とりあえずドバイ?海外展開の失敗から学び、成功させた事例をご紹介!
0から海外展開を見事に成功させた日本企業に成功までの道のりをインタビューする第1弾。
これから海外進出や販路開拓を考えている方には参考になる内容が目白押しでした。海外にはチャンスがたくさんあることを体現してくれています。
目次
第1回「株式会社アピスファーマシー」の代表取締役 川越 敏章さん
人物紹介:アピスファーマシー代表 川越 敏章さん
関西でトップシェアを誇る調剤薬局チェーン74店舗(2016年4月現在)を運営しており、自社ブランドの化粧品開発やネット通販事業にも携わっている。
今は特に海外事業に力を入れており、販路開拓に勤しんでいる。●株式会社アピスファーマシーホームページ
http://www.apis.co.jp/
500人規模の企業を統率する川越さんがどのように国内営業から海外向け営業にシフトしたのか、きっかけはなんだったのか、
始めたところから苦労話についてまでいろいろと質問させていただきました。
関西人のいい意味で軽やかなノリも海外展開を成功させた1つの理由のような気がします。
今回は代表取締役 川越さん(以下ー川)と海外担当の多田さん(以下ー多)のお二人にお話を伺いました。
“最初は好奇心だけでした”経験ゼロからの海外進出
*左 代表川越さん 右 海外担当多田さん
ーそれではよろしくお願いいたします。最初に海外展開を始めた理由、経緯を教えてください。
川:海外は3年くらい前に意識し始めました。
今まではいわゆる地域密着型で国内を中心とした活動を行っていましたが、私たちの経営理念は“あらゆる方の健康を支えること”です。
そこであらゆる方に健康になっていただくためにアプローチの幅を広げようと考えました。
ーアプローチの幅を広げるために具体的に何をされたのですか?
川:まず、アプローチの幅を広げるためにオリジナル化粧品の開発に取り組みました。
完成はしたものの中身の成分比率など私たちにしか扱えない商品だったため、マツ◯ヨのような大手チェーンドラッグみたいな場所に出さず
クローズドな環境で販売したかったんですね。
商品の販売先を探している中『国内じゃなく、海外に出しちゃえばいいんじゃないの?』と思い立ったのがきっかけでした。
ーそのときの心境はどうでしたか?
多:最初は雲をつかむような話でした。今まで国内のみで展開してきましたから。
海外で売れるのかわからないながらも、とにかく行ってみよう。やってみよう。でした。
正直好奇心だけだったところもあるかもしれません。
実際行ってみなきゃわからないことがたくさんありましたし、今では海外展開をして本当に良かったと感じています。
ー海外展界はどこから始めたのですか?
川:英語もろくにしゃべれなかったですが、海外戦略室という部署も設けまして最初はオーストラリアに展開しようと試みました。
ーなぜ最初はオーストラリアに展開しようと考えたのですか?
川:オーストラリアに知り合いがいたのでそのツテを使おうと考えていました。
多:あと自社商品が保湿性を持った化粧品だったため、東南アジアみたいなジメジメしたところではなく、空気が乾いているオーストラリアのような場所がマッチするのではないか。という理由もありました。
初めての海外進出商品の結果は…
ー最初のオーストラリアへの海外展開は成功しましたか?
川:撤退しました。笑
多田:オーストラリアは全てが高かったからです。元々物価が高い国という認識はありましたよ。
まず、小さい店舗を現地で借りようと思っていたのですが、小さいテナントがまず無くて。
こんな大きいテナントでこんな払えないよ!という物件ばかりでその他にも初期投資やらなんやら全て高い。
これはリスクが高い…と即行で撤退を決めました。
ーそのときの心境はどうでしたか?
川:そんなダメージは受けませんでした。
ダメで元々だったしオーストラリアが無理なら他の国へ行っちゃえ!ってくらいの
モチベーションでしたから。笑
そして次に目をつけたのが“ドバイ”でした。
ーそれはどういった理由で?
多:先ほどのオーストラリアと似て乾燥した地域ということと富裕層が多そうだったので行けるのではと。笑
ードバイでの海外展開は成功しましたか?
多:それがですね、それ以前の問題でした。笑
今回は自社だけではなくノウハウを持っているコンサル会社に依頼して展開を試みました。
ところがコンサル会社の意見を一方的に押し付けられ、こっちのやりたいことが全くできなかったんです。
コンサルと上手く信頼関係を築けなかったのが原因でドバイも諦めました。
ーオーストラリアに続いてドバイも失敗したことで海外展開に対して少し抵抗は生まれましたか?
川:元々経験が0でしたから、失敗から学ぶことのが多くて世界観が広がりました。
オーストラリア・ドバイともに商品の関係ないところで挫折した経験が3カ国目の台湾での成功につながった
ーここまでの経験があったから3か国目の台湾で海外展開に成功したということでしょうか。
川:それもあると思います。商品の関係ないところで挫折してきましたが、商品には絶対の自信を持っていました。
実際に見てくれれば向こうもわかってくれるだろうと。
オーストラリアとドバイの次に台湾へ展開を試みたところ
たった2回の商談で台湾トップクラス大手チェーンドラッグストアと代理店契約が決まりました。
ー海外展開が成功した理由はなんでしょうか?
川:無理矢理アポとってCEOが出てきて膝つきあわせて話したからかな笑
海外はコミュニケーションで信頼を築いていくのでトップが常に出てくるんです。
なのでその場でやるのかやらないのか、即断即決でした。
多:これが日本だったら「一度検討します。」って決着が遅くなるのが当たり前でしょう。
川:3回目には向こうが来日してあっさりとサインしてくれました。
このスピードでブランドごと買ってもらうなんてのは日本ではありえないことだと思います。
ー結論、商談のスピードが早かったことが成功要因としてあげられますか?
川:そうですね。とにかくスピードがはやくて商談から成約まで無駄がありませんでした。
あと言葉の問題が大変でしたが、しっかりと伝えれば向こうはわかってくれます。
*台湾現地の店頭で商品体験している図
ー海外企業との成約までに意識の違いなど何かしらのトラブルはありましたか?
多:海外の法律の問題で申請が長かったのが大変でした。
当事者は合意してるのに国がダメでサインしてから販売までに半年かかりました。
ー海外展開したことは今の営業活動において影響を与えていますか?
川:海外で売れたら会社や社員の自信になるし、お客さんにも伝えやすくなりますよね。
ー今の日本企業において海外展開は必要だとおもいますか?
川:今、日本企業は守られていると思います。苦労しなくてもある程度稼げる現状があるから。
だから成長することに興味がない方が多くいるような気がしてなりません。
私たちは”あらゆる方の健康を支える”という経営理念の元に海外進出しました。
業種にもよりますし一概に必要だとは言いませんが、
海外にはたくさんのチャンスがあるということは言っておきます。
ーそれでは今後のチャレンジ・野望はありますか?
多:まずアジア圏全体で商品を使っていただくことですね。
使っていただいて世界中の人が輝く笑顔になってほしいです。
ーそのモチベーションはどこから生まれるのですか?
川:やっぱりモチベーションは経営理念ですね。精神的な支柱となっています。
未知の世界は怖いけど、一回とりくんだらとりあえずやってみなきゃって感じです。
とりあえずやってみたらあんな話やこんな話、いろんな話が入ってくるようになります。
これは動かなきゃなにも始まらないですよね?
最初は大変だけど一回やると次からのハードルが下がるので色々な世界を見ることができます。
ー最後にこれから海外展開をする日本企業に向けて一言お願いします。
川:私たちが海外進出する前から日本製品は素晴らしいものだと浸透していました。
それは先に海外展開をしてきた日本企業のおかげです。
過去の日本企業がジャパンクオリティを高めてくれていたことが理由にあるし、
これから他の日本企業が海外進出する際に私たちもそういった形で力になりたい。
まずとりあえずやってみたらいいと思います。そうしたら何か始まりますから。
ーお時間いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺ったアピスファーマシー代表川越さんは最初のオーストラリア、ドバイと失敗が続いたにも関わらず
海外展開にこだわりモチベーションを保ち続けました。
日本企業は海外展開に挫折するとトラウマになり、再度進出しようとする意欲がなくなってしまうことが多く見られますが、
このモチベーションの維持は参考にした方がいいのではないでしょうか。
また、英語があまり話せなくてもとにかくやってみよう。商品を見て貰えばわかる。という思い切りの良さも成功の一因でしょう。
「周りの噂や世の中にある情報を見ているだけじゃなく、実際にそこに対して行動を起こさなければ何も始まらない。」
日本企業が課題とする海外展開のハードルの越え方を教えていただきました。