紫外線吸収剤は体に悪い?~世界の日焼け止めと比べてみた~

紫外線吸収剤は体に悪い?~世界の日焼け止めと比べてみた~

 皆さんは普段日焼け止めを使用していますか?今回は、SPF、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤など日焼け止めの成分・効果の説明と、海外で人気な日焼け止めやそれにまつわる法律を紹介していきます!是非ご覧ください。

日焼け止め成分

 日焼け止めには、紫外線を肌に透過させないようにする紫外線防御剤が配合されています。紫外線防御剤は大きく分けて、2種類あるのです!まずはそんな紫外線防御剤について紹介していきます。

紫外線散乱剤

 紫外線散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの鉱物微粒子で、肌の表面で紫外線を反射して散乱させます。白い粉末からできているため白浮きしやすいという欠点がありますが、肌への刺激が少なく、敏感肌の方でも使いやすいのが特徴です。

代表的な紫外線散乱剤

  • 酸化チタン
  • 酸化亜鉛
  • フッ化セリウム
  • ミカ

紫外線吸収剤

 紫外線吸収剤は、オキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの有機化合物で、紫外線を吸収して熱エネルギーに変換します。白浮きしにくく、化粧下地としても使いやすいのが特徴です。しかし、肌への刺激がやや強いため、敏感肌の方はかぶれる可能性があります。

代表的な紫外線吸収剤

  • オキシベンゾン
  • メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
  • メトキシケイヒ酸オクチル
  • アボベンゾン
  • メチルベンゾイルメタン

日焼け止めの効果の判断基準

SPFとは

 日焼け止めによく記載されている「SPF」は、短時間で肌に赤みや炎症を起こさせ、黒化につながりやすくなる、紫外線B波(UVB)を防ぐ効果を表す指数です。数字が大きいほど、効果が高くなります。

  • SPF15:何も塗らない場合に比べて15倍長い時間、UVBによるサンバーン(赤みや炎症)を防げる
  • SPF30:何も塗らない場合に比べて30倍長い時間、UVBによるサンバーンを防げる
  • SPF50+:何も塗らない場合に比べて50倍長い時間、UVBによるサンバーンを防げる

また基本的に日焼け止めの効果は、1SPFにつき20分となっています。

PAとは

 PAは、Protection Grade of UVAの略で、一時的な黒化を引き起こし長時間かけて肌の弾力を失わせる、紫外線A波(UVA)を防ぐ効果を表す目安です。4段階の「+」マークで表示され、「+」の数が増えるにつれ、UVAに対する防御効果が高いことを表しています。

  • PA+: UVAを防ぐ効果がややある
  • PA++: UVAを防ぐ効果がある
  • PA+++: UVAを防ぐ効果が高い
  • PA++++: UVAを防ぐ効果がとても高い

 PAはSPFと異なり、具体的な数値で表されるわけではありません。しかし近年では、より詳細なUVA防御効果を測定する方法が開発されており、一部の日焼け止め製品では、PAに加えて数値でUVA防御効果を表すものもあります。

日焼け止めは何時間おきに塗りなおすべき?

 「日焼け止めはこまめに塗りなおさないと意味がない」ということを聞いたことのある人は多いのではないでしょうか??先ほど述べたように基本的に日焼け止めの効果は1SPFにつき20分になっており、SPF30である場合、20×30=600分(10時間)であるため塗り直しは必要なさそうですよね…
しかし、以下の実験をご覧ください。


【条件】
・半袖
・ショッピングモールに買い物、ランチ(外出時間5時間)
・塗ったところが多少こすれることも
・腕に汗はかかず

かなり落ちていることが分かりますね。2~3時間おきに塗りなおしていきましょう!

各国の日焼け止めの特徴

日焼け止めの成分や効果について分かりましたね。続いては、海外の日焼け止めの特徴をご紹介します!

アメリカ

特徴
・SPF値が高いものが多い:SPF30以上が主流で、SPF100を超える製品も販売されている。
・紫外線B波(UVB)だけでなく、紫外線A波(UVA)もしっかりカットするものが多い。
防水・汗崩れに強いものが多い。
・酸化亜鉛や酸化チタンなどの無機物UVカット剤が使われていることが多い。
・日本製の日焼け止めより香りが強いものが多い。

代表的なブランド
・Banana Boat
・Neutrogena
・Hawaiian Tropic
・Coppertone

ヨーロッパ

特徴
・日本製の日焼け止めよりSPF値が低いものが多い。
化学的なUVカット剤が使われていることが多い。
白浮きしにくいものが多い。
・肌への負担が少ないものが多い。
オーガニックの日焼け止めが多い。

代表的なブランド
・La Roche-Posay
・Avene
・Nivea
・Eucerin

韓国

特徴
美白効果を謳っているものが多い。
CICA成分が入っているものが多い。
・ジェル状のものが多い。
・持ち運びやすいサイズのものが多い。

代表的なブランド
・Innisfree
・Missha
・Laneige
・Nature Republic

中国

特徴
・日本製の日焼け止めよりSPF値が低いものが多い。
化学的なUVカット剤が使われていることが多い。
・白浮きしやすいものが多い。
・肌への負担が大きいものが多い。
・偽造品が多い。

代表的なブランド
・Sunplay
・Mistine
・Chando
・Herborist


日焼け止めが環境に及ぼす影響

 日焼け止めは、肌を紫外線から守るために欠かせないアイテムですが、近年、一部の成分が海洋環境に悪影響を与えることが問題視されています。
特に問題とされているのが、紫外線吸収剤の成分です。サンゴ礁を白化させたり、魚類や貝類などの繁殖に悪影響を与えたりすることが分かっています。具体的には、以下のような影響が指摘されています。

サンゴ礁の白化

 紫外線吸収剤の成分である、オキシベンゾンやオクチノキサートは、サンゴが共生している藻類の光合成を阻害し、白化現象を引き起こす可能性があります。サンゴ礁は海洋生物の多様性を支える重要な生態系であり、白化は深刻な問題です。

魚類や貝類への影響

オキシベンゾンやオクチノキサートは、魚類や貝類の繁殖や成長を阻害することが分かっています。特に、幼魚や稚貝はこれらの成分の影響を受けやすいと言われています。

ホルモン撹乱作用

オキシベンゾンは、人体だけでなく、魚類や貝類などのホルモンバランスを乱す可能性があることが示唆されています。


 このことを受け、近年オキシベンゾンやオクチノキサート使用を禁止する地域や国が増えており、ハワイ州では2018年から、オキシベンゾンとオクチノキサートを含む日焼け止めの販売と使用が禁止されています。メキシコでも、2021年から同様の規制が施行されています。
 日本でも、環境省がこれらの成分の使用に関するガイドラインを策定しており、日焼け止めメーカー各社も環境に配慮した製品の開発を進めています。肌のコンディションや使用場面に合わせ、環境に配慮した日焼け止めを使っていきたいですね!

参考文献
https://musee-pla.com/mismos/bodycare/uvcamera-check/
mismos 【検証】日焼け止めってほんとに時間経つと落ちてるの?UVカメラで見てみた!

セカイコネクトアカデミーオンライン

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