一体どこから?Made in Japanの定義を調べてみた

一体どこから?Made in Japanの定義を調べてみた

消費者が商品を購入する際に重要視する項目として、原産地表示というものがあります。
みなさんも、同じ性能であればMade in Japan製品を好んで購入するのではないでしょうか。

しかし、近年では流通のグローバル化に伴って、この原産地表示というものは非常にあいまいになってきています。
原材料のコストが安い国から仕入れて日本で組み立てを行ったり、海外の工場で日本製品を製造したりすることも増えてきました。逆に海外企業が日本で工場を設立するケースも少なくないでしょう。

そうした中で、一体Made in Japanはどこからどこまでを指しているのか、その定義について解説していきます。

原産国表示とは

日本製品というのは世界でも信頼性の高い製品となっており、日本製を名乗ることができれば商品を高く売ることができたり、「高価格商品故に日本製でなければ売ることができない」といったイメージとしての付加価値もつけることができたりします。
このように、原産国表示というのはみなさん消費者・生産者双方にとって非常に重要ではあるのですが、現代の商流が複雑なこともあり、国際的な統一ルールがないのが現状です。

Made in Japanとは

日本の法律において

日本の法律においては、景品表示法第5条第3号に基づく告示の中の、「商品の原産国に関する不当な表示」で言及されており、実質的な変更をもたらす行為が行われた国と定義されています(※1)。

例えば電化製品であれば、その電化製品としての性能ができあがる瞬間にどこの国にあったかどうかで決定されます。
日本の工場で掃除機を作ろうとした際に、中国から仕入れた材料を使用し、タイ人の手で作ったとしても、それはもちろん日本製になりますよね。

ちなみに、中国で生産し日本で最終検査行うことでその製品を日本製であると表示する製品を見たことがありますが、これは本来であれば中国製と言えるものであり、非常にグレーであることも少なくありません。

世界の法律において

世界貿易機関(WTO)の原産地規則を見てみると、2か国以上にわたって生産される場合は、実質的な変更が行われた国を原産国とするされています。
この実質的な変更は、「HSコード(貨物を輸出入する際の品目分類に用いる輸出入統計品目番号)が変更されるくらいの新しい特性を与える行為」とされており、単純な部品の組み立てや、切断、ラベル貼り、検査などは該当しないという解釈ができるでしょう。

原産国表示の4つの事例

それでは、実際に具体的な事例を用いて原産国についてご紹介していきます。

正真正銘のMade in Japan

・日本国内で、日本企業が、日本国内の部品を使って生産したもの
・日本国内で、海外企業が、日本国内の部品を使って生産したもの

先ほどの定義から考えると、日本国内で生産されたものについてはMade in Japanであると言えるでしょう。
一つ懸念としてあるのが、外国人が日本で工場を設立してそこで商品を作った場合にもMade in Japanとして、認められてしまうという点です。

少しグレーなMade in Japan

・日本国内で、日本企業が、海外の部品を仕入れて生産したもの
・日本国内で、海外企業が、海外の部品を仕入れて生産したもの

この場合もMade in japanで間違いではないのですが、あくまでも外側だけということになるでしょう。
自動車で考えてみると、自動車本体の表示はMade in Japanになりますが、中のエンジンなどの表示は海外となっている、という状態です。

限りなくグレーなMade in Japan

・海外でほぼすべての工程を行い、日本国内で検査や梱包などを行って出荷したもの

先述した通り、この形態でMade in Japanと名乗っている商品もありますが、限りなくグレーな表示です。
なるべくそう表示しない方が賢明でしょう。

Made in japanではないもの

・海外で、日本企業の日本人社員が生産したもの

この場合は、残念ながらMade in Japanと表示することはできません。
あくまでも出来上がった国の表示なのですから、その海外産ということになります。

まとめ

今回ご紹介したように、Made in Japanは日本国内で生産されたものとなりますので、外国人が日本で生産してもMade in Japanになってしまいますし、その逆はMade in Japan」と表示することができません。
そのため、日本企業が海外で生産を行う際、場合によっては原産国表示のほかにMade by JapanやMade by Japaneseといったような表示をつけることもあります。
原産国はともかく、日本人が作ったという付加価値をつけようとしているようです。

しかし昨今では、類似品を外国で安く生産できてしまうことも多くありますし、Made in Japanの絶対的なブランド力が購入の最終意思決定にはならなくなってきていると感じています。
今後はMade in Japanはブランドの1つとして捉える程度に留めておきましょう。

今でもMade in Japanが重要視されている日本発祥の製品の一つ、ランドセルについての記事です。
なぜ日本のランドセルが世界にも広まっているのか、こちらもぜひ参考にしてみてください。

ヨーロッパで大注目!? 日本のランドセルが海外で人気な理由

参考文献
※1 消費者庁, 「商品の原産国に関する不当な表示」, https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_005/

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