アリババ会長「アリババ創立は失敗だった」

アリババ会長「アリババ創立は失敗だった」

2014年に中国の長者番付第1位に輝いた馬雲(ジャック・マー)アリババ・グループ・ホールディングス会長は「私の人生最大の過ちはアリババを創立したことである」と語りました。「永遠不放棄」(絶対に諦めない)、「諦めることこそ、最大の失敗だ」と発言していた彼に一体何があったのでしょうか。

「ビッグビジネスはもうやりたくない」

2016年6月中旬、ロシア・サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで講演した際、「今までで最大の失敗は何ですか」との質問にこう答えました。

「人生で私のした最大の失敗はアリババを創立したことです」「できるなら、どこか違う国で平穏に暮らしたい。ビジネスも、他の仕事も、もうしたくない。」

昨年6月、ニューヨークで講演した際も、「もし、もう一度人生をやり直せるのならば、株式を上場せずに、個人事業をやりたいと思っている」「月に720ドル(約7万4000円)稼いで、好きなように使っていたときが、私には最高の時代だった」と観衆の笑いを誘っていましたが、中国市場を掌握したマー氏は急速に成長していくビジネスに伴う責任やトラブルに疲弊したことをさりげなく吐露していました。

ジャック・マーの生い立ち

一代で巨万の富を築き上げたマー氏の生い立ちを簡単にご紹介しましょう。

馬氏は1964年生まれ。杭州師範学院外国語学科で英語を学び、杭州電子科技大学で英語の教師をしていた。1995年に米国を訪問し、そこで初めてネットビジネスと出会い、帰国して4年後の1999年にアリババを立ち上げた。
出典:news-postseven.com

小さい頃から勉強はできなかったが、英語が得意だった彼は英語教師をやりつつ翻訳会社を立ち上げます。ですが、最初のひと月目の収入700元、テナント料2000元の赤字スタートでした。仲間たちが焦りを感じる中、彼は諦めずに続ければ必ず先が見えるはずだと動じず、2年間で杭州及び浙江省で最大の翻訳会社となりました。その後、通訳の関係で行ったアメリカで初めてソーシャルネットワークに触れ、「ソーシャルネットワークは世界を変える」と確信しました。すぐさま中国国内の企業情報を集めたサイトをつくろうと決心し、1995年4月彼と妻、そして一人の友人とともに2万元[当時1元=約10円]の資金を集め、イエローページという企業向けの専門サイトを開きました。当時の中国ではSNSは知られておらず、周りも反対がほとんどだったため、最初期に中国でSNSを始めた会社の一つになりました。

大企業ではなく中小企業のために

1997年、国の対外貿易政策の招待を受け、貿易に関わる公式サイトを構築する。これを機に、杭州の一人のビジネスマンに過ぎなかった彼が大きく視点を変えることになる。もはや井の中の蛙ではなくなった。そして1999年国の政策から身を引き、二度目の創業。ITビジネスを始める。彼自身、杭州の中小企業として奮闘してきた経験から、大企業のためではなく、中小企業のための経路となろうと考えたのだった。

鯨をあきらめて、エビを取る

大企業は鯨のようだ。中小企業はえび。鯨はえびを食べる。えびも鯨のおこぼれの魚を食べて生きている。互いに依存し合っている。15パーセントの大企業ではなく、85パーセントの中小企業とのビジネスだ。と。

大企業はすでに自分たち専門の情報ルートを持ち、巨額の広告費を投じることができる。しかし中小企業はそうではない。彼らこそSNSを必要としているのだ。自分が彼らをリードし、IT革命を起こそう、と。

「アリババ」が誕生

こうして1999年9月 阿里巴巴集团創業。`アリババ‘ サイトが誕生。中小企業でも手軽に世界の市場とつながり、貿易の機会を得ることができるようになったのだ。

投資の話が持ちかけられた。しかし彼は、リスクが大きいと考えられた38社の申し出を断り、1ヶ月後、500万ドルの投資を得る。

出典:money-academy.jp 一部抜粋

「中国のスモールビジネスを助ける」

生い立ちにもあったように大企業ではなく中小企業のために、つまり中国に無数にある小さなビジネスを助けるというのがアリババのビジネスモデルです。

今では中国全体の宅配便のうち70%がアリババの販売品といわれ、中国のEコマース取引のうち約80%がアリババのサイトを通じて行われている状況です。

とてもわかりやすく、そして正直なこのアプローチのおかげで、アリババはどんどん利用者を拡大し、アリババのおかげで地方の「小さな商売人」たちも世界を相手にビジネスをした。
出典:toyokeizai.net

「何でもある」「どこまでも届ける」「何でもできる」という究極のオンラインプラットフォームを求め続けている。
出典:bizacademy.nikkei.co.jp

ここまでみればマー氏の当初の目的は既に達成したと言えるでしょう。中国だけにとどまらず、世界的なビジネスモデルとなり2016年3月期の決算は下記となっています。

・営業利益
291億元(前年同月231億元から26%増加)

・売上高
1011億元(前年同月762億元から33%増加)

・通期の総取引額
3兆920億元(前年同月2兆4440億元から27%増加)

・最終利益
712億元(前年同月243億元)

出典:ecnomikata.com

ジャック・マーの葛藤

9月19日にニューヨーク証券取引所に上場したが、僅か1年で株価が半減し粉飾決算の疑惑も投げかけられそれ以降のマー氏は講演会等で非常にネガティブな発言しているのが目立ちます。

馬氏は「巨額の金を持っていない時は、その金をどう使うべきかを知っているが、億万長者になれば、その金は自分のものでなくなってしまう。その金は(私に対する)人々の信頼であり、私の責任となる」と述べた。

馬氏は常々「100万ドル持っていれば運が良くて幸せな人だが、1000万ドルを超えれば、多くの責任や負担が伴う」と語っている。
出典:news-postseven.com

中国メディアによると、馬氏はロシアで「これ(アリババ集団)が私の人生をこんなに変えてしまうとは全然思わなかった。もともと小さな会社を作りたかったのに、こんな巨大な企業になってしまった。私には手に負えないほどの責任とトラブルをもたらした」と述べた。そのうえで、馬氏は「来世があるならば、もう2度とこんなビジネスには手を突っ込まない」とも語り、その理由として「いまやアリババのビジネスにすべての時間を使っている」として、分刻みのスケジュールに疲れたと愚痴をこぼしている。
出典:http://news.livedoor.com/

アリババの成長に伴い、抱えきれないほどの責任やトラブルが頻発し自分の時間を全てビジネスに注ぎ込むことになり疲れてしまったことが見受けられます。アリババで成功するまでに40社以上の企業を興し、何があっても諦めなかった以前の姿が嘘のようです。

まとめ

破天荒な人生を歩み、莫大な富を入れたはずなのにネガティブな発言が多くなったマー。現在中国の中間層の規模が約3億人存在しており、10年内に5億人を超えるという見通しを立てています。今後は他の世界的な企業と競争するのではなく、各国が中国に進出してモノを販売する際に支援するといった別の道を目指していくという意志を表していますが、今までのようなガツガツとしたビジネスがまた見られるのか、密かに楽しみにしています。

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