【海外営業の盲点】なぜ「技術力のあるOEM提案」は無視されるのか?ベトナム商談で露呈した「完成品の壁」|アスナロ化工研究所

健康食品OEMの海外営業でよく出る悩みが、「コロナ後、海外渡航は本当に必要なのか?」です。今回、アスナロ化工研究所様がベトナムで約10社と商談して分かったのは、渡航の価値は“気合い”ではなく、現地の購買前提(=完成品の壁)を早期に確定できる点にある、ということでした。

この記事でわかること(要点)

  • 健康食品OEMの海外営業で、なぜ「渡航」が判断を進めるのか
  • ベトナム商談で露呈した「完成品の壁」と、OEM提案が刺さらない理由
  • 海外バイヤーが求める資料整備(テンプレ化)の現実


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株式会社アスナロ化工研究所

従業員数(2025年時点)
60名
事業内容
健康食品・ペット向け健康食品・雑貨等の製造(健康食品OEM)
海外の輸出状況(取材当時)
売上はほぼ国内(100%)。ベトナムで現地商談を実施し、現在はサンプル対応・資料送付のフェーズ。

プロジェクト概要(健康食品OEMの海外営業×ベトナム渡航)

  • 対象:健康食品・サプリメントのOEM製造
  • 商談先:ベトナム(ハノイ/ホーチミン)中心
  • 商談:約10社
  • 狙い:OEM受託/原料販売の可能性探索

※あわせて、原料検索サイト「BALBAL」を運営するグループ会社(https://eeffect.co.jp/)の視点でも商談を実施しました。


インタビュー:健康食品OEMの海外営業は渡航で決まる?

Q. まず、貴社の事業概要と、海外展開を検討された背景を教えていただけますか?

A. 当社は健康食品・サプリメントのOEM製造を中心に事業を行っています。国内市場が縮小していく中で、会社の成長を考えると、早い段階で海外に進出していく必要があると考えました。当時は売上のほぼ100%が国内だったので、危機感がありました。

Q. COUXUと取り組む以前、海外営業としてはどのようなことに取り組まれていましたか?

A. 正直、思うように進んでいませんでした。海外の展示会に出すのも選択肢ですが、その前に社内課題(人材・体制)がありました。採用や定着の難しさもあり、計画が止まってしまった部分は反省点です。

Q. 今回、海外営業の渡航先として「ベトナム」を選ばれた理由は何でしょうか?

A. マクロ情報として「若い」「人口が多い」などは入ってきますが、実際に行ってみると街の空気感が違いました。人の多さ、若さ、エネルギー。中心地は発展していますが、少し広げて見ると伸びしろも感じました。発展余地がある国だと思いました。


ベトナム商談で露呈した「完成品の壁」

Q. 実際にベトナムで商談して、最も大きな気づきは何でしたか?

A. 私たちはOEM受託や原料販売を目的にしていましたが、準備としてグループで持っている最終製品(完成品)も持参していました。すると、「一番興味を持たれたのが最終製品だった」のです。ここは、想定していた戦略と違った点でした。

Q. なぜ、健康食品OEMの提案より「完成品」の方が入口として強かったのでしょうか?

A. OEMは最初の購入数量が一定の数になりやすいです。一方で完成品なら、まずはワンケースなどミニマムでトライがしやすい。だから、「完成品で小さく卸す → 実績が出たらOEM化(自社ブランド化)」という流れの方が、現地では営業しやすいと感じました。


現地でしか確定できなかった一次情報

Q. ベトナム市場のニーズで「意外だった点」はありますか?

A. 商談の中で「どういう人が摂っているのか」を聞くと、若い人でもサプリを摂るという話がありました。日本では関節や脳機能系は高齢者向けの印象が強いので、そこは意外でした。朝から運動している人が多い印象もあり、健康意識が高いのかもしれないと感じました。

Q. 対面での海外営業(渡航)と、オンライン商談では何が違いましたか?

A. 実際に会って話すと、相手の反応や空気感が分かります。ベトナムの方は意外と優しく、ちゃんと話を聞いてくれる印象がありました。信頼関係を作るうえで、対面の価値は大きいと感じました。


海外バイヤーは「詳しい資料」を当然のように求める

Q. 海外営業で「準備不足だった」と感じた瞬間はありましたか?

A. 率直に、詳しい資料を要求されたシーンがありました。興味があるのかないのかを探るつもりで話していたら、想定以上に興味を持っていただけて、もっと突っ込んだ資料を求められた。嬉しい誤算ではありますが、準備しておいた方が良かったと感じました。

Q. 健康食品OEMの海外営業に向けて、どのような資料整備が必要だと感じましたか?

A. 商品インフォメーションです。日本の商談向けの文章や画像が、そのまま現地に合うかは分かりません。ただ少なくとも、商品の説明・価格・仕様は必須です。それをテンプレート的に、どの商品でも同じ様式で作っていって、1つ見るだけで理解が進む状態を作る必要があると思いました。加えて、インフォメーションと一覧表(リスト)も重要だと思います。

(実務メモ)最低限そろえる資料

  • 商品説明(何のために/誰が/どう使う)
  • 価格と条件(前提・最小ロット感・納期)
  • 仕様(形状・容量・成分/特徴の伝え方)
  • 商品一覧表(全SKUを同じフォーマットで)

体制の壁:海外事業部がなくても「兼務で時間を割ける」状態が必要

Q. 海外営業を進めるうえで、社内体制についてはどうお考えですか?

A. 可能なら英語の理解や読み書きの強化も必要です。それに加えて、営業スタッフを充実させる必要があると感じています。大げさに海外事業部と言わなくても、兼務でもいいから、もう少し時間を割ける人が必要だと思います。


最後に:海外渡航を迷う健康食品OEM企業へのメッセージ

Q. 「海外営業の渡航」を迷っている健康食品OEM企業へ、一言いただけますか?

A. 自分の目で見て耳で聞く、肌感覚が重要だと思います。行かないと分からないことは多いです。見えないものが一杯ありますので、絶対行くべきです。やりたいと思っているなら、迷っている時間がもったいない。行動した方が早いと思います。


まとめ:健康食品OEMの海外営業は「渡航×提案順×資料」で勝負が決まる

  • ベトナム商談で露呈したのは、OEMの良し悪しではなく「完成品の壁」
  • 渡航の価値は、一次情報でズレを確定→提案を修正できること
  • 勝負は「渡航そのもの」より、海外バイヤーが判断できる資料テンプレ化

COUXU社の見解

私たちCOUXUは、海外商談支援を重ねる中で「OEMを売り込むほど、最初の入口が重くなる」ケースを何度も見てきました。
だからこそ、最初からOEMで取りに行くのではなく、完成品(小ロット)→販売実績→OEMへ上げる“提案の順番”が現実的だと感じています。
言わずもがなですが、渡航は“気合い”だけであればいいというものではありません。
渡航は現地企業が購買してくれる前提であるなど、契約前の最終調整の状態で、その企業とのプロジェクトを以降、円滑に進めるための投資という位置付けです。

動画で全編を見る

インタビューの全編は下記の動画でご覧いただけます

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