保税地域?保税倉庫?輸出入に欠かせない貿易用語を簡単解説!

保税地域?保税倉庫?輸出入に欠かせない貿易用語を簡単解説!

海外貿易における輸出入では、必ず保税地域にある保税倉庫という場所が関わってきます。
保税地域と保税倉庫とは一体どのような役割を果たしているのか、そのメリットは何か、どのように利用できるのかなど、海外ビジネスに欠かせない知識を簡単に解説していきます!

保税地域と保税倉庫

そもそも保税というのは、輸入に課される関税を一時的に払わなくてよい状態を指します。
保税ができるのは海外からの船や飛行機が行き来する港・空港の近くに設けられた特定の場所のみで、これを保税地域と呼びます。
日本にある保税地域は、税関長の許可や財務大臣の指定によって設置されていて、以下の5種類があります。一般的なのは、一番上の指定保税地域です。

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https://www.customs.go.jp/hozei/pdf-data/hozei_chiiki.pdf

    より。

保税地域は、税関審査や検疫のほか、持ち込めない禁制品の確認なども行われるなど、国内外の秩序を守るための重要な役割を果たしています。
例えば、ここでの貨物は通関されるまで税金の支払いが済んでいないため、諸税金を払う前に無断で販売・移動することは法律違反になります。

この具体的な保管場所を保税倉庫と言います。
輸出入の許可が下りて通関が完了するまでの期間、貨物は保税地域内の保税倉庫に留まるのです。

保税倉庫の利用方法

保税倉庫は、通関業者または倉庫業者に依頼して利用可能です。
ここからは実際に保税倉庫を利用した際の流れを解説していきます。

保税倉庫側が貨物を引き受け倉庫に搬入する

貨物の取卸手続きには、外国貨物仮陸揚の届出が必要です。
外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長、機長の代理人、船舶又は航空機の所有者若しくは管理者又はその代理人も行うことができます。

保税倉庫内で他法令手続きに関する検査を行う

他法令とは、関税関係法令(関税法、関税定率法、関税暫定措置法)以外の法令で、輸出入に関して許可・承認などを定めたものです。
ご覧の通り多岐に渡るため主管省庁もそれぞれ異なり、許可・承認に時間を要する場合があります。
また、輸入関係の他法令の中には植物検疫法といった外国政府機関の証明などの取得が必要なものがありますので、注意してください。

税関長に対して輸入申告する

貨物が到着すると、輸入者に対して到着通知(Arrival Notice)が発行されます。
その後、輸入者は貨物が保管されている保税地域を管轄する税関官署に、主に以下の必要書類を以て輸入申告を行うこととなります。
別の記事で詳しく取り上げているものもありますので、併せてご覧ください。

・運賃明細書
・保険料明細書
・他法令の許可書
・原産地証明書
・インボイス(仕入書・商業送り状)

海外輸出入で必要な5種類のインボイスの違いを徹底解説


・パッキングリスト(包装明細書)

海外輸出入で必要なパッキングリストを徹底解説

審査通過後に関税を支払い、倉庫から出庫する

必要とされる貨物については、税関の検査を受けたり、関税、内国消費税及び地方消費税を納付したりした後、輸入の許可を受けます。
ここまでクリアすると、ようやく貨物の出庫ができます。
以上の手順を踏まないと密輸扱いになってしましまうため、注意しましょう。

保税倉庫のメリットとデメリット

大きなメリットとして挙げられるのは、安全性と効率性の高さです。
保税倉庫は税関より保税蔵置場の指定を受けているため、安全安心な保管場所を確保できることとなります。
また、保税倉庫に保管した貨物の通関処理・検品・加工・保管・出荷は、その倉庫内もしくは倉庫が運営する工場で行えます。輸送コストと流通時間の短縮が見込めます。

デメリットとしては、輸入申告と承認手続きがないままでは長期滞留はできない点が挙げられます。何の手続きもせず期間を超えて保管し続けると、廃棄されてします可能性もあります。

保税倉庫を利用した事例

以上のメリット・デメリットを駆使して、うまく自社のビジネスに活用する事例も少なくありません。

保管期間の活用

上記のデメリットでも述べた保管期間の延長についてですが、原則として2年間のところを、税関長が特別な目的・理由があると認めた場合にのみ延長できます。
この期間を上手に利用し、貿易取引の相場を鑑みながら出庫・中継出荷するなどのコントロールが行えるのです。

自社倉庫の保税蔵置場化

先ほどからお話していた指定保税地域ではなく、保税蔵置場であれば公共施設である必要がありません。
そのため、自社倉庫を保税蔵置場として利用することもできます。
税関長宛てに申請し許可を得て保税蔵置場とした後、さらに3年以上経過して特例承認取得者になれば、届出だけで新たに自社倉庫を保税蔵置場とすることも可能となります。

通販事業の老舗、ベルメゾンを運営・展開する株式会社千趣会では、物流コストを削減するために10カ所の海外の物流拠点を韓国・釜山の保税蔵置場に集約する変革を行った事例があります。

釜山には、

・自由貿易地域とされているため保管期間が定められていない
・商品の償却・加工が認められている
・日本に近い

といったメリットがあります。
貿易や物流にかかるコストを徹底的に削減したのです。

まとめ

保税地域は輸出入を行う際に必ず通るエリアです。
きちんと理解していなければ、自社ビジネスの損失につながったり、法律を犯してしまったりすることもあります。
利用する際には手順や必要書類を改めて確認し、自社のビジネスに上手に活用していきましょう。

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