ゴールドラッシュ!?日本企業の海外進出が増加する理由とは
円熟した高度経済社会や少子化といった将来の先行きが不透明な日本では、ますます企業のグローバル化が求められています。大企業はもとより中小企業まで、国内のみの需要ではとうてい企業としての生き残りが不安な状況にまで迫っています。そんななか、視点を国外に移して海外市場への積極的な参入が急務といわれています。ただ、国内とは環境も条件、文化も異なるため安易な方針で進出すると手痛い失敗となるリスクも大きいことを忘れてはいけません。日本企業が海外で成功するための必須条件とは何でしょうか。実際に海外進出を果たした日本企業の実例を挙げながらご案内します。
目次
日本企業が海外で成功するための必須条件
企業として具体的な目標があるか
海外進出は国内で会社を立ち上げるのと同様もしくはそれ以上の困難が待ち受ける大事業です。これまで海外進出というと新興国の安い労働力を求めてコストのために行うといったイメージが根強くありました。いまでも中小企業で海外未進出の企業の中にはコスト削減のために安易に海外市場へのチャレンジを目論むケースも少なくありません。しかし、安価で良質な海外製品が市場のシェアを占めるようになり、コスト面だけで海外市場の取り込みを図ろうとするのは危険になっています。
海外進出に成功している企業は成長著しいアジアやアフリカ等の経済発展国を消費市場のマーケットとして捉え、自社のさらなる成長を第一に考えた戦略的な進出を果たしています。もちろん、今後の日本は災害や経済停滞のリスクの増大が予測されており、日本だけを拠点にしていては企業としての生存が危ぶまれる事態となっています。積極的に確固たる目的を持って実行するのが理想である一方、コスト面やリスクの分散といった現実的な要素もしっかりと見つめておかなければならないのです。
中小企業ほど工夫をこらした進出が必須
実際に海外進出をしている中でも中小企業ほどリスクを見据えて分散させる戦略を具体的に巡らせています。人材が足りなかったり資金面で心配であるなど大企業より多大な不安を抱えています。そこで成功した中小企業ほど同業他社と連携して国や地域を絞り進出したり、市場の中でどれほど自社がオリジナルな価値を提供できたりと様々な試行錯誤を行っています。
自社の技術や製品を客観的に見つめて、日本とは違う世界でどういった位置づけをされるのかをシビアに見つめることから始めた進出計画が必要といえます。
海外進出成功事例(1)中国・ハニーズ
福島県に本社のあるハニーズは中国でのチェーン展開を進めるアパレルブランドです。中国での現地生産を実現したのが2006年。中国での運営を中国人社員に任せて成功した事例です。流行のデザインを安くスピーディーに市場へ投入することで瞬く間に中国の若い世代を中心にファンを獲得してきました。日本からの駐留は必要最低限の人間に留めて現地社員による中国に合わせた経営を進めているところが成功のポイントだといえます。
海外進出成功事例(2)タイ・CoCo壱番屋
インドをはじめ東南アジアはカレーや香辛料を多用する食文化が発展してきました。そこへ進出して成功したのが名古屋発祥のCoCo壱番屋です。カレーのチェーン店として日本で根強い人気がありますが、中国をはじめASEAN諸国からアメリカやハワイにまでグローバルな展開をしています。
ココイチがここまで成功した理由はずばり現地のカレーブランドとの差別化です。
タイの標準的な月給は日本円で5万ほどです。それに対して日本でのココイチの標準的なカレーの価格は600円ほど。
日本の適正化価格で市場に切り込んで行くのか、値段を下げて現地の競合と競っていくのか選択を迫られました。
そこで日本の米とルーを輸入して提供することで価格を下げることなく高級路線で展開していくことにしました。
通常、現地の人に向けて味を変えて勝負する外食産業が多い中、あえて現地での差別化を貫いたことが「世界最大のカレーチェーン」とまでいわれる基礎を築いたといえるでしょう。
海外進出成功事例(3)インドネシア・大塚製薬
「スポーツドリンクといえばポカリスエット」とまで言われるようになった大塚製薬の主力商品もインドネシアに進出した際には売れ行きが低迷していました。熱帯という気候の影響でスポーツはおろか入浴や飲酒の習慣もほとんどなく、汗をかいて水分補給をするというアイデアが受け入れられなかったといいます。そこで注目したのがイスラム教徒の多いインドネシアの国民が断食をすることです。長時間、食事や水分も断った後ではスピーディーな水分補給やミネラル、ビタミン補給が必要です。ラマダンとポカリスエットを水分補給で結びつけることで飛躍的に販売本数を伸ばしたのです。
まとめ
以上は日本企業が海外で成功したほんの数少ない事例に過ぎません。
それぞれのケースから読み取れることは、日本での考えに固執せず現地の文化に柔軟に合わせて戦略を練ることが成功につながっているということです。中小企業でも工夫を凝らすことで実際に進出することができています。やはりアジア方面は距離が近く生活文化も近しいので市場に切り込みやすいのではないでしょうか。
常に流動的に動いている海外市場に当然日本の常識は通用しません。海外進出はあくまで現地の消費市場でオリジナルな価値を提供できるかが勝敗を決めると考えてよいでしょう。