【ゾンビ企業】韓国経済は沈没船である。
本業の儲けで利息が支払えない「ゾンビ企業」が韓国で急増している。朴槿恵(パク・クネ)政権が、改善すると掲げているが今からひっくり返すような具体的な施策もないため、大量失業や深刻な景気後退の可能性が非常に高い。
このような企業が韓国で増えてしまった背景には何があったのだろうか。
韓国のゾンビ企業
改めて、ゾンビ企業とは「実質的に破綻しながらも営業を続ける企業」のことである。
2016年10月19日、韓国・中央日報によると韓国のゾンビ企業は現在このような状況のようだ。
ゾンビ企業は韓国経済の体質を悪化させ、競争力を低下させる主な原因といわれている。米大手コンサルティング会社「アリックスパートナーズ」の分析によると、韓国のゾンビ企業の比率は14年10~12月期は11%だったが、今年4~6月期は15%に増加した。米国のゾンビ企業の比率は5%、日本は2%に過ぎない。欧州・中東・アフリカ地域の平均も7%と、韓国の半分ほどの水準だという。
アリックスパートナーズは「14年以降、韓国企業の不健全化のリスクは増加しており、特に第3,4半期内に倒産するリスクが高い高危険群の比率が急増している。ゾンビ企業の危機が韓国企業全体に転移する可能性がある」と指摘した。
出典:excite.co.jp
この韓国のゾンビ企業数は日本の約7倍にあたり、財閥傘下の企業が多く見られることが懸念される。
韓国の企業経営評価サイト「CEOスコア」が2010~2015年の6年間の間で「韓国・米国・中国・日本」4カ国の大企業500社を対象に企業の利子補償倍率を分析しました。
その結果、韓国の利子補償倍率1未満の企業が6年間で平均78.8社と4カ国の中で潜在的不良企業が最も多かったのだ。
つまり、韓国500大企業のうち15%ほどは潜在的な不良企業だということになる。
中国が6年間平均45.8社で韓国の次に多く、米国は21.8社、日本は15社だった。
破綻を防ぐために幾つかの韓国企業は手を打とうと試行錯誤しているが、実を結んではいない。
この韓国企業リストのうち2016年5月27日に法定管理(日本の会社更生法適用に相当)を申請したのが韓国造船4位のSTX造船海洋だ。安値受注による規模拡大で経営が悪化。債権団から4兆5000億ウォン(約4120億円)の支援を受けたが、持ちこたえられなかった。
韓国の造船メーカーはウォン安を武器にシェアを伸ばしてきたが、中国経済の失速などで受注が激減、日中メーカーとの競合もあって経営が落ち込んでいる。造船ビッグスリーの一角、大宇(デウ)造船海洋は昨年度、2兆9371億ウォン(約2690億円)の連結営業赤字を計上。今年1~3月期も赤字が続く。
海運大手2社も沈没寸前だ。柳一鎬(ユ・イルホ)副首相に「一番心配な会社」と名指しされたのが、現代(ヒュンダイ)グループの現代商船。債権団に追加支援を求めているが、海外の船主と船のリース料引き下げ交渉や社債の満期繰り延べなど債務再編を完了させる必要がある。
大韓航空などを抱える財閥、韓進(ハンジン)グループの主要企業、韓進海運も厳しい。“ナッツ姫”の父としても知られる趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長は、同社の経営権を放棄すると発表。債権団主導で再建を進めているが、リース料の引き下げ交渉は難航している。
リストには建設関連企業が9社、石油化学が6社入ったほか、自動車や外食も名を連ねた。
朴政権はゾンビ企業の改革を掲げるが、4月の総選挙で与党が大敗したこともあり、景気浮上や雇用対策が進むかは不透明だ。韓国経済新聞は、朴政権の企業改革について「戦略や方向は見えもしない。指令塔すら決定されておらず、構造調整が進行中なのかすら疑わしい」と批判している。
出典:http://www.zakzak.co.jp/
また自動車業界も悲鳴をあげているようだ。
韓国大手現代車(HYONDAI)はストライキによって多額の損失を出し、インドにも抜かれて世界シェア5位から転落した。
出典:Repokar
2016年10月26日聯合ニュースではこう報道されている。
韓国大手自動車企業、現代車(HYONDAI)グループ全体の役員の10%給与削減を招いた危機は、様々な要因が重畳して作用したことから始まった。
現代車グループの核心系列会社である現代車と起亜車は、グローバル景気低迷の長期化の中で、内需市場まで萎縮されたうえ、労組のストによる生産支障まで毎年繰り返されるなど「内憂外患」に包まれている。
危機はブラジルやロシアなど、新興市場から始まった。原油価格の下落などでブラジルとロシアの通貨価値は2011年と比較し、現在50∼55%下落した。
これは自動車市場の縮小につながった。ブラジル・ロシア地域に対する現代・起亜車国内工場の車両の輸出台数は2011年23万8千台で2015年5万9千台75.2%急減した。
出典:聯合ニュース
さらに世界的に有名な韓国最大手サムスン電子も端末(ギャラクシーノート7)が爆発したことにより大幅な機会損失と利益損失を出し、実質赤字転落と騒がれている。
出典:http://106hotline.jp/
サムスン電子にとって創業以来の危機的な状況で、今回の事件で消費者の信頼が地に落ちてしまった。世界中の航空会社がギャラクシーノート7の機内への持ち込み禁止とすることも決まっている。いうまでもなく空輸も全て禁止であるため陸路か海路でしか海外に出せなくなってしまった。
*爆発した端末▼
出典:http://www.news-us.jp/
サムスン電子はギャラクシーノート7の生産打ち切りによる今後の損失が3兆ウォン半ばにのぼる見込みだ。すでに損失として確定した3兆6000億ウォンを加えると、全体の損失は7兆ウォン(約6440億円)にのぼる。
サムスン電子は14日の販売中断による機会損失が今年10-12月期は2兆ウォン台半ば、来年1-3月期は1兆ウォンと明らかにした。正常に販売していれば稼げたお金をそれだけ失ったということだ。ギャラクシーノート7事態による機会損失の予測値をサムスン電子が公式に明らかにしたのは初めて。会社側は「(証券)市場の理解を助けるため」と説明した。
これに先立ちサムスン電子は12日、7-9月期の暫定実績を訂正公示し、営業利益を7兆8000億ウォンから5兆2000億ウォンに修正した。この数値はギャラクシーノート7の生産・販売中断、回収・支援金などの費用3兆6000億ウォンが反映されたものだ。
サムスン電子はギャラクシーノート7の空白による実績悪化をギャラクシーS7やS7エッジなど従来の製品の販売拡大を通じてカバーする計画だ。また、製品の安全性強化のために内部品質点検プロセスを全面的に改編する。サムスン電子の関係者は「スマートフォンだけでなく家電など生産製品全体に対する安全も点検することになる」と述べた。
株価の下落も止まった。ギャラクシーノート7生産中断発表(11日)前後に3日間(10-12日)で10%(17万1000ウォン)下落したサムスン電子株は前日(1.43%、2万2000ウォン)に続き14日にも1.28%(2万ウォン)値上がりし、157万7000ウォンで取引を終えた。
サムスン電子が下半期の主力フォン事業を終えた中、アップルのiPhone7とiPhone7プラスが反射利益を受けている。14日に予約販売を始めた両製品は3カ所の移動通信会社を通じて一日に10万台ほど売れた。2014年に発売されて国内で80万台ほど売れたiPhone6とiPhone6プラスの予約販売初日の実績と似た水準だ。KTは「この日午前9時に予約販売を始めたが、開始1分で販売2万台を超えた」と明らかにした。
移動通信会社はiPhone7とiPhone7プラスの価格と公示支援金も公開した。公示支援金は最も多くの加入者が選択する月6万ウォン台料金制で▼KT10万500ウォン▼LGユープラス7万1000ウォン▼SKテレコム6万9000ウォン。ギャラクシーノート7やLGエレクトロニクスV20の支援金の半分ほどだ。
価格面では購買時に支援金を受けるよりも約定期間20%の料金割引(2年約定の場合18万-52万ウォン)を受けるのが有利だ。
出典:中央日報
韓国の経済成長率はどうなっているのか。
出典:IMF April 2016 WEO
前述の多数の大手企業低迷により韓国経済にも影響が出ている。韓国経済成長率は低成長で、かなり深刻な状況ととらえるべきだろう。
今年3分期(7~9月)の韓国経済は前分期に比べて0.7%の成長に終わった。4分期連続の0%台成長率だ。しかも不動産の活況と補正予算の景気浮揚効果に依存したものだ。韓国経済が事実上「低成長のドロ沼」に陥ったことに加えて、「成長の質」まで悪化していると指摘されている。
韓国銀行が25日発表した「2016年実質国内総生産(GDP)速報値」によれば、第3四半期のGDPは377兆9524億ウォン(季節調整系列・約35兆円)で、前期より0.7%増加した。これは第2四半期(0.8%)よりは0.1%減少した数値だ。韓国経済は2015年第4四半期以後、0%台成長率を4分期継続していて、2014年第2四半期以後の10分期の間ではただ一度だけ1%台に上がった。昨年同期対比成長率も第3四半期は2.7%に終わり、第1四半期(2.8%)、第2四半期(3.3%)より低水準だった。
0%台低成長が持続していることよりさらに深刻なのは「成長の質」が悪化している点だ。韓銀資料によれば、第3四半期成長率を支えたのは建設投資と政府消費だ。実際、建設投資は前分期対比増加率が3.9%、昨年同期対比増加率は11.9%で最も高かった。政府消費の増加率もそれぞれ1.4%と4.0%でかなり良い実績を示した。憂慮の恐れがあるのは民間消費と設備投資の影響力が過度に小さくなっている点だ。
企業の生産活動に関連した設備投資増加率が前分期対比-0.1%、昨年同期対比では-4.5%に終わり、民間消費増加率もそれぞれ0.5%と2.6%に留まった。これは、製造業の成長潜在力が萎縮して家計の消費余力が減っている現実を示している。実際、第3四半期の製造業活動は前分期対比-1.0%でマイナス成長だったが、これは2009年1分期(-2.5%)以後7年6カ月ぶりの最低水準だ。
出典:http://kankoku-keizai.jp/
韓国国民の自国に対しての評価
この危機的な状況に朴槿恵(パク・クネ)大統領、韓国政府は実質なにもできていない。ここまでの状況になるまで何もできなかったのだから、今更改善しろと言っても難しいだろう。
これに対し韓国国民の90%以上が危機感を感じていることが朝鮮日報と韓国経済研究院の調査によりわかった。
朝鮮日報と韓国経済研究院によると、17日から19日の3日間、800人の成人男女を対象に韓国経済に関するアンケート調査を行った結果、現在の状況について51.4%が「深刻な危機」、39%が「やや危機」と回答した。二つを合わせると、90.4%に達する国民が現在の状況を「危機」と判断したことになる。
韓国経済研究院のペ・サングン副院長は「低成長経済に回復の兆しがない上、最近は韓国の代表企業のサムスンや現代自動車まで不安定な姿を見せているため、国民の危機意識が高まった」と説明した。
政府の経済運用の成果に対する国民の視線も冷ややかだ。現政権になって改善された経済分野を問う質問では、55.8%が「ない」と回答。また、現政府の代表的な経済設計図である「経済革新3か年計画」について「知らない」と答えた人は45.1%に達した。「知っている」と答えた人も、「経済革新3か年計画」について100点満点中、落第点の39.3点をつけた。
出典:http://www.recordchina.co.jp/
第2のギリシャ化になる可能性
いうまでもなく韓国は中国経済に大きく依存している。
中国は韓国にとって貿易総額で第1位の貿易相手国。2003年に対日貿易額を、2004年に対米貿易額を上回り、 2015年は約2274億ドルで、韓国の貿易額全体の約25%を占める。同年の対中輸出の割合は26.0%、対中輸入の割合は20.7%。米韓自由貿易協定(FTA)のお陰で米国向け輸出も増えているが、中国との関係は抜き差しならないところまで来ている。
出典:http://www.fsight.jp/(2016年8月31日)
韓国にとって中国の景気後退は最大のリスクになる。ところが対中国への輸出が落ち込み、韓国の輸出は全体で19カ月も連続で減少している。
さらに冒頭に紹介した韓国最大手海運企業の1つ「韓進海軍」のとんでもない事実が発覚した。
出典:http://b.pasona.co.jp/
現在「韓進海軍」は実質破綻していることから、法定管理となり裁判所に再建されるか、倒産させられるかの判断を待っている。
だが「韓進海軍」が負債を残してただ単に破綻したわけじゃなく、世界中から仕事を引き受けた状態で破綻をしてしまったのだ。つまり、韓進海軍が請け負っている大量の荷物は中に浮いているのである。
この韓国史上最大の物流混乱は世界的に大損失を及ぼすことが明白となっており責任は全て韓国が担うことになると考えられる。
破綻の仕方が最悪だった。なんと、8,300社から荷物の仕事を引き受けた状態で破綻したのだ。
法定管理になったその日、港湾使用料・備船料を600億円ほど滞納していた理由で、韓進海運は外国の港への入港を拒否された。現金で払わない限りは入港できず、コンテナも差し押さえとなったのだ。その荷物の規模は、総額140億ドルともいわれている。日本円で約1兆2,500億円である。こうして物流混乱は始まった。
港に入れずにいる韓進海運の船の荷物は、米国・中国・日本で9割を占める。米国には、「ハロウィーン」や「ブラック・フライデー(クリスマス商戦の開始日)」のために用意された荷物が大量に運ばれる予定だった。
その中には、あの世界一のスーパーマーケット・ウォルマートや、Amazonなど世界的な企業の荷物が多数存在している。仮にこれらのコンテナがブラック・フライデーの準備に間に合わない場合には、140億ドルはくだらない超高額訴訟が待っているのだ。
韓国経済はこの時点で自らを死に追いやるような、とんでもないことをしでかしたわけだ。しかも、韓国政府は韓進海運を助けようとせず、あくまでも韓進グループに金を出させるという斜め上の対応を行った。この事態を重く見たアメリカ政府は、要人を韓国に送り、韓国政府に混乱を鎮めるように要請。しかし、いまだに全くもって収まっていない。韓国政府がやっているのは、責任のなすりつけ合いである。
現実的に、韓国政府は大宇造船海洋の構造調整で公的資金を投入して批判を浴びているので、韓進海運を助けるというのは難しいのだろう。しかし、どう考えても大宇造船海洋よりも世界的な影響が大きい。助ける義務はないが、漂流中の荷物を適正に処理しなければ、韓国経済が破綻するほどの超高額訴訟が巻き起こる。そうなってしまえば、もうどうしようもない。
1日ごとに賠償額は膨れあがっていくわけで、コンテナの中身が生鮮食品ならば、すでに商品価値がないかもしれない。そういった意味でも、一刻も早く荷物を降ろすことが重要だ。それなのに、どうも韓国政府は事態の緊急性に気付いていないようである。韓国庶民の認識レベルも低い。
唯一、サムスン電子だけが事態の緊急性に気が付き、韓進海運が払わない港使用料を立て替えて、自分のところの荷物だけを降ろさせて別の船で運ぶということをしている。このあたりは、さすがサムスン電子の対応力といったところだ。「Galaxy Note7」が爆発してリコールしたことで、空輸で運べなくなったのも大きいのかもしれない。
出典:MONEY VOICE
ここまで崩壊してしまった原因は1つ。ライバルからシェアを奪う為に安値受注による規模拡大で経営が悪化し、中国経済の後退も相まっての自滅である。
そもそも韓国の輸出ルートは、北朝鮮に「陸」を押さえられているので、「海」と「空」の2つである。
「空」は輸送コストが高くつき、量も運べないため「海」の輸出ルートが選ばれるわけだが、今回の韓進海運破綻で、「海」の輸出ルートも失われることであろう。
この破綻を早期に気付けなかったことも愚かだが、韓国史上最悪な物流混乱を引き起こしてしまったのにもかかわらず、誰が悪い、誰が悪くないと政府も含め言い争っている。
今はそんなことをしている場合ではないだろう。国一丸となって立ち向かうべき問題ではないのか。
表面上をみれば安定しており、国民も不自由を感じることなく生活しているわけだが、対応を誤れば韓国経済はたちまち破綻に追い込まれてしまうだろう。