2025年度版 インコタームズ最新版における建値の種類、その違いと営業時の使い方を解説!

この記事は2025年4月4日に更新されました。
貿易時の価格設定の際に必要な建値の種類は複数存在し、「どのように使い分けをすれば良いの?」と思う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこれらの違いと使い方を解説します。
貿易取引において、費用やリスクの負担の範囲を明確にするために、インコタームズ(Incoterms 2020)という国際商業会議所が定めた貿易条件が使われます。特に、EXW(工場渡し)、FOB(本船渡し)、CIF(運賃・保険料込)などの条件がよく利用されています。それぞれの条件が示す「危険負担」や「費用負担」の範囲は異なるため、これらの違いを理解しておくことは貿易において非常に重要です。
この記事では、これらの貿易条件の違いを詳しく解説し、それぞれがどのように適用されるかについて説明します。実際の取引においては、商談条件におけるリスクや費用負担を正確に理解し、双方が合意できるようにすることが求められますので、本記事を読み、ぜひご活用ください。
目次
EXW(Ex Works)
EXW(Ex Works / 工場渡し)は、売主が自社の工場または指定場所で貨物を引き渡す時点で、すべてのリスクと費用が買主に移転するという条件です。EXWは、売主の負担が最小限に抑えられる条件であり、買主が貨物の引き取りからすべての手続きを担当します。
EXWの費用負担
売主は、貨物を工場や倉庫で引き渡すところまで責任を負います。それ以降の費用やリスク(輸送費、保険料、通関手続きなど)はすべて買主が負担します。特にEXWは、買主が自らの責任で貨物を運搬し、通関手続きも行うため、全てのコストを買主が把握できるメリットがあります。
EXWの使いどころ
EXWは、主に売主が商品を自社工場で準備し、買主がその後の物流や通関を全て管理する場合に使われます。売主の負担が最小限であり、買主にとっても費用やリスクをしっかり管理できるため、特に輸出手続きに慣れたバイヤーに利用されることが多いです。
FOB(Free On Board)
FOB(Free On Board / 本船渡し)は、指定された積込港で貨物が本船に積み込まれた時点で、売主から買主に危険負担が移転する貿易条件です。FOBの特徴として、貨物が船上に積まれるまでのすべての費用とリスクが売主の責任となり、それ以降は買主が負担します。
FOBの費用負担
売主は、貨物を指定の積込港まで運び、貨物を本船に積み込むまでの費用を負担します。これには運賃、保険、通関手続きが含まれ、売主の負担となります。積み込み後の海上運賃や保険、荷役費用などは買主が負担します。日本の港では、船に積み込む手配を売主が行い、それ以降の船の手配は買主が行うのが一般的です。
FOBの使用例
FOBは、よく使われる貿易条件であり、特に日本の輸出業者が多く利用しています。売主側が貨物を船上に積み込んだ時点で商談が成立するため、リスクやコスト管理が比較的容易で、貿易において最も一般的な取引条件の一つです。
CIF(Cost, Insurance and Freight)
CIF(Cost, Insurance and Freight / 運賃・保険料込)は、売主が運賃と保険料の両方を負担する条件で、指定された仕向港までの費用負担が売主にあります。CFRと似ていますが、売主は保険料も負担し、買主がその後のリスクを負う形です。
CIFの費用負担
売主は、貨物の運賃および海上保険料を負担します。これにより、貨物が仕向港に到着するまでのリスクを売主がカバーします。買主はその後のリスクを負い、仕向港での費用(税金や通関手続き)を負担します。
CIFの使用例
CIFは、特に輸出業者が自社の製品を販売する際に多く利用されます。保険料も売主が負担するため、リスクを抑えた取引が可能になります。この条件は特に中小企業の取引でよく使われます。
まとめ
これらのインコタームズ(EXW、FOB、CIF)の違いを理解することは、国際貿易を行う上で非常に重要です。どの条件を選ぶかは、売主と買主の商談における交渉力やニーズによって異なります。一般的に、FOBやCIFは多くの貿易で使われるため、特にこれらの条件について理解を深めることが必要です。
商談条件を交渉する際には、それぞれの条件が示す危険負担や費用負担をしっかり把握し、双方が納得できる形で取引を進めていきましょう。特に、異なるインコタームズが提示された場合には、慎重に条件を確認し、どこまでが自分たちの責任であるのかを明確に理解することが重要です。