失敗は許されない!海外展開を始める前にチェックしておくべき3つのポイント
少子・高齢化の進行などによって国内市場の縮小が避けられない中、アジアを中心とした新興諸国の旺盛な需要を獲得することは、日本企業の成長に不可欠となっている。
実際に海外市場に対してチャレンジをしている国内企業の数も年々増加傾向にあり、平成17年には35,000社の展開だったのが、10年後の平成26年では68,000社と約2倍の企業が海外市場に向けて活動を実施している。
出典:https://www.travelvoice.jp/20150703-45228
とはいえ、まだ海外展開を実行できていない多くの企業は
「海外進出のノウハウが無い」
「海外事業を任せられる人材がいない」
「自社単独での進出はリスクが大きくて不安」
といった理由から、海外展開を躊躇している…なんてことが多いのではないでしょうか。
これらの課題を持ちながらも解決し、海外展開は今後の企業課題として取り組まなければならないと、弊社にもご相談も多くいただくようになりました。
そこで、今回は海外展開を本格的に行う前のチェック項目をまとめてご紹介します。
□自社の状況確認しましょう!
□自社がやるべき展開手法は?
□海外展開を進める上で決めなければならない3項目
目次
Check1.自社の状況を確認しましょう!
海外市場へ展開を進める上で自社リソースの確認なども必要ですが、まずはこれまでの企業活動で、どれだけ海外市場の情報が入ってきているか・もしくは情報を獲得できるか環境があるか、これを確認してみてください。
例えば過去に海外の展示会に出た際の名刺交換を行なった名刺の束がある場合や、自社HPに対して海外企業からの引き合いがきている。などがそれにあたります。
それらの企業に連絡を取ってみたり、リストの整理を行い、問い合わせの数が多い地域などを選定など行なってみましょう。
すでに日本にいながら海外企業との接点を持っているケースも最近は増えてきています。
そこで自社が海外からはどのように見られているのかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
メールなどで既に連絡がきている場合は内容の確認を行いましょう。
WEB翻訳を使ってみると大凡言いたいとは理解でき得ると思います。
また、英語・外国語で返答ができない場合は翻訳企業などを利用してみましょう。
最近は1文字5円、ビジネス用のメールも1文字10円などリーズナブルな価格で翻訳してくれるサービスも多数存在しています。
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ここから取引先を探すことだけでなく、すでに興味持っている企業に対して
- 「何に興味を持っているのか?」
- 「どこで自社を見つけたのか?」
- 「今後どのような関係を望んでいるのか?」
を明らかにしていきましょう。また、
「どのようなビジネスを行なっているのか?」
「競合になり得る商品はあるのか?」
「現地ではどのようなマーケティングが効果があるのか?」
などの現地企業だからこそ知っている市場情報を聞いてしまうのも現地で展開する上で重要な活動です。
自社では見つけきれなかった新たな価値が見つけられるかもしれません。
これまで、見たことがない・行ったことがない市場でのビジネスチャレンジです。当然、見られ方も違うことが多いです。
それぞれの市場がどうなっているのか、これは自社で確認された方が圧倒的に役に立つ情報になり得ます。
これまで全く海外との接点がないという企業に関しては、いかに海外市場と接点を取るかがポイントになります。
Check2.自社でやるべき展開手法は?
ステップ1.と同時進行で行うべき項目に海外市場での開拓手法です。
海外展開・海外進出などの単語はよく聞くようになったと思いますが、これらに違いがあることはご存知でしょうか。
実は大きく海外市場の開拓手法は8項目あります。(製造業の場合)
大きくは “ 輸出形態 ” “ 展開手法 ” “ 進出形態 ” この3つです。
“輸出形態”
これらは取引先がすでに海外にある場合が多いです。
国内取引先が海外展開を行なった為、自社もやらなければならないなどの状況が考えられます。
直接貿易:
商社等に輸出業務を委託せず、直接自らが貿易実務を行うこと。
商流をシンプルにすることでコストを抑えることができます。
間接貿易:
国内の商社等を通じて海外の商社や貿易会社ないしは海外のメーカー、販売店と取引すること。実際の貿易取引は輸出業者が行い、現実には 輸出業者は国内の企業のことが多いため実質、国内取引で完結ができる。
“展開手法”
これらは現地パートナーと契約締結を行い現地の開拓を任せる方法です。
不慣れな海外市場での展開をすでに展開をしている現地企業の販売・営業先などリソースを活用できるので現地での展開スピードを早めることが可能です。
代理店・販売店取引
自社製品を海外に販売するために、海外企業との代理店(Agent)または販売店(Distributor)契約を行い展開すること。
現地生産
商品の一部、若しくは全ての生産を海外で行い生産コストの削減を行うための手法です。
製造業の中でも機械部品等の製造企業が主に使う展開手法ですが、生産ラインの見直しの際には検討される、幅広く使われる展開手法の一つです。
■半製品の輸出による海外現地生産
製品の主要部品を日本から輸出して、現地で組み立て・生産を行うこと。
自動車業界においては、特に発展途上国などで採用。現地において部品の生産や調達が技術的・経済的に困難な場合などに有効とされ、
現地側が完成品に対する輸入関税を高く設定して、国策として意図的にアセンブルの工場誘致を行うこともある。
■外部委託による海外現地生産
進出先国において自社製品を他の企業へ委託して生産すること。
■内製による海外現地生産
進出先国において自社製品を自社の工場で生産すること。
越境EC
特にここ最近で注目が集まっている展開手法です。
まずはここからと考えている日本企業も多いのではないでしょうか。
販売チャネルとしては特殊になるのでチェックするべき項目が多くなりますが、有効な展開方法です。
■自社ECサイト
独自に海外 向けECサイトを立ち上げ、ページ内容を翻訳、決済手段等も用意する方法。
外国語対応等のコストを自社で負担でき、海外でも一定のブランド価値がある商品を取り扱っている事業者に適している。
■他社ECサイト
自社は卸業者として商品を海外のEC事業者に卸し、販売を代行してもらう方法。商社などを経由して現地パートナーを選定することが容易な場合等に有効。
■ECモール出店
海外消費者向けに商品を販売するサービ スを提供しているモールと契約し、モール加盟店として商品を販売する方法。自社に十分に知識のある人材がいない、もしくは、自社でサイトを立ち上げるコストを負担できない場合に有効。
”進出形態”
駐在員事務所
現地での営業圏を持たず、日本本社の一部として連絡業務、情報収集、市場調査、販売代理店の支援を行う。
支店
日本本社と同一法人で、営業活動が可能だが、日本本社が支店の法律行為についてもすべて責任を負う。決算も日本本社と支店とあわせて日本で行われる。
国によってかなり法律が異なっており、設置が認められていないことや、外資の出資比率に制限のある分野での活動ができないことがある。
現地法人
■独資
自社の出資のみで会社を設立する完全子会社。国や事業内容によっては、外資100%の企業設立が認められないこともある。
・自社の裁量で会社経営ができる
・利益配分の必要がない
・海外進出において、失敗する原因 の一つである、合弁相手との紛争を 避けることができる
などのメリットはあるが、
・合弁と比較して負担する投資額が大きくリスクが大きくなる
・不慣れな土地での政府機関との折衝や販売網の構築を独自に行う必要がある
など、すべて自分たちで解決しなければならないという点を忘れてはいけない。
■合弁
進出先国の企業と共同出資を行って設立する会社のこと。外資100%での企業設立が認められていない場合はこれを選択することになるが、信頼できるパートナー探しが成功の鍵となる。
国や事業内容によっては、外資の出資比率が制限されていることもあるので、設立前に出資比率が進出目的に応じているか検討する必要がある。
合弁企業設立のメリットは
・合弁相手と分担することにより、投資額とリスクを軽減できる
・合弁相手の政治力、販売力や設備、ノウハウを活用した経営ができる
などが挙げられる。
デメリットとしては
・合弁相手の選択が難しく、新興国 では資金力などの点で信頼に足る相手が少ないなどの難点がある
・会社経営方針や配当方針を巡る紛争も考えられ、解散・撤退の際にトラブルになることもある
が考えられる。
如何でしたでしょうか。
一言で海外展開・進出といっても全8項目があります。
もっともこれらは簡単にまとめている内容なので、貴社の戦略・戦術を検討する際の指標の一つとして利用して見てください。
Check3.海外展開を進める上で決めなければならない3項目
”展開するべき国・地域”
海外と言っても200以上の国・地域がありそれぞれ規制や宗教・生活習慣がある以上、どこで展開するのかというのは多くの企業が決めなければならない。
そこでよくあるのが、展開したい国・地域を選んでしまうことがある。
過去に行ったことがある、親日国だから、同業者が展開しているのでチャンスがあるのでは、など様々な理由は存在しているが、“展開したい”と“展開するべき”は視点が逆であるということを意識していただいたい。
“展開したい”は自社の視点であり、現地の状況などを見ること出来ていないが多く、失敗する確率が高い。
“展開するべき”は現地の視点を取り入れて初めて成立する。規制に引っかかることはないか・マーケットが存在しているか・
”展開させるべき商品・ブランド”
展開するべき国が決める活動と同時進行で展開するべき商品・ブランドを決めなければならない。
これも“展開させたい商品”ではなく“展開させるべき商品”選びが大切になる。
また、国を決めて、商品を決めて海外市場の開拓を進めていくと、いずれは現地でより販売しやすい商品開発が必要になります。そこで現地のローカライズもある程度視野に入れられる商品選びが必要になります。
”組むべき現地パートナー”
現地での積極的な展開を考えた時に必ず必要になるのが“現地パートナー”の存在を無視することはできません。
基本的には商品知識や現地での事業内容に基づいてパートナー探しを行うことが多いですが、海外企業との商談に慣れていない日本企業が最初に出会ったという理由で海外企業との取引を早々に決めてしまうことがあります。
実際に取引が成立するのか、その取引が継続するのか、コミュニケーションに不備がないかなど自社にとって最良のパートナーとは何かを決めておくことが必要です。
またそれに近づけるのかなど確認した上で取引条件の締結を行うことをオススメしています。
まとめ
海外市場の開拓でポイントとなるのはステップ3.を如何に自社にあった条件を揃えられるのかです。
これを明確にし最適化をするためには、海外展開に成功している企業の共通点にも繋がる条件でもあるのですが、最初のチェック項目にも出ていた海外市場とどれだけ接点を持てているかがポイントです。
マーケットイン・プロダクトアウトという考え方がありますが、情報社会になった今ではプロダクトアウトだけでは展開が難しくなっているのが現状です。
より多くの情報を海外市場から直接取れる環境を作り、その情報を元に自社がどのように展開するべきなのかを決定していくことがマーケットインの考え方が今後の海外販路の獲得においては重要になっています。