「タスクを先延ばししてしまう人必見!克服方法を海外大教授が解説〜TEDの堅苦しいビジネスコラムをわかりやすく日本語で解説!3〜

「タスクを先延ばししてしまう人必見!克服方法を海外大教授が解説〜TEDの堅苦しいビジネスコラムをわかりやすく日本語で解説!3〜

「先延ばしにすることは恥ずべきことや性格的な欠陥ではありません。むしろ、自身が有能であり、価値があると感じるという人として必要なことに根ざしているのです。」
これは教育者であるニック・ボウグ氏の言葉です。

やらなければいけないと分かっていることなのにやる気が起きず、他の関係ないことをしながら先延ばしにしてしまい、結局はギリギリになってから手をつける、もしくは期限に間に合わなかった。こんな経験はありませんか?先延ばしの常習犯である私は恥ずかしながら、こんな経験は日常茶飯事です。今回はそんな「先延ばし」に関するTEDの記事をわかりやすく日本語で解説しました。この記事を読み、私自身も「先延ばし」の原因や克服の仕方、必要な考え方について学び、明日からの生活に生かすことができると感じました。これを読んでいる皆さんにも是非、この感覚を味わっていただきたいです。

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想像してみてください。あなたは次の日が締め切りの論文に頭を悩ませている大学生で、大学の寮の部屋の中にいます。よしやるぞ!と意気込み、机に向かってパソコンを開きますが、その前に一旦メールをチェックしようと考えます。45分後、一通りメールのチェックを終えたあなたはこう思います。なんだか疲れたな。この状態では良い論文は書けないな。どうすればいいかな。寝なきゃいけないな。そこで眠りにつき、目覚めた時にはまた言い訳をして先延ばしを続け、結局手をつけないまま次の日になってしまう。

このような経験はありませんか?大学の論文ではなく、仕事のためのレポート、大学院のプログラムの申請書、もしくはギリギリまで放置をし、ついにやらざるを得なくなった他の何か大切なことかもしれません。

あなたはおそらくその行動に対して自分自身を責めたでしょう。そして思ったでしょう。 「私はどうしてこんなに怠惰/意志が弱い/だらしがない/やる気がない/絶望的/(自分を責めるあなたの好きな形容詞を入れてください)なのだろう」と。

これに対してプリンストン大学で副所長として教育に携わるニック・ボウグ氏(Nic Voge: Senior associate director of Princeton University’s McGraw Center for Teaching and Learning in New Jersey)からあなたにグッドニュースです。「先延ばしにしてしまうことは決して恥ずべきことではありません。弱さの表れでもありません。あなたの欠点でもありません。実はそれはモチベーションの仕組みというものを理解しさえすれば誰にでも予測できるものなのです」と彼は言います。ボウグ氏はプリンストン大学で学部生のためのアカデミック・サポート・プログラムの構想、企画、指導を行っています。彼は様々な先延ばしを見てきたという経験があり、「心の中の葛藤、合理化しようとする心理、正当化しようとする心理などといった、先延ばしに関する原理や仕組みを理解した」と言います。

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人がなぜ物事を先延ばしにしてしまうのかということについては、実は多くの説があります。ある人はやらなければいけないことに向き合うことで生まれるマイナスな感情に対処できないことによって引き起こされるといいます。一方でそれは時間をうまく管理できないことや完璧主義によるものだと考える人もいます。しかしボウグ氏はこの先延ばしというのは実は私たちが思う自身の価値からくるものだと考えています。「私たち全員が持っている欲求の1つとして、自分自身や周りの人たちに能力があり、優れていると思われたいというものがあります。そして、私たちは他の欲求を諦めたり、それと引き換えにしてでもその欲求を満たそうとするのです」と彼は言います。

ここで言っておきたいのは評価されたいという欲求それ自体に問題があるという訳ではないということです。問題となるのは私たちが自身に価値を見出すために優れた成績、上司、両親、または立場が上の人から認められることや評価、もしくは難関大学や高校への合格などといった外部からの評価に大きく依存し、頼ろうとするということです。ボウグ氏は言います。「先延ばしの常習犯というのは、心の中にある単純な方程式を持っています。実際の成果(パフォーマンス)は自身の能力と等しく、さらにそれは人としての自身の価値と同じ、つまり実際のパフォーマンス=自身の能力=自身の価値ということです。」私たちが論文、宿題、仕事などでの失敗やうまくいかないことを異常に恐れる理由は、私たちの能力や人としての価値がそれらによって決まってしまうと感じているからなのです。

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このパフォーマンス=能力=自身の価値の方程式では、私たちが変えることができる変数は、私たちがそのパフォーマンスに対してどれだけの時間や労力を費やしたのかということです。ボウグによると、私たちが物事を先延ばしにして努力を怠るのは自分自身を守るためなのです。そうすることによって、もし悪い結果が出たとしても、それは才能や能力、自身の価値がないからということではなく、単に忙しすぎたり、気が散ったことで十分な時間や労力を注ぎ込めなかっただけということにできるからです。

ここで高校生や大学生だった頃のことを思い出してみてください。試験の前には決まってこういう人たちがいませんでしたか。「みんなが何を言っているのかわかんない、ヤバイ、3時間しか勉強してないわ〜、私なんか2時間しか勉強してないよ、俺はノー勉だよ(一切勉強をしていない)、昨日パソコンがフリーズしちゃったの、最悪」などと誰もが言い始めます。なぜだと思いますか。それはテストの結果が良くなかったときのためにあらかじめこういったことを言っておくことで、自分自身だけでなく、周りの友達やクラスメイトたちへの言い訳となり、自身のプライドを守ることができるからなのです。

先延ばしをしがちな人なら誰でも、この行き詰まったような感覚を経験したことがあるでしょう。多くの人は、先延ばしをしている状態について、目の前の乗り越えられない高い壁や障害物にどうしようもなくなっているような感じと表現するそうです。なんとなく、この感覚、わかりますよね。やらなければいけない重要なことに手をつけていないときには気持ちが落ち着かず、それが睡眠に支障をきたすこともあります。しかし、そのような中でも一向にやる気が起きず、動き出せないことがあります。その時、私たちはそれに取り組み、達成しようとする意欲と失敗への恐怖という、2つの対等な力の間の板挟みになっています。ここで、やらなければいけないことを終わらせることができないことへの恐怖がその失敗の恐怖を上回ったときに初めて、この板挟みから解放されるのです。

それではどのようにしてこの負のサイクルから抜け出すことができるのでしょうか?ボウグ氏は3つの方法を紹介しています。

1. 自分が今何をしているのか、そしてなぜそれをしているのかを意識すること

先延ばしをする心理とそれを克服する方法についての研究から、これまで説明してきた先延ばしに関する理論の知識を得て、理解することが先延ばしの克服につながるということがわかっています。先延ばしの大元の原因を理解することが先延ばしという悪習の克服に役立つのです。先延ばしというのはおそらく自己嫌悪や自暴自棄などといった気持ちからではなく、自分自身を守りたいという欲求から来ています。

まず、先延ばしをしているということを自覚できるようになりましょう。明日が締め切りの資料作成にとりかかかる前に部屋を掃除する必要はないですよね。このようなシチュエーションでは明らかですが、無意識でやっていて自分でも気づきにくい場合もあるため、自分自身に「今自分は先延ばしをしようとしているのか」と聞いてみる必要があるかもしれません。「パソコンのデスクトップから不要なファイルを削除すれば、確かにより集中しやすくなるかもしれませんが、今すぐに部屋を掃除することが必要なのか、それとも大事なことを先延ばしにしているだけなのか。」ちなみに、あなたが今自分が先延ばしをしているのかどうか、自問自答をしている時点で、ほとんどの場合、答えはyesであると言えるでしょう。

次に、何があなたの時間を奪っているのかを知りましょう。私たちは皆それぞれ、先延ばしをしている時にいつも夢中になってしまう特定の何かがあるはずです。それは人によって家の掃除、昼寝、オンラインショッピング、メールのチェック、Netflixの視聴など、それぞれですが、あなたの場合は何ですか?それをしっかりと認識、把握することでそれらに逃げてしまうことを未然に防ぐことに役立ちます。洗濯、昼寝、オンラインショッピングなどといった自分の落とし穴に陥ってしまうことを防ぐことは陥ってしまった後にそこから抜け出そうとするよりもはるかに簡単です。「自身が何に逃げがちなのか、そして何に誘惑されがちなのかを理解すればするほど、それらを克服しやすくなります」とボウグ氏は言います。

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2. バランスをとること

私たちが何かをするときの進捗やそれに対するやる気は「達成」の動機(やりたい理由)と「回避」の動機(やりたくない理由)によって左右されます。例えば美味しくて、かつ健康的なものを食べることのようなためらいのない行動においては「達成」の動機が多く、「回避」の動機が非常に少ないのです。

多くの先延ばしの常習犯たちは、彼らがやるべきことを先延ばしにしてしまう理由は、それをしたくない根本的な理由があるためであるという間違った考えを持っています。多くの場合、そうではありません。失敗への恐怖心が「達成」の動機を邪魔しているだけなのです。例えば上司に指示された競合市場の分析を行う代わりにスマホゲームをしている場合、「回避」の動機、この例では、失敗することを恐れてプロジェクトに取り組むことを避けているということが「達成」の動機を上回っている可能性が高いのです。

そんな時は、なぜそれに取り組みたいのか、あるいは取り組む必要があるのかを考えてみましょう。それに取り組み、終わらせることが、自身のより大きな目標や目的、使命の達成にどのようにつながるのかを思い出すのに役立つかもしれません。そして、それがあまりに大きなものであるなら、それをいくつかの小さな目標に分解し、目の前の1つ1つの目標に順番に取り組んでいくようにしましょう。ボウグ氏はTEDxの講演の原稿を書くのが大変だと感じ、それを先延ばしにしている自分に気づいたため、話す内容をセクションごとに書けるように、まずは全体のアウトラインを作成することにしたそうです。ただしここで、そのアウトラインを作ることやToDoリストを作成することでさらに先延ばしをしてしまわないように気をつけましょう。

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3. 自分の考えを疑うこと

ボウグ氏によると、先延ばしを克服するためにはそもそもその原因となっているような、私たちの頭の中にあり、私たちが正しいと信じ込んでいる考え方を捨てる必要があります。さらに、冒頭で説明した、私たちが無意識に正しいと信じがちな方程式は誤りです。あなたの能力というのはあなた自身の価値と同等ではないのです。最後にボウグ氏は「私たち一人ひとりの価値というものは、優しさや思慮深さといった、人しての資質と私たちの持つ人としての弱さに由来しています」と加えています。

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4. この記事の引用元について

この記事はニック・ボウグ氏(Nic Voge) によるTEDxPrincetonUにおける講演 “Self Worth Theory: The Key to Understanding & Overcoming Procrastination” (2017)を引用、参考にし、ダーリル・チェン氏(Daryl Chen)によって書かれ、TED Ideas (https://ideas.ted.com/)に掲載された記事を引用して作成しております。

引用元の記事:https://ideas.ted.com/tired-of-procrastinating-to-overcome-it-take-the-time-to-understand-it/

5. ニック・ボウグ氏(Nic Voge)について

ニック・ボウグ氏(Dominic (Nic) Voge):プリンストン大学(アメリカ・ニュージャージー州)マックグロウセンター副所長として教育に関わる様々な活動に参加。“Life Beyond Grades”を著書にもつ。

こちらは引用記事の引用元であるニック・ボウグ氏のTED×プリンストン大学(TEDxPrinceton)の講演です。

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