世界の物流を支える!貿易でよく聞くフォワーダーとは
この記事は2024年3月8日に更新されました。
「よく出てくるけれど詳しい意味が分からない!」と思うことが多い貿易用語。
今回はその中でもフォワーダーについて解説していきます。
乙仲など類似用語との違いも簡単に説明しています。
目次
フォワーダーとは
フォワーダーは、荷主と運送人の間に立ち、国際輸送に関する業務を行う事業者です。
自らは運送手段を持たず、運送業者との間に立って仕事をします。
フォワーダーの仕事は時代の変化とともに業務も増えていき、貨物利用運送事業だけではなく、通関業務や輸送関係書類の作成など、国際物流を行うにあたって必要な業務も幅広く請け負っています。
例えば、複数の荷主から集めた貨物を地域ごとに分け、一つの貨物として自らが荷主となり、航空会社や船の会社などに運送を依頼するのも仕事に含まれます。
輸出入の通関手続きや、保税地域での貨物の輸送などができるのは、通関士や国の許可を得た海貨業者だけが行える業務です。
商社や貿易会社などは、そういった専門領域の仕事をフォワーダーに委託しているのです。
利用するメリット
このフォワーダーを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
一つは、先述した通り、輸送に関する高い専門性を持っているため、商品や目的などに合わせた運送手段や運送ルートを選べるため、理想的な物流が実現できることです。
加えて、フォワーダーを利用すれば貨物の保管や配送、通関に関する手続きなども行ってくれるため、輸送をスムーズに行うことができ、コストの削減にもつながることもメリットとして挙げられます。
特定のサービスを提供するフォワーダー
中には以下のように特定のサービスに特化しているフォワーダーもあります。
それぞれのフォワーダーの業務内容を理解し、自社に一番適したフォワーダーを探してみてください。
混載業者(Consolidator)
個々の荷主から、通常運賃または若干の割引運賃で小口貨物を請け負い、大口貨物として送り先ごとにまとめ、実運送人に引渡します。
このとき、海上貨物では船会社に支払うフルコンテナのボックスレートと荷主から受ける運賃との差額、航空貨物では航空会社に支払う重量低減制の運賃と荷主から受ける運賃との差額が収入源になります。
国際複合一貫運送業者(Multimodal Transporter)
近年では、陸上、海上、航空輸送のうち2つ以上の手段を利用する複合輸送(Combined Transportation)と、荷送人から荷受人まで開梱せずに行う一貫輸送という新しい輸送方法がさかんになってきました。
こうした多様化する荷主のニーズに応えて、荷主との間で一つの運送契約を締結し、一つの複合運送船荷証券(Multimodal Transport B/L)を発行する国際間輸送を実現しています。
インテグレーター
航空会社とフォワーダーの機能を併せ持ち、貨物の集配を含め、幹線輸送を自ら一貫して行うインテグレーターという国際宅配業者もあります。
集荷から配送までを一貫して行い、文書、図面、部品など小型貨物の取り扱いを中心に、全世界72時間以内配達をうたっています。
フォワーダーとの取引の流れ
ここでフォワーダーとの取引の流れを見ていきます。
ステップ1
貨物をフォワーダーの倉庫に運ぶとともに、インボイスやパッキングリストなど必要書類を作成し、通関手続きや見込み業務を依頼します。
インボイスやパッキングリストという貿易用語について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
ステップ2
倉庫に運ばれた貨物の数量や状態を確認し、税関に輸出手続きを行い、許可を得ます。
ステップ3
必要書類を作成し、輸出許可書と合わせて貨物をコンテナ・フレイト・ステーションに搬入し、貨物の数量や状態を確認してから、ほかの荷主の貨物と一緒にコンテナに詰め込みます。コンテナはコンテナヤードに搬入されて船に積載される、という流れです。
関連用語との違い
よく混同しがちな似た用語との違いも簡単に確認していきましょう。
乙仲
業務内容はフォワーダーとほとんど同じで、呼び方が違うだけだと言えます。
この呼び方は、戦前の海運組合法において、定期船貨物の取次をする業者を乙種仲立業(乙仲)、不定期船貨物の取次を行う業者を甲種仲立業(甲仲)と呼び分けていたことから生じた呼び名です。
1947年の海運組合法の廃止により分類することはなくなったのですが、呼び名はそのまま残り、現在のフォワーダーのことを乙仲と呼ぶことがあるのです。
NVOCC
Non Vessel Operating Common Carrierの略称で、フォワーダーの中でも特に海上輸送を取り扱う業者を指します。
3PL
3rd Party Logisticsの略称で、主に荷主に対して物流改革を提案し、物流業をスムーズに遂行することを指します。
物流業務に関する企画、設計、運営を行っていて、具体的には、調達物流、工場内物流、販売物流(在庫管理・輸配送管理)、静脈物流(産業廃棄物、返品、修理品)をトータルに請け負います。
用語を知ってスムーズな取引を!
いかがでしたか?
ビジネスのどの分野にも言えることではありますが、用語の意味をきちんと理解しておけばリスクが減り機会が増えるはずです。
他の記事でも貿易に関する知識をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください!