参考になる日本企業の海外ビジネス成功事例【欧米編】
欧米諸国はビジネスにおいて非常に魅力的な地域です。今アメリカはちょうど政権交代の真っ只中ですが、それにより世界の経済が少し変わるかもしれません。
そんな影響力を持っている欧米市場に参入している日本企業とは一体どこなのでしょうか?
今回は日本企業が欧米市場に参入した事例をご紹介いたします。
欧米の成功事例3選2>
成功事例 その1
キッコーマン株式会社
●代表的な商品:しょうゆ、つゆ類等
●主な海外展開先:アメリカ、ヨーロッパ等(世界100カ国以上)
キッコーマン株式会社
●代表的な商品:しょうゆ、つゆ類等
●主な海外展開先:アメリカ、ヨーロッパ等(世界100カ国以上)
キッコーマンは1917年(大正6年)に創立された千葉県野田市と東京に本社を持つ会社です。
国内のしょうゆシェアは約31%(2013年キッコーマン発表より/グループ会社も合算)で国内市場はNo.1です。グループ会社には、トマトケチャップなどのトマト製品でお馴染みのデルモンテがあります。
キッコーマンが北米にしょうゆの輸出を本格的に始めたのは、戦後まもない1949年です。
当時キッコーマンが販売戦略として意識したのは”いかにして現地の食材や料理にしょうゆを利用してもらうか“です。
現地の人達にしょうゆの調味料としての柔軟性を理解してもらうことが、製品を普及させるには必要だと当時のキッコーマン社員には分かっていました。キッコーマンのしょうゆは様々な食材に適応できるだけの実力があると自社製品に自信をもっていたことも成功要因の一つです。
1957年には本格的なアメリカ進出を目指してサンフランシスコに販売会社を設立しました。肉料理に合うしょうゆの使い方をスーパーで実演したり、自社開発レシピを新聞等に掲載したり、何とかして現地の人達と製品が触れる回数を増やしていきました。
当時の戦略が功を奏し、今やアメリカしょうゆ市場のシェアは約55%前後です。他社のしょうゆ製品を全く寄せつけません。早い段階で相手のライフスタイルに合わせた製品の使い方を提案できたことが、キッコーマンがここまで成功できた一番の要因だと言えます。
成功事例その2
川崎重工業株式会社
●代表的な商品:鉄道車両、旅客機分担品、大型二輪等
●主な海外展開先:ニューヨーク、フィラデルフィア、イギリス、フランス等
川崎重工業は1896年(明治29年)に創立された神戸と東京に本社を持つ会社です。
総合重機大手と言われるだけのこともあり、鉄道を始め造船やプラント、精密機器など幅広く事業を展開しています。自衛隊の潜水艦・航空機も製造を担っています。
川崎重工業が、アメリカ進出で特に成功を収めたのは鉄道分野です。
現在川崎重工業の製造した車両はアメリカ国内だけでも、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボストンなどの大都市で日々運転されています。
特に、ニューヨーク市地下鉄(NYCT)とはアメリカで鉄道事業を初めてからの非常に長い付き合いです。1985年にNYCTから「R62」型地下鉄車両を325両受注して依頼、現在も継続して車両を納品しています。2010年には次世代地下鉄車両「R160」型車両の納品を完了し、累計2,000両以上の車両を納品しました。
30年以上も納品を継続できたのは、製品開発を通して常にコンタクトを取り続けたことでNYCTと川崎重工業が信用関係を築けていたこと、川崎重工業が早い段階で現地法人(Kawasaki Rail Car, Inc.)を立ち上げ、事業システムを確立させていたことです。
成功事例その3
株式会社ヤクルト本社
●代表的な商品:乳酸生菌飲料、医薬品等
●主な海外展開先:オランダ、ベルギー、アメリカ、台湾、中南米等
ヤクルトは1955年(昭和30年)に創立された東京に本社を持つ会社です。
代表的な商品は、ヤクルトの愛称で親しまれている乳酸生菌飲料です。これ以外にも、化粧品や医薬品などヒトの体と健康に関連する製品ラインナップが多いのが特徴です。
ヤクルトの国際事業がスタートしたのは1964年です。
順次販売網は拡大し、1990年にはアメリカ、ドイツの北米地域に、1994年以降にはオランダ、ベルギー、イギリスなどのヨーロッパへと広がっています。現在では海外27事業所を中心に、日本を含む33の国と地域にて販売が行われています。
ヨーロッパでは生活習慣病の増加を背景に*プロバイオティクス飲料市場が形成されています。
予防医学に力を入れることからこのような市場ができたのだと思われます。この市場は乳酸性菌を扱うヤクルトにとって、非常に魅力的でした。
ヤクルトのように飲食から健康にアプローチする商品はこれまで存在しなかったことから、発売当初には「とても革新的な商品である」とイギリスのメディアから評価されました。その後徐々に売上を伸ばし、現在ヨーロッパでは12カ国に事業所を持ち、日々製品拡販が展開されています。
ヤクルトがここまで成功出来たのは、これまでには存在しなかった”新しいコンセプトの製品提案“ができたからです。私達からしたら当たり前のことでも、海外の人達からみたら革新的なことは日常のいたるところに隠れているのかもしれません。
※プロバイオティクス:ヒトの健康に有益な働きをする生きた微生物のことです。
まとめ
各社の欧米におけるビジネス成功例はいかがでしたでしょうか。
誰もが知っている企業だと思いますが、最初はどの大手企業も苦戦しています。
これはこれから参入する企業、特に中小企業にはいい刺激になると思います。
どの企業に対しても共通をしているのは、自社文化を相手国・地域に押し付けるのではなく自社が相手の文化を理解し、適応していく柔軟性を持っていたことです。そして、現地の人達との関係性を継続できるだけの持続力が挙げられます。
ここから言えることは、未知の相手に対してもまずは相手の生活習慣や文化を知り、
相手を理解することが海外進出成功に向けた最初の一歩ではないかということです。