日本企業の進出相手国 9位!拡大するマレーシア市場の魅力
親日の国であるマレーシアでは、自動車セールス調査満足度(SSI)一位は日本のトヨタ自動車!
日本の約0.9倍の国土面積ですが、ASEANで3番目の経済規模で観光地であり観光客数が世界で11番目に多く、日本の2.5倍の2571.5万人!
日本人が住みたい国ランキング8年連続1位 ※情報基:財団法人ロングステイ財団
経済発展による、肥満人口、糖尿患者が増加している地域でもあります。
目次
内需拡大×観光国 マレーシア市場について‼
【基本情報】
- ・国名:マレーシア
- ・首都:クアラルンプール
- ・面積:329,847 km2
- ・人口:2962万 (2012年)
- ・人口密度:89.80人/km2
- ・一人当たりの名目GDP(USドル) :10,547.97 USD
- ・一人当たりの購買力平価GDP(USドル):17,747.97 USD
- ・通貨:リンギット
- ・公用語:マレー語、中国語、タミール語、英語
※情報基※
面積:CIA「The World Factbook」
GDP、人口:IMF「World Economic Outlook Databases」
人口密度: IMF「World Economic Outlook Databases」 ,
CIA「The World Factbook」
※購買力平価とは?
購買力平価とは「為替レートは2国間の物価上昇率の比で決定する」という観点で、インフレ格差から物価を均衡させる為替相場を算出している。
これにより各国の物価の違いを修正し、より実質的な比較ができるとされている。
1.マレーシア進出している日系企業の64%は黒字!
進出している日系企業の結果を見ると、63.8%が黒字、20.3%は均等、15.9%は赤字であり、他地域と比較すると赤字企業が少ない事が特徴です。
※情報基:在アジア・オセアニア日系企業実地調査 2013 年度調査
マレーシアのGDP構成比をみてみると、製造業が多く日本企業もここに投資をしている企業が多くいます。
- 【マレーシアGDP構成比 2013年度】
- 製造業 23.9%
- 商業・飲食・ホテル 16.3%
- 農林水産業 9.3%
- 鉱業 10.0%
- 金融・保険・不動産業 7.4%
- 運輸・倉庫・通信 6.5%
- 建設業 4.2%
- 電気・ガス・水道 2.3%
- ※情報基:公益財団法人国際金融情報センター
日本企業出資比率合計 10%以上の日系現地法人を対象とした際に、マレーシアでは829件と進出相手地域全体の3.3%をしめ9番目に多いです。
他の対マレーシアへの進出国でも、製造会社が中心の中国が多く、その他は貿易の拠点地域と言われるシンガポール、香港が上位に来ています。
ただ、マレーシア統計局によると貿易収支は減少しています。
- 2011年度:124,236
- 2012年度: 95,964
- 2013年度: 70,746
- ・Jabatan Kemajuan Islam Malaysia(JAKIM), Malaysia
- ・Majelis Ulama Indonesia(MUI), Indonesia
- ・Majlis Ugama Islam Singapura(MUIS), Singapore
- ・Muslim World League(MWL), Saudi Arabia
- 【主な国別の観光客数】
- シンガポール:1,317万人
- インドネシア:254万人
- 中国:179万人
- ブルネイ:123万人
- タイ:115万人
- ※情報基:Tourism Malaysia
- セブンイレブン
- ユニクロ
- ベスト電器
- 紀伊國屋
- 伊勢丹
- イオン
- 【貿易収支(単位:百万リンギット)】
GDPはというと、上がっており経済成長率も5%を推移しています。
ここから読み取れる事は、国事態は成長しており、輸出は減り、輸入は増えているという事です。
マレーシア内需市場が上昇している事を背景に、今後、営業拠点を持つ外資企業は増加していくと予想されています。
2.マレーシア市場にはどんな客がいる?2つの客層
2-1.国民
【民族 構成】
マレー系:約67%
中国系:約25%
インド系:約7%
【宗教 割合】
イスラム教(連邦の宗教):61%
仏教:20%
キリスト教:9.0%
ヒンドゥー教:6.0%
儒教・道教:1.0%
この多様な民族構成や宗教があるマレーシアだからこそ生まれる文化や政府の施策は独特です。
【マレーシアにおけるハラル】
マレーシアでは、イスラム教徒が多く中東地域同様にハラルに対する理解をしている必要があります。
また、このハラルに対して適応する商品として認められるために、取得するハラル認証ではイスラム組織、団体、機関が認証書を発行しています。
ただ、公の機関に発行されているかというと、そうではないところもあり、アメリカには40以上の組織、機関がハラール認証を発行しているほどです。
このように様々な機関がある認証発行元ですが、世界的に大きな影響力を持つ組織は限定されています。
下記が主に影響力を持つと言われている組織、団体です。
この一つにJAKIMというマレーシアの機関は、国家機関としてハラール認証団体を認可する公式のプログラムをもっています。
JAKIMのハラル認証 信頼度は国外でも高く評価されており、アメリカのDinarStandard社の2012年度の調査で、『イスラム教徒が旅行先として評価する国』の一位にランクされています。
なので、イスラム圏での販売をするにあたって、『ハラルなら大丈夫!』という認識も海外ではあまり通用しないということです。
【ワン・マレーシア】
多様化する民族のマレーシアだからこその文化もあり、
それが『ワン・マレーシア』という考え方です。
これは、マレーシアの首相であるナシブ・トゥン・ラザック氏により、2010年に提唱されました。
多様化する民族間の融合や国家の結束を提唱しており、このロゴマークはマレーシア内の、バス停、電車等で多くみられる事が出来ます。
画像基:1マレーシア 公式HP
【ワン・マレーシア診療所】
2010年から始まった低所得者に向けた診療所。
マレーシア国民に対して、風邪や生活習慣病、軽度の怪我であれば、1リンギットの受診量で医療手当が受ける事ができます。
【ワン・マレーシアストア】
低所得者向けに低価格の日用雑貨や食料品を提供する事をメインとしています。
1-1-2.観光客
マレーシアの観光客数は2013年度は前年比2.7%増の2,572万人となってます。
これによる観光収入は650億4,000万リンギット(約2兆1,581億円 1リンギット=32.9円)です。
ちなみに、日本は2013年度 約1兆6,149億円ですから、約1.3倍ですね。
※情報基:international tourism receipts
観光客数は毎年増えており、マレーシア観光省によると2010年にマレーシア・トランスフォーメーション・プランという観光対策計画で、2020年を目標年とする10年計画として、3,600万人の観光客の誘致と1,680億リンギットの観光収入を獲得すると公開しています。
2013年度でも人気の高いクアンラルプールでのホテル稼働率は約70%となっており、またマレーシア国内平均でも62.6%となっています。ちなみに日本は全国平均51.2%です。
観光客の約60%は休暇を目的としており旅行時支出の約30%はショッピングと言われています。
この背景にあるのは、チェーン店、ショッピングモール等の近代的店舗の増加です。
Jetroによる流通事情調査によると2010年度には既に小売店全体の50%がチェーン店、ショッピングモールのような近代的店舗に移行しています。
ただ、私たちもマレーシアバイヤーとの交渉時に経験をしていますが、近代的店舗の増加により日本商品を陳列する際に高額のリスティングフィー(棚上げ費用のようなもの)を、要求される等、日本企業の展開においての課題もあります。
観光対策計画の中で今年に入りマレーシア政府は観光キャンペーン『Visit malyaisia 2014』を行いました。
企業融資の需要増や観光誘致のためにスポーツイベント、世界的ミュージカルの誘致をおこない、外需の獲得に対して積極的な活動を行っています。
特に、高所得者を狙って行っていることも、特徴です。
この延長線上にある目的として、外国人に『MM2H』を推進する事です。
『MM2H』とは、マレーシアにセカンドホームを誘致するという施策であり、マレーシアと国交がある国に限定され、経済面で制限がありますが、年齢や宗教関係なく10年間の長期滞在ビザが発行されます。
今後、展開する日本企業はマレーシアに対して様々な国から移住、観光に訪れる人は増えると予測されている事も認識する必要があると思います。
1-2.マレーシア人の生活習慣
1-2-1.食文化について
食文化についても民族により、大きく異なります。
[マレー系]
豚、アルコールは摂取しません。
また、ハラル認証が取得されていない精肉、食品、レストランを避ける事が多いです。
[中華系]
中国本土、日本でも見られる中華料理が多くありますが、地元の食材や他文化の影響で変化した料理も存在します。
[インド系]
インド系マレーシア人は、ヒンドゥー教徒が多いですが、牛肉は食べず、菜食主義者が多いです。
ちなみに、レストランでも菜食主義者用のメニューがある。
1-2-2.増加する生活習慣病患者
マレーシアでは糖尿病患者が急激に伸びている地域でもあります。
2012年度 Jetroの調査によると、2011年度までの5年間で100万人以上増えており、計算すると国民の約5人に1人が糖尿病にかかっている割合です。
この割合は、日本とほぼ同じでありマレーシアの国として様々な対策を行っています。
2012年度からは保健省の発表で、マレーシア食品製造連合に登録している、68の会社が、製品のパッケージにカロリー値を表示する事を承認しており、マレーシア保健省大臣は2011年度に11の食品に対して塩分の減量を定めています。
2012年以降もケチャップ、ソース、ビスケット、インスタントスープ等の5つ以上の食品に対して、塩分減量を定めているほどです。
そして、この影響は、ビジネスにも反映されています。
肥満人口が増える事によって百貨店では肥満の客専門の洋服を取り扱うこともあります。
【クアンラルプールの百貨店】
2.日本企業が多く進出をしている大きな理由である〔親日なマレーシアの国民性〕
2-1.親日な理由とそれによった効果。
・マレーシア国の独立支援を行った。
・アジア金融危機で絶体絶命に陥ったマレーシア経済を日本がお金を出して救ってくれた。
・日本の集団主義と勤労倫理を学ぶ政策である、ルックイースト政策の実施。
世界で歴史認識が同一でないという事は言わずもがなだがですが、マレーシア国民は日本人に対して有効な印象を持っている事が多いです。
いくつか、日本文化商品の事例を紹介します。
【日本のファッション雑誌】
シンガポール、インドネシアでは日本のファッション雑誌は特定の書店にしか置いてありませんが、マレーシアではコンビニエンスストアに並べられており、買いやすい環境があります。
なので結果として、その雑誌に掲載されている商品の宣伝になってもいます。
【日本を意識したショッピングモール】
クアンラルプールにあるfahrenheit88では『パラカマヤ』という日本を含めた、アジア文化を強調する店舗があります。
日本の企業のパルコがプロデュースをしており、ここでは日本のゲームセンターやガチャガチャ、化粧品、アニメグッヅが置かれています。
ショップ店員に話を聞いたところ、『日本商品に対しては信頼出来る。ただ少し高いね。』と、品質に対する評価は高いが、価格に対しての評価は厳しいです。
また、100円ショップでお馴染みのダイソー商品に対する評価が高く『安く、品質が良い!』と絶賛しています。企業バイヤーとの商談の際にも『この商品はダイソーと何が違う?』と比較されるケースが多く、生活雑貨を取り扱う日本企業にとっては、差別化が出来る商品と説明が必要だと感じました。
2-2.日本企業の知的財産や技術を守る環境が出来ている。
日本の知的財産や技術を守る特許審査ハイウェイが2014年より開始されてます。
これにより、日本で特許の出願について判断されたものであれば、簡易的な手続きでマレーシアでも、早期の権利化が可能す。
3.マレーシア進出するために抑える2つの開拓方法。
3-1.通信販売・メディア媒体を利用する展開
インターネットの普及率が66.97%(アジアの中で6位)と高く、携帯電話普及率ではすでに100%を超えています。
※情報基:2013年度ITU – ICT Statistics
また、SNSの利用ではFacebook 上での1人当たり平均友人登録者数が世界で一番多くFacebook、Twitter、Tagged が多く活用されている事も特徴です。
この背景には、ブロードバンド普及率約 55.6%、都市部にはネットカフェが多い事など、インターネット環境が整備されている事です。
マレーシアの最大手オークションサイトLelongでは、月当たり1,000万リンギット以上の取引が行われていると言われており、月当たり3,500万以上の商品ページビューがあることが売りとなっています。
※情報基:2012年度 Jetro
2012年には日本大手ECサイトの楽天も進出しています。
PayPal等の決済ツールの普及、交通インフラの整備がこの市場を活性化しており、日本の大手流通業のクロネコヤマトも現地に法人を持っています。
このようなインターネットを利用する展開は、マレーシアで『顧客候補を増やす』『販売機会を増加する』に対しては有効な手段であると思います。
3-2.日系小売店からの展開
香港市場でも言える事だが、マレーシアに展開するイオン等、日系小売店への提案活動も有効と考えている企業がおおいです。。
このような大手日系小売店が日本商品の展開に対して、大きく貢献されており、現地の方と話すと『日本商品を簡単に買えるようになった』、『日本商品を知るきっかけになった』という声をよく聞きます。
また、下記企業はマレーシアに進出している日本小売企業です。
4.まとめ
マレーシアは、内需市場が成長し、輸入額が増えており、親日な文化と日本の知的財産、技術を守る環境があります。
そして、インターネット普及率が高く、SNS等の媒体を使う事で広範囲にアプローチできます。
付加価値が差別化になる日本商品を国の政策として守ってくれる環境がある国であり、日本企業の『展開のしやすさ』を優先すると進出有力候補であると言えます。
ただ、多様な民族構成と文化があり、ニーズは民族によって異なることも認識する必要があります。なので、私たちは『マレーシア向けの商品』をきちんと作る事が有効な手段だと感じています。