未曾有の大混乱。イギリスのEU離脱を振り返る。

未曾有の大混乱。イギリスのEU離脱を振り返る。

6月23日の国民投票で採決されたイギリスのEU離脱は、各通貨を大幅に下落させるなど、世界経済に大きな混乱を巻き起こしています。キャメロン首相は辞意を表明、スコットランドでも独立運動が高まり、本当の大混乱はまだまだこれからでしょう。

離脱したイギリスの混乱

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出典:fxブログアンテナ

欧州2番目の経済力を持っているイギリスは離脱したものの、政治情勢が不安定でポンドの急下落が見るに堪えません。
元々離脱が51.9%、残留が48.1%という僅差の結果だったが、既に400万人以上が国民投票のやり直しに署名し、ロンドンの独立を求める動きまで起こっている状況でした。

議会は10万人を超える署名を集めた請願については議論を検討しなければならないとされているが、法的拘束力はない。EU離脱後辞任したキャメロン首相も、2度目の国民投票はないことを明言し、「決定を受け入れるべき」と述べている。

出典:東洋経済

キャメロン首相の発言通り外務省は7月9日、残留派が再投票を求めていた請願を公式に却下すると発表しました。

イギリスEU離脱の始まりは?

イギリスEU離脱の始まりから振り返ってみましょう。EUに加盟していたイギリスだが、EUに対して懐疑的ではありました。通貨もユーロを使用せず自国の通貨ポンドを使用していることからも見て取れます。今回のEU離脱の大きな原因は難民の流入です。EUに加盟していると難民を受け入れなければならない条項があり、否が応でも難民の流入を受け入れなければなりませんでした。移民や難民が英国に押し寄せ、雇用や社会保障、治安を脅かすと感じたイギリス国民のEUへの反発は高まっていたのです。
詳しくはこちらから▷【速報】イギリスがEUから離脱決定!日本への影響はどうなる?

そこで反EU派の反発が抑えきれなくなったキャメロン首相が保守党内の反EU派を抑えるために国民投票というギャンブルに出ました。なぜなら議会(下院)では実に3分の2が残留派といわれており、国民投票をしたところで残留すると見ていた、と考えられます。しかし、国民投票の結果はご覧の通りである。「国民投票による民主主義」は、「議会制民主主義」とズレがあることが露呈された。国民投票後、キャメロン首相は辞任を表明し離脱派はつかの間の喜びを味わっていました。

ところが、EU離脱派が公約していた内容に偽りが含まれており国民は本当に正しい決断だったのか再度考え直すことになったのです。

EU離脱派の公約の偽り

歴史的なEU離脱が起きた直後、EU離脱派が掲げていた公約について偽りがあったことが発覚しイギリス国民の混乱を招きました。EU離脱を主導した英国独立党のファラージ党首は「イギリスはEUに週3億5千万ポンドを拠出しており、EU離脱することで国民医療サービスに使えるようになる」と主張していましたが、EU離脱後改めて聞かれると「そんな主張はしていません。搬出をカットしたとしても国民医療サービス(NHS)の財源確保はできません。」と認めました。さらに7月4日には「英国をEUから離脱させるのが政治家としての目的だった。自分の役割は果たした」と党首を辞任しており、国民は掲げていた公約がなされず、離脱後のプランもろくに考えていなかったのかと猛反発。イギリスは何も考えずEUから家出した子供のようになりました。つまり、離脱派は虚偽の主張を繰り広げ、世論を煽った挙げ句離脱した後は知らんぷりということです。

国民投票の再実施を求める声は高まる

国民は“Brexit”(British+exit:イギリスEU離脱)なる造語まで出るほどEU離脱の決定を後悔し、国民投票の再実施を求める声は高まっていました。ところが、後悔している国民の理解度について疑問が投げられています。GoogleのTwitterアカウントが国民投票後にイギリス国内で検索された検索ワード上位5位公式に発表しました。

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・EU離脱が意味することは?
・EUって何?
・EUの加盟国はどの国?
・EUを離脱すると何が起こる?
・EUに加盟しているのは何ヵ国?

出典:spotlight

国民投票後に「EUを脱退したら何が起こるのか」というワードが250%の上昇をしており、国民の半数近くがEU離脱について理解せず投票したのでは?と考えられます。
投票結果後に株価下落、キャメロン首相の辞任などのニュースが表面化してから国民の危機感が高まったのでしょう。

6月26日に発表されたサーベイション社の世論調査結果によると、離脱投票者の7%が「離脱に入れたことを後悔している」と答えており、人数でいうと113万人以上に相当するそうです。

出典:気になるアンテナニュース

まとめ

EUから離脱する加盟国は、リスボン条約第50条に基づいて、離脱の意思を欧州理事会に通知しなければなりません。ですが、キャメロン首相は次の首相が決まるまで第50条の手続きを始めないと明言しており、ドイツやフランスも強制的にイギリスを追い出すこともできないため、EU離脱は次の首相が決まるまでは始まらないし、決まっても始まらない可能性もあるのです。まとめると今回の騒動で首相は辞任し、離脱を先導した党首も辞任。与党はここぞとばかり権力を奪い合い、野党も同様の状況。経済の見通しは不透明であり、脱EUのプランはどこにあるのか誰にもわかりません。

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