予想外のトラブルをカバー!貿易保険の種類と適用範囲とは

海外への市場展開を考えている、もしくは最近展開し始めたばかりだという経営者や企業が心配する要素としては、海外展開した際に起こるトラブルの対処です。海外企業や消費者を相手にして貿易を行う場合、いろいろなリスクが起こりえます。そのリスクの中でも、多く取り上げられる例としては、商品の輸送時の事故や輸送による商品の破損・盗難、そして海外の取引先からの債権回収不能といったような事態を始め、多くのトラブルが起こる可能性があります。
このようなトラブルによる損害を回避するためには、貿易保険に入る必要があるのですが、一口に貿易保険といってもいろいろな適用範囲があるので、経営者や企業が必要とする目的にあった保険に加入する必要がありますよね。
そこで今回は、貿易保険の種類や、それぞれの適用範囲についてご紹介したいと思います。
貿易保険について
1.貿易保険とは
貿易保険というのは、貿易上の取引において商品を相手先に送ることができなかったり、貿易取引による債権を回収することが不可能になった時に、又はお金を支払ったのに商品が届かないと言った時に、保険会社があなたの企業にその取引の損失を補償する保険のことを言います。ですので、企業が海外企業との取引の際に起こりうる様々なリスクをカバーするのです。
また、輸送時の事故や商品の破損のうち、会場を輸送中の商品の滅失や毀損など、物理的な損害を保険はカバーすることができず、海上保険での適用範囲内容となります。
2.貿易保険の種類
貿易保険というのは、民間企業の参入が自由とされていますが、その実際現在引き受け中心は政府が出資している独立行政法人の「日本貿易保険(NEXI)」が取り仕切っており、90%以上のほぼすべてのシェアを占めているのが現状です。
手続き方法は保険商品ごとに申込フローが変わっておりますので、まず「日本貿易保険(NEXI)」にWEBか電話で問い合わせた方が良いでしょう。
・貿易一般保険
この貿易一般保険というものが、貿易保険の中では取り扱いが一番多くて、基本的な貿易保険となっております。輸出や仲介貿易等で発生する損失や船積前・船積後のカントリーリスクや、契約者との信用リスクによって生じる損失の補填を行います。
・限度額設定貿易保険
あらかじめ保証限度額を設定して、船積前の理不尽なキャンセルや、船積後の債権回収が不可能になった時などのリスクを補償します。
・中小企業輸出代金保険
主に中小企業の海外との貿易に対するリスクを補償する保険であり、その契約内容は様々ですが多くの場合は大企業に比べて手厚い保険内容となっております。
・輸出手形保険
主に銀行が被保険者になる保険であり、輸出した商品を回収するために振り出した荷為替手形を買い取った場合、その荷為替手形が決済されず回収不能となるリスクを補償する保険です。
・前払輸入保険
輸入貨物の代金を前払いを実行したのに、商品の輸入ができなかった上にその前払金の返金がされなかった場合のリスクを補償する保険です。
3.よくある貿易保険の適用例
上記の貿易保険の説明でも簡単に触れていますが、具体的には次のような事例の時に貿易保険が適用されるので要チェックです。
・輸出契約後、決済期限から3か月以上の債務履行遅滞
・バイヤーの倒産
・こちらの前払い輸入契約における、相手先契約不履行による前払い金回収不能事態
このような事故が起こった際に、損失を補填してもらうことができます。
決済方法に制限がなく、L/C決済だけでなくT/T送金の契約においてもカバーすることができます。
また、貿易保険で一番多く適用されるのは、相手先のバイヤーとの契約違反について取り扱うといったケースがあります。
かつては、これらのバイヤーとのリスクは商社が取引を行ってリスクを一手に引き受けておりましたが、最近では海外と直接取引をする企業も増えてきております。
最後に良くある適用外の例は、商品クレームなどバイヤー間でトラブルが起こった場合に代金回収などが不能となるといったことがあると問題解決するまで保険金請求があっても保険金の支払いを行えませんのでご注意ください。
まとめ
貿易保険は、しっかりと目的を確認してから契約をする必要がありますね。
長年の取引があるからといって油断は禁物です。海外取引は相手の状況をリアルタイムに把握することが難しいため、リスクに対する十分な備えが必要でしょう。