日本は高すぎる?世界の生活水準をランキングから考えてみた

日本は高すぎる?世界の生活水準をランキングから考えてみた

旅行に行って海外の文化に触れると、日本の良さやありがたさを実感する方もいらっしゃると思います。
しかし、昨今では経済状況や治安に不安を覚えるような出来事をよく耳にするようになり、国民の幸福度は高くないといった話も聞いたことがありますよね。
「日本は世界の中でも生活水準が良いのでは」と言われることも多くありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

そこで今回は、複数の指標を基に日本の生活水準を世界の国と比べてみました!
比較対象として2012年の指標も記載しましたので、日本がどう変わったのか、併せてご覧ください。

主な指標による比較

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まずはニュースでもよく見かける国全体を表す指標について見ていきましょう。
以下は全て当時の米ドルでのランキングとなっています。

名目GDP(国内総生産)

こちらは、国内で生産された商品・サービスの産出額から原材料などを引いた付加価値の総額です。
国の景気や経済力を測るときに頻繁に使われる指標です。
GDPには名目GDPと実質GDPの二つがありますが、今回は生産量や価格変動も含む名目GDPを掲載しています。

2012年
1位 アメリカ
2位 中国
3位 日本
4位 ドイツ
5位 イギリス

2022年
1位 アメリカ
2位 中国
3位 日本
4位 ドイツ
5位 インド

※世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html)より

10年間で日本の順位は変わっていませんが、4位・ドイツの1.7倍だったのが、ほとんど変わらない数値になってきています。
また、余談ではありますが、近年話題のインドも11位から大幅に順位を上げているのが一つの特徴ですね。

一人当たり名目GDP

上記のGDPを人口で割ると、1人当たりのGDPとして国民単位になります。
数値が大きいほど裕福とされます。

2012年
1位 ルクセンブルク
2位 カタール
3位 ノルウェー
4位 スイス
5位 マカオ
・・・
14位 日本

2022年
1位 ルクセンブルク
2位 ノルウェー
3位 アイルランド
4位 スイス
5位 カタール
・・・
31位 日本

※世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html)より

日本は順位だけなく、実際の数値も10年で大きく下がっていることがわかりました。
ちなみに、2022年に名目GDPのランキングトップ5に入っていた他国のうち、アメリカは7位、ドイツは20位と、二か国が日本より上位に入っています。

名目GNI(国民総所得)

上記のGDPに、国内だけでなく海外支店などの国外からの所得も足した数値がGNIです。

2012年
1位 アメリカ
2位 中国
3位 日本
4位 ドイツ
5位 フランス

2022年
1位 アメリカ
2位 中国
3位 日本
4位 ドイツ
5位 インド

※GraphToChart(https://graphtochart.com/economy/world-gni-current.php)より

2012年には5位にフランスがいましたが、2022年はインドとなり、名目GDPの順位と変わらない結果となりました。
日本は長年2位でしたが、2010年に中国に抜かれ、現在もドイツとの差を縮められつつあります。

貿易に関する指標による比較

ここからは国の経済を支える貿易について見ていきましょう。

貿易収支

まずは輸出額から輸入額を引いた貿易収支です。

2012年
1位 ドイツ
2位 サウジアラビア
3位 中国
4位 ロシア
5位 サウジアラビア
・・・
191位 日本

2022年
1位 中国
2位 ロシア
3位 サウジアラビア
4位 ノルウェー
5位 アラブ首長国連邦
・・・
192位 日本

※世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/tt_mbalance.html)より

輸出額が多いと貿易黒字、輸入額が多いと貿易赤字と言いますが、日本は2011年から貿易赤字になり、2016年には黒字化したものの、その後は現在まで赤字となっています。
日本から最下位アメリカまでの間の国々、フランス、インド、イギリスといった顔ぶれも10年間で変わらず、いずれも赤字が拡大しています。

経常収支

以上の貿易収支に、「旅行や特許使用料などを対象とする『サービス収支』、配当・利子のやりとりを示す『第一次所得収支』、対価を伴わない無償資金援助などの『第二次所得収支』」(※1)を加えた数値が経常収支です。

2012年
1位 ドイツ
2位 中国
3位 サウジアラビア
4位 オランダ
5位 クウェート
・・・
11位 日本

2022年
1位 中国
2位 ロシア
3位 ノルウェー
4位 ドイツ
5位 サウジアラビア
・・・
8位 日本

※世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/imf_bca.html)より

この10年間の1年ごとにも大きな変化がありますが、基本的な日本の特徴は、上記の貿易収支が大きな赤字であるにも関わらず、それを含めた経常収支は比較的黒字を保っているという点です。
実は日本は『サービス収支』『第二次所得収支』も赤字なのですが、『第一次所得』だけは黒字を保って額も増え続けており、そのおかげで全体的な黒字となっているのです。
これは「日本が過去に貿易で稼いだ巨額のお金を海外に投資し続け、大きな資産を形成してきた結果」(※2)とされており、過度な依存への懸念もされています。

国内の状況に関する指標による比較

ここからは、もう少し私たちに身近な事象にまつわる指標を比較していきます。
公的なデータではない場合が多いため、おおまかな数値として捉えましょう。

消費者物価指数

消費者物価指数は、あるものを買う際に必要な費用が基準年と比べて何%増減したかを表したものです。
2012年は2010年を、2022年は2020年を基準としています。

2012年
1位 ベラルーシ
2位 南スーダン
3位 シリア
4位 スーダン
5位 イラン
・・・
182位 日本

2022年
1位 レバノン
2位 スーダン
3位 ジンバブエ
4位 トルコ
5位 スリナム
・・・
152位 日本

※バーチャートレースアプリ(https://jp.barchartrace.graphtochart.com/stats.php?u=1304)より

実は日本の消費者物価指数はいずれの年も最下位から10か国以内に入るため、世界と比べたら低いと言えます。
しかし、近年の物価の上昇率は私たちが生活をしていても辛く感じることが多いのではないでしょうか。
物価だけでなく収入などの他の数値も併せて考えていく必要があります。

平均収入

そんな収入についても見ていきましょう。
OECDに加盟する35か国のランキングを表示しています。

2012年
1位 コロンビア
2位 スイス
3位 アメリカ
4位 オランダ
5位 ベルギー
・・・
22位 日本

2022年
1位 アイスランド
2位 ルクセンブルク
3位 アメリカ
4位 スイス
5位 ベルギ
・・・
25位 日本

※OECD(https://data.oecd.org/earnwage/average-wages.htm)より

物価高が注目される昨今、同じように注目されている収入ですが、やはり日本は先進国の中でも低い方に入ります。
上位3か国は1.8倍以上の値を計上しており、2012年よりも差が広まっています。

労働時間

では以上の収入はどの程度の労働時間で生み出されているのか、そのランキングを見ていきましょう。
国全体の1年間の労働時間を労働人口で割った数値を、こちらもOECDのデータベースから35か国のランキングで示しています。

2012年
1位 コロンビア
2位 コスタリカ
3位 メキシコ
4位 韓国
5位 マルタ
・・・
22位 日本

2022年
1位 コロンビア
2位 メキシコ
3位 コスタリカ
4位 チリ
5位 韓国
・・・
20位 日本

※OECD(https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm)より

日本だけに注目すると、この10年間で1,700時間程度から1,600時間程度へと減少しています。
他国も減少傾向を見せている国が多く、OECD全体としても若干の減少が見られます。
日本の労働時間は比較的短いようですが、GDPや平均収入を考えると、一概には良いこととは言えなさそうです。

失業率

最後に見ていただくのは、失業率です。
労働力人口のうち、仕事はないものの就業可能のため仕事探しをしていた人の割合を表しています。

2012年
1位 マケドニア
2位 コソボ
3位 ボスニア・ヘルツェゴビナ
4位 ジョージア
5位 南アフリカ
・・・
91位 日本

2022年
1位 南アフリカ
2位 スーダン
3位 ウクライナ
4位 パレスチナ
5位 ヨルダン
・・・
98位 日本

※世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/imf_lur.html)より

みなさんもご存知かもしれませんが、日本の失業率は世界でもかなり低く、2022年にはさらに順位と数値共に下がっています。
世界と比べると、働きたいと思えば働ける環境にあることがわかります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日ごろ耳にする周りの意見と実際のデータは、どの程度乖離がありましたか?
想像通りだった方も、思っていたものと違った方もいらっしゃると思います。
日本の生活水準をどう受け止めたにしろ、こうして自分の目で確かな情報を見て取捨選択して自分なりの意見を持つことと、その意見に沿って最適な行動をしていくことが大切だと考えます。

世界と比べると少し大げさに聞こえるかもしれませんが、みなさんの明日や将来に直結していくことです。
本記事が、みなさんの社会への興味を高め、生活をより良くしていくきっかけになったら幸いです。

参考文献
※1 三井住友DSアセットマネジメント, 「わかりやすい用語集 解説:経常収支(けいじょうしゅうし)」, https://www.smd-am.co.jp/glossary/YST0470
※2 imidas, 「日本が頼る「不労所得」」, 2014年11月3日更新, https://imidas.jp/ichisenkin/g03_ichisenkin/?article_id=a-51-119-14-11-g204

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