クールジャパンの恩恵を受けた日本企業は?調査してみた

クールジャパンは、日本の伝統文化やポップカルチャーを海外に発信していきます。優れた技術や魅力がありながら、海外に進出する資金や販路などのノウハウを持たない中小企業なども支援して、市場を海外に広げて外需を得ると共に、その後、「クールジャパン」を求める人を、日本に呼び込むことにも繋げていきますことを目的としたプロジェクトです。
株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の出資と、経済産業省、ジェトロも支援しますが、勿論、海外に発信力があり、リターンが見込まれるプロジェクトに出資されます。
2014年9月から2015年11月の段階で13件の投資がありました。事業報告書では「メディア・コンテンツ」「食・サービス」「ライフスタイル・ファッション」に分けられていますが、どのような分野に、特に恩恵があったのでしょうか。
クールジャパン施策
成功している事例
特に印象的だった事例をいくつかご紹介致します。
●「Tokyo Otaku Mode Inc.」で、ポップカルチャーを発展
2014年9月、1番初めにクールジャパン機構に出資された、日本のポップカルチャーを発信するプロジェクトです。
2012年04月に設立した「Tokyo Otaku Mode Inc.」は日本のアニメやゲーム関連の商品をメインに海外消費者に販売する越境ECサイトを運営している企業で、今では100カ国以上に販売実績があります。
ですが「Tokyo Otaku Mode Inc.」というスタートアップの企業が3年間で最大15億円という規模の資金調達ができたのはどうしてなのでしょうか?
元々、米国の小額出資ファンド「500 Startups 」代表のデイブ・マクルーアに事業の可能性を見出され、投資を受けつつ自社のWebサイトを世界向けに作り上げていきました。
事業を拡大するたびにmixi、楽天など大手企業で活躍した人材が集い、事業のスケールアップを支え、さらに自社ECサイトやFaceBook各種サービスの英語対応にも力を入れました。
今では情報を発信すると世界中から何千万もの「いいね!」が押されています。
また、経済産業省の海賊版対策に協力し、正規サイトへの誘導や、「スペシャルクリエイター」を選定して作品の発表の場を提供するなど、多様な方面に連携も進みそうです。
クールジャパン施策のコンテンツ産業で日本の独自のポップカルチャーを発信する先駆けとなったと言えるでしょう。
●「Japan in Motion」でお好み焼きブーム
映像制作関連会社のTSSプロダクションが、フランスで日本を紹介する番組「Japan in Motion」を放送しました。提携したケーブルテレビのユーザーは、650万世帯で約1200万人です。
その後、「ジャパンエキスポ」に、番組を展開するために参加した事で、お好み焼きブームが起こり実際に事業開発に発展しました。
そこで広島のお好み焼きソースの企業が、フランスのゲームショウでお好み焼きブームを演出しました。
お好み焼きがフランスで受け入れられやすい理由はフランス人の好きな甘辛ソースであることが理由の一つだろうということでフランスの料理人に、フランス人向けのソース開発を依頼して、ヨーロッパで展開していく予定です。
寿司、すき焼き、ラーメンに変わる代表的な食べ物になれる可能性がありますよね。
その流れに乗り広島発児島のジーンズメーカーの桃太郎ジーンズが、ヨーロッパの13か国、19社と契約になりました。
その結果フランスから広島への観光客が増えたとの報告です。
日本文化に関心を持ったフランス人の国内流入、まさにクールジャパン政策の目指す通りになっているのではないでしょうか。
●「博多一風堂」欧州や欧米に進出
ラーメンを提供する「博多一風堂」が、店舗を出す事の難しかったヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの各都市に、ラーメンをはじめ、日本食や日本の飲料全般にわたる、食の普及と発展のため進出しました。
2008年に日本で初めて国外に、しかもニューヨークに出展致しました。
日本のトンコツが世界のトンコツになった瞬間です。
肝心の売り上げはというと日本の平均的な店舗の倍の売り上げをあげています。
今年の初めにニューヨークに行った際に店前を通りがかりましたが、割高にも関わらず繁盛していました。
外国人に日本食と聞いたら寿司、すき焼き、ラーメンと言われるように海外で瞬く間に浸透していったのは「博多一風堂」の貢献があるかもしれませんね。
2015年4月の時点では、海外で51店舗になりました。
日本食のいいイメージを普及していってほしいですね。
まとめ
今まで投資されたプロジェクトを見ると、「メディア・コンテンツ」は全世界とアジア、「ライフスタイル・ファッション」の商業施設は、中国やマレーシアなど主にアジア、「食・サービス」は、アメリカの日本茶カフェのように、アメリカやヨーロッパを対象にしている傾向があるのではないでしょうか。
日本食や伝統工芸品などは、違いの大きい文化圏であり距離も遠く、情報も入りにくいと思われる、アメリカやヨーロッパの方面で興味を持たれるのかもしれません。ポップカルチャーなど、エンターテイメントのコンテンツは全世界に発信できます。特にアジア向けの場合、日本の普段の文化や情報を発信すると、距離も近いため観光にも取り込みやすくなるのではないでしょうか。
需要の多い地域に進出して行きながら、オリンピックの2020年に向け、いずれ各分野が連携していくように進むことを期待しています。