥当な価格」と思われている商品でも、海外の企業やバイヤーから見ると「割高」と感じられるケースが多々あります。しかし、新興国であっても高級ブランドや高級車が受け入れられているように、“高い”から売れないわけではありません。
重要なのは「なぜ高いのか」を正しく説明できる資料を持っているかどうか。価格に見合うだけの価値が明確に示されれば、高価格帯の商品でも十分に勝負ができます。
海外営業のポイント:消費者向けと法人向けを分けて考える
“消費者向けメリット”だけでは不十分
海外に商品を売り込むとき、まず思いつくのは以下のような消費者向けの魅力でしょう。
・食品:美味しい、健康に良い、無添加
・化粧品:肌が潤う、美白効果がある
・雑貨・日用品:便利、デザインがかわいい
これらは最終的に消費者が商品を選ぶ決め手となる重要な差別化要素です。しかし、海外営業の初期段階でやり取りするのは仕入れ・流通を担う法人(問屋や小売店)。彼らは消費者向けメリットを参考にしつつも、「この商品を仕入れると、どれだけ儲かるのか?」という経済的価値を最優先に考えます。
法人(問屋・小売店)が重視する“経済的価値”
日本国内でも同様ですが、海外法人が商品を扱うかどうかは「儲かるかどうか」が最大の焦点です。具体的には以下の4つの視点でメリットを感じられるかがポイントになります。
1. 売上アップ
・高単価でも差別化できるか? 競合品より性能が高い、ブランド価値がある、付加価値が大きいなどの理由があれば、高価格帯でも売上増につながります。
・日本製品は品質の高さで差別化しやすいので、“なぜ高単価でも売れるのか”を明確に示せれば大きな強みとなります。
2. 粗利確保
・十分なマージンを取れるか? 仕入れ値と売り値の差が大きいほど、小売店や問屋は利益を得やすい。
・為替リスクや輸送コストなど海外特有の事情を加味しても利益が取れる価格設定と、「高価格に見合うクオリティやストーリー」を示すことで、高い利益率を狙いやすくなります。
3. 業務効率の良さ
・仕入れ・販売時の手間を削減できるか? すでに多言語資料や販促物が整っていれば、法人側の業務効率は大幅に上がります。
・納期対応の早さ、追加資料のスピーディーな提供、画像素材のクオリティなど細かい配慮も効率の良し悪しを左右します。
4. 長期的な取引可能性
・一度扱った商品が継続して売れるか? 長く収益を生む商品ほど魅力が高い。
・新商品開発やマーケティング支援を柔軟に行える企業であれば、パートナーとしての価値が高まり、長期的に協力しやすくなります。
なぜ“経済的価値”を明示する必要があるのか
・説得材料が具体的になる
「美味しい」「体に良い」など主観的な要素だけでは、海外バイヤーは売れる根拠を掴みにくい。売上や粗利といった具体的数字を示すことで納得感を高められます。
・高価格帯の商品でも受け入れられやすい
競合より価格が高くても、海外法人が「この商品なら売上・利益を拡大できる」と判断すれば取り扱い意欲が高まります。
・パートナーとしての関係を深めやすい
どう一緒に儲けられるかを示すことで、“協力する価値があるパートナー”として長期的な関係を築きやすくなります。
実際に用意しておきたい4種類の資料
海外営業向けの資料は、大きく分けて以下の4種類を準備するのがおすすめです。それぞれのポイントを押さえれば、海外のバイヤーに対してスムーズかつ効果的に情報を伝えられます。
1、パワーポイント(会社案内・商品資料)
2、動画資料(工場や商品、社長メッセージなど)
3、価格表(エクセル形式)
4、メール文面テンプレート
パワーポイント資料
主な構成イメージ
1、会社概要・遠隔・ビジョン
・どんな理念で事業を行っているのか
・いつ設立され、どんな実績があるか
2事業内容やブランド紹介
・OEM、メーカー事業、商社機能など自社の事業領域を明確にする
・ブランドコンセプトや世界観を伝える
3、商品一覧(消費者メリット+法人メリット)
・美味しい、機能性が高いなど“消費者向け”の要素
・高単価でも売れる、マージンを確保しやすいなど“法人向け”の要素
4、自社のリソース・ケーパビリティ
・製造力・開発力・仕入れ先の幅など、柔軟な提案ができる体制を示す
5、経済的価値(売上・粗利・業務効率・長期性)の明示
・具体的にどう儲かるのか、継続しやすい仕組みを数字や例で示す
6、取引の流れ
・オンライン商談 → サンプル発送 → 条件交渉 → 契約 → 入金 → 発送
・各ステップの期間目安を提示すると分かりやすい
動画資料
・商品紹介動画:使い方や特徴、売り場イメージを視覚的に伝える
・工場紹介動画:生産ラインや品質管理体制を見せることで信頼感をアップ
・社長・担当者メッセージ動画:どんな人が作っているのか、どんなビジョンで事業を行っているかを短い動画で紹介
スマホで気軽に撮影したものをYouTubeの限定公開などで共有するだけでも効果は大きいです。海外企業は「リアルな人となり」を知りたいので、映像コミュニケーションが信頼構築に繋がるのは大きなポイントです。
価格表(エクセル)
・写真:商品名だけだと混乱しやすいので、画像も入れる
・日本国内リテール価格:現地バイヤーが相場をイメージしやすい
・卸価格(ホールセル価格):実際の取引価格を明示
・商品のサイズ・重量・内容量:カートンサイズやグロスウェイトなど
・MOQ(最小発注ロット):なるべく小さく設定し、注文のハードルを下げる
これらをエクセル表としてわかりやすくまとめるだけで、注文時の混乱を最小限に抑え、海外バイヤーが「仕入れやすい商品だ」と認識してくれます。
メール文面テンプレート
パワーポイント・動画・価格表を送る際、メール本文のテンプレートを作っておけば作業効率がアップします。ChatGPTなどのAIツールで日本語文面を英訳してもらうと便利です。
また、このメールを開封していただいた後に、海外企業に起こしてほしい行動を具体的に指示をしていくことが重要です。
その指示がないと、海外企業がどのように動いてよいかわからず返信がこないという可能性があります。なので必ず、このメールを受け取った後に起こしてほしい行動を明記するようにしましょう。
- 次のアクション例
- ・「オンラインミーティングの日程を教えてください」
- ・「サンプルを送るので住所をいただけますか」
- こうした具体的な依頼を入れると、海外バイヤーが動きやすくなります。
日本商品は「高い」から売れない? いや、説明次第で売れる
「日本製は割高」と言われがちですが、高級ブランドが世界中で受け入れられているように、価格以上の価値やストーリーが伝われば十分に戦えます。そのためには、海外営業用の資料で「なぜ高いのか」を含め、しっかり訴求することが大切です。
1、消費者向けのメリット+法人向けの経済的価値
2、自社リソース・ケーパビリティの提示(開発力・柔軟性)
3、具体的な取引フローとMOQ、価格情報の明示
4、社長や担当者の動画で信頼感をアップ
これらをセットにし、メールで送付したり、オンライン商談で提示したりすることで、海外バイヤーの興味を引き出し、納得感を持ってもらいやすくなります。