海外取引のトラブルをカバー!貿易保険の種類と適用範囲について
この記事は2024年1月22日に更新されました。
海外への市場展開を考えている、もしくは最近展開し始めたばかりだという経営者や企業が心配する要素に、海外展開した際に起こるトラブルの対処が挙げられます。
輸送時の商品の破損・盗難や、取引先の海外企業からの債権回収不能など、様々なリスクが考えられますよね。
今回は、こうしたトラブルによる損害を回避するために必要な貿易保険の種類やそれぞれの適用範囲についてご紹介していきます!
貿易保険とは
そもそも貿易保険というのは、商品を相手先に送ることができなかったり、債権を回収することができなかったりしたなどの場合に、それによるあなたの企業の損失を保険会社が補償するものです。
先述したような海外企業との取引の際に起こりうる様々なリスクをカバーすることができるのです。
余談ではありますが、輸送時の事故や商品の破損のうち、海上を輸送中の商品の物理的な損害は貿易保険ではカバーできません。海上保険の適用範囲となっています。
貿易保険の種類
貿易保険は民間企業の参入が自由とされていますが、実際は政府が出資している独立行政法人の日本貿易保険(NEXI)が取り仕切っており、90%以上のシェアを占めているのが現状です。
NEXIには、以下のような海外取引初心者向けの個別保険があります。
貿易一般保険
取り扱いが一番多い基本的な保険です。
輸出や仲介貿易などで発生する損失や、船積前後のカントリーリスク、契約者との信用リスクによって生じる損失の補填を行います。
限度額設定貿易保険
あらかじめ保証限度額を設定する保険です。
船積前の理不尽なキャンセル時や、船積後の債権回収が不可能時などのリスクを補償します。
中小企業・農林水産業輸出代金保険
中小企業や農林水産業従業者が利用できる保険です。
海外貿易に対するリスクを補償する保険であり、その契約内容は様々ですが、多くの場合は大企業に比べて手厚い保険内容となっています。
輸出手形保険
主に銀行が被保険者になる保険です。
輸出した商品を回収するために振り出した荷為替手形を買い取ったものの、決済されず回収不能となってしまうリスクを補償しています。
これらの手続き方法は保険商品ごとに申込フローが異なるため、まずはNEXIにWEBや電話で問い合わせてみましょう。
よくある貿易保険の適用例
上記の貿易保険は、具体的には次のような事例に適用されます。
・輸出契約後、決済期限から3か月以上の債務履行遅滞
・バイヤーの倒産
貿易保険で一番多く適用されるのは、相手先のバイヤーとの契約違反についての事例です。
かつては取引を行う商社がこうしたリスクを引き受けていましたが、最近では海外と直接取引をする企業も増えてきています。
一方で、適用外としては、商品クレームなどバイヤー間でトラブルが起こった場合に代金回収などが不能となるといった事例が挙げられます。
問題が解決されるまで請求があっても保険金の支払いを行えませんので、ご注意ください。
まとめ
貿易保険は、しっかりと目的を確認してから契約をする必要があります。
海外取引を始める際には前もった準備を心掛け、スムーズな取引にしましょう。