海外でも賛否両論?日本と世界の女性専用車両について

海外でも賛否両論?日本と世界の女性専用車両について

特に朝の通勤で電車を利用する際には、自然と意識している方も多いであろう女性専用車両。
2000年初頭にに本格的に導入されてから数十年、良い意見も悪い意見も出されてきましたが、最近は多様性の視点から再び議論が活発になってきていますよね。

さて、そんな女性専用車両ですが、日本以外でも見られるシステムなのでしょうか?
このシステムに馴染みのない海外の方は、どのような意見を持っているのでしょうか?
世界の事例を見ながら、その考え方について触れていきましょう。

海外の女性専用車両事情

実はこの女性専用車両は、決して日本だけのシステムではありません。
例えば、男女の同席を避けるべきという宗教上の理由から、男女別車両を設置している国があります。イスラム教やヒンドゥー教を信仰する、パキスタンやイランといった国々です。
また、日本と同じように電車内の犯罪防止対策の意味合いなど、女性の強い要望から導入した国も少なくありません。インドやフィリピンなどの同じアジア諸国や、ブラジルやロシアといった国々でも女性専用車に類似したシステムを採用しています。

知らなかったという方もいらっしゃるかもしれませんが、女性専用車両に乗車できるのは女性だけではありません。
JR東日本では、「小学生以下の男の子、お身体の不自由な方とその介助者の男性」も利用できると規定しています。
先述した女性専用車を導入している国の中にも、このように女性に限定しないような規定をしている場合があります。
優先席の車両版といったところでしょうか。

一方で、試験導入したものの撤廃した国もあります。アメリカやイギリスといった欧米の国々です。
再び導入を求める声もありますが、男女平等の視点や法律との兼ね合いで、現状復活の予定はないようです。

海外の反応

調べてわかったことですが、日本と世界で女性専用車両に対する考え方はそれほど大差ありません。
というのも、個人によって「犯罪の対策になる」「双方が安心して快適に電車に乗れる」という賛成意見と、「男女差別とも捉えられる」「むしろ専用車両の方がストレスを感じる」という反対意見に分かれるのは、どの国・地域の文化や考え方でも変わらないからです。

しかし、日本の女性専用車両が海外でも話題に上がるほど注目されているのは事実で、その理由には女性専用車を設置した背景と有効性への期待が挙げられると考えられます。

そもそも日本は他国から驚かれるほどの満員乗車が当たり前の光景で、電車内の犯罪の発生を防ぎにくい環境とも言えます。それがあまり大事に捉えられず、日常茶飯事だと思っている方もいるかもしれません。事実、「日本は痴漢が多い」「外国でもCHIKANで通じる」といった声が多く見受けられました。
女性専用車両がどの程度貢献しているかはわかりませんが、こうした犯罪は年々減少傾向にあります。賛否両論ではありつつも、これまで女性専用車両が大々的に撤廃されたことがない事実からある程度うまく機能しているのではないか、という視点で世界から注目されているのではないでしょうか。

海外の電車内の犯罪対策

余談になりますが、女性専用車両を導入していない国ではどのように電車内の犯罪を防止しているのでしょうか。

電車内の犯罪、痴漢で大きな問題となるのは、被害者の泣き寝入りと冤罪のリスクです。
ピーク時にはかなり混雑するというイギリスのロンドンの地下鉄では、至るところに監視カメラが設置されており、「いつも誰かが見ている」状況を作り出しています。
仮に痴漢が発生したとしても、特別な専門チームが被害者に寄り添った捜査と監視カメラの記録を基に、正確な犯人の特定を行っているとのことです。
それによって、被害者の泣き寝入りはもちろん、冤罪のリスクまでなくしているのです。

男性専用車両の登場?

電車内の犯罪を含め、何か不快な思いをした経験があるのは女性だけではありません。
女性専用車両の一番の論点である「男女平等」という点では、近年日本でも動きがありました。
2023年の11月の一定時間内に、都電荒川線の特定区間内で男性専用車両が貸し切りで運行されたのです。
今回はイベントという枠を出ませんでしたが、これまで提案が否決されるなど実際に運行されたことはないため、初の大掛かりな試みとも言えるでしょう。
参加者は、男性も犯罪を受けうるのに被害を被害と認めてもらえない状況や、男性専用車両があることで女性も安心できるのではないかという意見を発信していました。

未だ国内外で賛否両論となる女性専用車両。
みなさんもご自身なりの意見があるとは思いますが、忘れてはいけないのは、安心して快適に電車を利用できるのが誰もが望む理想的な状態だということです。
男女という性別だけでなく、お年寄りや子ども、何かしらのハンディキャップを持つ人と持たない人、といった様々なセグメントも考慮された、より良い生活が送れる未来を創っていきたいですね。

日本と世界の鉄道文化に関しては、以下の記事でもまた違った視点からご紹介しています。
興味のある方はぜひこちらもご覧ください!

#これって日本だけ? 日本と海外の違いを鉄道の遅延証明書から考える

参考文献
・東洋経済ONLINE, 「英国地下鉄、日本と違う「痴漢冤罪」への対応」, 2017年7月20日更新, https://toyokeizai.net/articles/-/181023?page=3
・YAHOO!JAPANニュース, 「都電で「男性専用車両」運行、「弱い男性を認めてほしい」「女性支援を否定しない」乗客の希望を乗せた40分間」, 2023年11月18日更新, https://news.yahoo.co.jp/articles/50a1d20a7a287b1a1932216accbe4b307d5a2426

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