海外進出に向けて“0円”で市場調査をする方法

海外営業を始めたい、あるいは海外進出の足がかりを作りたい…
そんなとき、「海外調査にどれくらいの費用や時間をかければいいのか?」と悩む企業は多いでしょう。
大手企業であれば専門の調査機関を活用する余裕もあるかもしれませんが、中小企業やスタートアップなどリソースが限られる場合は、なるべくコストを抑えたいのが本音ではないでしょうか。
ここでは、「大規模な調査を行わずに海外市場のリアルを把握する方法」を3つのステップに分けて紹介します。
特別な予算を組まずとも、0円レベルで実践できる海外調査・海外営業アプローチが存在します。
目次
海外市場調査の目的を明確化する
マクロデータと自社の売上アップは必ずしも一致しない
海外調査と聞くと、真っ先に「GDPが高い国は市場が大きい」「人口が多い国は需要が見込める」といったマクロデータに飛びつきがちです。
しかし、マクロ情報だけを頼りに大きい市場へ参入しても、自社の商品特性や競合状況によっては成果が出ない場合がよくあります。
例: アメリカや中国は巨大市場だが、競合も多いため差別化が難しく、参入初期の投資リスクが大きくなる。
こうしたズレを防ぐためにも、海外調査を行う際には「自社がどの層に、どんな価値を提供するのか」を最初に考える必要があります。マクロデータはあくまでも参考材料です。
最も重要なのは、「具体的に売れるかどうか」を確認することです。
“STP”の基本を押さえる
マーケティングの基礎であるSTP(セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング)は海外営業でも有効です。
- セグメンテーション(Segmentation): 市場を細分化し、性別や年齢、所得層、地域性など、ターゲットをいくつかのグループに分ける。
- ターゲティング(Targeting): どのセグメントを主要な顧客層として狙うか決める。
- ポジショニング(Positioning): 競合との違いを明確にし、自社商品の立ち位置を打ち出す。
ただし中小企業の場合、細かい分析に時間やコストをかけられないことも多いでしょう。
そういうときは「まずはどこで売れそうか」を手っ取り早く確かめる方法を優先したほうが良い場合もあります。
“海外営業”しながら調査を進める
大がかりな海外調査を始めるより先に、海外営業を通じて直接反応を探るアプローチが最も効果的です。
商談や問い合わせを取ることで、「市場規模が大きいかどうか」ではなく「現地企業が興味を示してくれるかどうか」をダイレクトに確認できます。
海外企業との商談は、実はさまざまな方法で実現可能です。
たとえばJETRO(日本貿易振興機構)が提供する「ジャパンストリート」は、ハンズオン支援を無料で利用でき、中小企業でも気軽に海外バイヤーとつながるチャンスを得られます。
一方、弊社ではJETROの新規事業と連携しており、弊社サービス「セカイコネクト」を通じて海外営業を支援しています。月額3万円~5万円ほどのプランから始められるため、大がかりな投資なしに海外企業と商談の機会を作ることが可能です。
こうした無料の公的支援や、民間のリーズナブルなツールを活用すれば、リソースが限られている企業でも、効率的に海外市場へアプローチできます。今すぐ試してみるのも一つの手でしょう。
外部リンク
まずは複数国と商談する
1.広く声をかける
・ベトナムやインドネシア、シンガポール、香港、台湾など、どこの国でもよいので5〜10カ国へ一気にアプローチ。
・1国あたり3〜5社ほどオンライン商談を行い、できるだけたくさんの声を拾う。
2.反応が良い国を優先する
・商談の結果、「価格が合いそう」「うちの国ではニーズが高い」と言われた国にフォーカス。
・逆に反応が今ひとつだった国は、無理して深掘りしない。
3.意外な国・地域で売れるケースも
・「リトアニアのバイヤーが想定外の好条件を提案してきた」など、最初はターゲット外だった国で結果が出る例も少なくありません。
なぜ“営業”が海外調査に有効か
・リアルなバイヤーの声を直接得られる: データ上は有望でも、実際の取引に至らないケースは多々あります。商談なら、競合状況や購入のハードルをその場でヒアリング可能。
・商談そのものが無料または低コスト: オンラインツールを使えば、交通費や大規模調査の費用をかけずに各国企業と話す機会が作れます。
・受注につながれば一石二鳥: 調査しながら契約の可能性まで探れるため、リソースを効率よく使える点が魅力です。
聞くべき“海外調査”の質問項目
・競合製品は何があるのか(価格帯・ブランドイメージ・流通チャネルなど)
・費者や法人の購買行動(どういう店舗やECサイトで購入するのか、どんな付加価値を重視するのか)
・販路開拓に必要な要件(パッケージや言語対応、認証、輸入規制など)
あらかじめ質問リストを作っておき、商談時に漏れなく聞いておくことで有益な海外調査データが手に入ります。
ECサイト&AIツールを使って“0円”で深掘り調査
商談で「この国はいけそう」という感触を得たら、さらにECサイトやAIツールを使って具体的に調べてみましょう。すべて無料、もしくは低コストで実行できる方法です。
ShopeeやAmazonで大衆価格をリサーチ
越境ECサイト
- Shopee: 東南アジアで圧倒的に利用されるECプラットフォーム。大衆層が好む価格帯や人気商品をざっと見渡せるため、「現地の相場感」をつかむのに最適です。
- Amazon: アメリカや日本だけでなく、各国版が存在。自社と似たカテゴリーの商品がいくらで売られているかチェックするだけでも大きなヒントになります。
- Lazada(ラザダ): Shopeeと同じく東南アジアで有名なECサイト。やや高めの価格帯商品も扱われる傾向があるので、比較検討に便利です。
何が具体的にわかるのか
・競合商品の平均価格帯
・顧客レビューや評価内容
・販売ページの訴求方法(写真、キャッチコピー)
AIツール(Perplexityなど)で販路を下調べ
商談で「マレーシアのイオンに並べたい」「シンガポールの大手スーパーが狙い目」など具体的な候補が挙がったら、AIツールを使ってさらなる情報を集めましょう。
おすすめAIツール
- Perplexity: 質問を入力すると、インターネット上の関連情報を整理して提示してくれるAIツール
活用例
1.「マレーシア イオン 売れ筋商品」「シンガポール 大手スーパー 取扱い製品」などで検索。
2.出てきたリンクや情報をもとに、どのような商品が陳列されているかを把握。
3.競合ブランドの存在やプロモーション手法をチェック。
オンラインだけでも十分に「現地の小売事情」や「競合状況」が見えてきます。出張や大規模コンサルへの依頼が必須ではないことが理解できるでしょう。
まとめ:海外営業をしながら海外調査を進め、反応の良い市場に集中せよ
1.海外調査の目的を明確にする
マクロデータだけを集めても、自社商品が本当に売れるかは分からない。
自社が提供する価値や強みが「どの国」「どの層」に刺さりそうかを考える。
2.実際に海外営業を仕掛けてみる
オンライン商談を活用し、複数国のバイヤーと話す。
評価が高かった地域を優先的に深堀りする。
3.ECサイト&AIツールで0円調査
ShopeeやAmazonで競合製品の価格帯や売れ筋をチェック。
PerplexityなどのAIで小売店や市場動向をリサーチ。
4.最小リソースで最大の成果を
大規模調査にコストをかける前に、海外営業を通じてダイレクトに反応を得るのがカギ。
商談で分かった情報を活かし、最終的に受注や市場開拓につなげる。
実践のメリット
・時間と費用を大幅に削減
リアルの出張や専門機関への依頼に比べ、オンライン商談や無料ツールの活用で支出が最小化。
・現地企業の生の声が得られる
報告書やレポートでは分からない「実際の購買基準」や「競合優位性」を商談で直接把握できる。
・売れる市場が分かったら一気に攻めやすい
反応が良い国に営業リソースを集中し、さらに現地の小売店やECを詳しくリサーチすれば、スピーディーに事業拡大が可能。
一歩踏み出すためのヒント
・「国をまず決める」より「商談数を増やす」
先入観で国を選ぶより、多国へアプローチして比較。意外な国で好感触を得られるケースも。
・オンラインミーティングの準備をしっかり
商談で聞きたいポイントや疑問を事前に洗い出し、アジェンダを組んでおけば無駄がありません。
・SNSやメールでフォローを怠らない
商談後のフォローアップにWhatsAppやWeChatなどのチャットツールを使えば、絆を深めやすく、追加情報もすぐに取り寄せられます。
結論:0円でも海外調査・海外営業は可能。やるべきは「まず動いて、リアルな反応を得る」
海外市場は大きな可能性を秘めていますが、大がかりな調査や莫大なマーケティング費用なしに、成果を出している中小企業も少なくありません。その共通点は「実際のバイヤーとの接点を早期に持っている」ということ。特にオンライン商談の普及により、国境を越えた接点を容易に作れる時代になりました。
1、オンライン商談で幅広くコンタクト
2、評価の高い国に集中して深堀り
3、ECサイト・AIツールで競合や価格帯を調査
この流れを実践すれば、大きな投資をすることなく、0円レベルでも十分に海外調査と海外営業の初期段階を進めることができます。ぜひこの記事を参考に、まずは最小限のリソースで海外の企業とつながり、リアルな声を得てみてください。それこそがあなたのビジネスを海外で花開かせる最短ルートになるはずです。