今アツい!世界を酔わす日本のお酒の魅力は
今、日本のお酒が世界で人気を集めていることはご存知ですか?
国税庁の日本産酒類の輸出動向についての統計によると、「2022年分の輸出額は1,392億円となり、はじめて1,000億円を超えた2021年に引き続き好調に推移」しています。
日本のお酒がなぜ海外の国々の注目を集めるのか、その魅力についてまとめてみました。
目次
日本を代表するSAKE・日本酒
和を感じられる魅力
日本産のお酒の中でも、特に日本酒は「SAKE」という愛称で知られています。
その人気の火付け役としては、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された和食が挙げられるでしょう。
日本酒はお米をアルコール発酵させた醸造酒のため、まさに「和」を感じられるお酒だと言えます。
また世界では、健康的なお酒として日本酒がヘルシー志向のレストランに置かれることが多い傾向にあるといいます。
基本的に日本酒は他のお酒に比べて少しずつ飲むことが一般的であるため、結果的に摂取する糖質量が少なくなります。加えて、原材料のお米特有の栄養分からお酒の中でも比較的健康的だと捉えられているようです。
日本酒を特に好んでいる国とは
世界を虜にする魅力を持つ日本酒ですが、特に輸出されているのはアメリカと中国などの近隣のアジア諸国です。
財務省の貿易統計によると、2012年から2019年まで長年輸出額1位にランクインしていたのはアメリカです。
アメリカでは比較的高級な日本酒ブランドが好まれていますが、どうやら一般消費者の認知度はまだまだ高いとは言えないようです。
現段階では和食に合う味の日本酒が多いため、ステーキなどのアメリカ料理に合うような種類の生産がこれからのカギになってくると予想されます。日本を除いた世界の中で最も酒蔵数が多い国であることから、こうした現地のニーズに合わせた生産体制も整えられてくるでしょう。
一方、アメリカ以外の主な輸出先として近年勢いを伸ばしつつあるのが、中国です。
日本料理店で出される高級品だけでなく、EC大国である中国故にリーズナブルな商品も広く販売されています。
多くの中国酒の大まかな製造工程は日本酒と似通っていること、また世界の中でも長い酒造りの歴史を持っていることから、他の国と比べて日本酒への馴染みがあるのではないでしょうか。
獺祭の世界進出
中でも海外進出に本腰を入れ始めて話題となっているのは、日本でもお馴染みの獺祭です。
安倍元首相がオバマ元大統領にプレゼントしたことでも知られる、山口県の旭酒造の代表製品です。
2002年から輸出を開始し、過去最高売上額を記録した2022年では、その4割以上が輸出によるものだったそうです。
とことん「日本のSAKEらしさ」にこだわる姿勢を見せる旭酒造は、2023年にニューヨークに酒蔵を始めてオープンさせ、さらなる人気の獲得を目指しています。
日本酒だけじゃない!日本産ウイスキーブーム
大手酒造の努力の結晶・ジャパニーズウイスキー
ここ数年でじわじわと勢いを伸ばしてきているのが、日本産ウイスキーです。
日本国内でもテレビドラマやCMの影響で知名度が高まりつつあるのですが、海外への輸出額も年々増加しているのです。
それも、生産量が多いスコッチウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、アイリッシュウイスキーが並ぶ「世界五大ウイスキー」に含まれるほど世界的な評判があることをご存知でしょうか?
他の国と比べてウイスキー産業の歴史が浅いながらも、日本らしい繊細な味わいやそれを生み出す技術力が評価につながっているといいます。
その評価を高め続けている要因には、大手酒造のたゆまぬ努力が挙げられます。
1929年に日本で初めてウイスキーを生産したサントリーは、その後も種類の拡大や品質の維持・向上に尽力し続け、2000年代から立て続けに世界的な品評会で最高位の賞を受賞しています。
大手だからこそ保てる安定の高品質と海外進出を武器に、これからも世界にその名を轟かせていきそうです。
中小酒造の台頭
大手だけでなく、中小酒造のウイスキーも負けていません。
ウイスキーの世界的品評会・ワールドウイスキーアワード2023において、未熟成原酒部門で世界最高賞を受賞した新潟亀田蒸溜所のウイスキーは、大きな話題を呼びました。
1,500銘柄以上のエントリーがある中で国内メーカーで初の受賞という成果を成し遂げたことはもちろんですが、なんと業界最大手のはんこの大谷が2年前に新規事業として立ち上げたことに驚きと称賛の声が上がっているのです。
このように、ウイスキーブームによって拡大した市場に中小酒造も続々と参入し、実績を残しながら日本各地、そして海外への進出を図っています。
大手に加え中小の個性的なウイスキーが続々と誕生すれば、ジャパニーズウイスキーもますます盛り上がっていくのではないでしょうか。
お酒の力が日本を救う?
近年の日本では、アルコール離れやノンアルコール商品の人気上昇が度々取り上げられるように、数十年前に比べると明らかにお酒の消費量が減少しています。
少子高齢化も相まって全体の内需が低下していく将来に向けて、各社がどのように世界に日本産のお酒の魅力を伝えアプローチしていくのか。
もしかしたら、日本の将来を救う手段となりうるかもしれません。
数年前の記事ではありますが、日本のウイスキーについてまとめた記事もありますので、ご興味を持たれた方は合わせてご覧ください。
参考文献
・マイナビニュース, 「獺祭がアメリカ進出に本腰、ニューヨークには新しい酒蔵も完成間近 – その狙いとは?」, 2023年3月9日更新, https://news.mynavi.jp/article/20230309-2612611/
・サントリー, 「サントリーウイスキーの歴史」, https://www.suntory.co.jp/whisky/beginner/history