輸出後の消費税還付を受ける条件と申請手続きまとめ

輸出後の消費税還付を受ける条件と申請手続きまとめ

この記事は2017年3月9日に更新されました。

消費税は、条件によって戻ってくることがあります。例を挙げるとあなたもご存知の通り、所得税に対する確定申告というものがありますよね?貿易取引時にも消費税還付という形でお金が戻ってくるのです。
消費税は「預かった消費税」から「支払った消費税」を差引いて計算しますので、「預かった消費税」よりも「支払った消費税」の方が大きければ、差し引きがマイナスになる、つまり支払超過ということで、そのマイナス分が還付されることになります。

1:輸出後の消費税還付とは何か?

消費税還付は、輸出をした際に受けられる還付です。輸出した商品を仕入する際には消費税を支払っていますが、輸出する商品の代金に消費税を上乗せすることはできません。そのため、仕入代金や仕入にかかった経費分の消費税が税務署から還付されるのです。
基本事項として、消費税の還付をうけるためには、原則課税方式で消費税を納付することが条件です。

原則課税とは、年間を通してもらった消費税(課税売上高)から支払った消費税を差し引いて計算する方式です。

一方で、簡易課税というのは年間の課税売上高が5,000万円以下の中小企業のみに認められた課税方式です。簡易課税では、支払った消費税額を正確に計算するのではなく、課税売上高に対して仕入れ額の割合を一定のものとみなして支払った消費税額を算出します。

たとえば、卸売業では課税売上高の90%が仕入れ額であるとみなすといったように、業種別に仕入れ率が決まっています。この方式を適用したい場合は、事前に「消費税簡易課税制度選択届出手続」を提出しておく必要があります。

出典: MFクラウド

1-1:消費税還付の仕組み解説

還付を受けることができるのは、消費税の申告をしている課税事業者のみになります。免税事業者は還付を受けることはできないので注意しましょう。

課税事業者とは、前々年の課税売上が1,000万円を超える個人事業者、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える法人のことをさし、それに該当すると消費税を納める義務があります。

免税事業者とは、前々年の課税売上が1,000万円以下の個人事業者もしくは法人のことをさし、消費税の納税の義務はありません。

なお、事業開始からまだ1年経っていない法人の場合は、12ヶ月継続した場合の課税売上高を計算します。この計算は単純に月の売上高を計算し、12ヶ月換算した数値で、1,000万円を超えるか否かで判断されます。
また、還付を受けるためには原則課税で計算しなくてはなりません。簡易課税を選択していれば還付されないので注意が必要です。
出典:MFクラウド

国内の卸売業者から商品を仕入れると、その卸売業者に仕入代金と消費税を支払うことになります。それを国内で販売する際には、消費税を上乗せした価格で販売できるため、最終的に消費者が消費税を負担することになります。しかし、輸出をする場合には、海外の輸入業者に消費者分を負担させることはできません。消費税は国内の取引にのみかかる税金であるためです。このことから、輸出をすると仕入の際に支払った消費税を輸出業者が負担することになってしまいます。それを税務署が還付する制度が消費税還付です。実際に消費税還付を受けるには、所定の手続きを行う必要があります。

1-2:必要準備物・輸出許可書

輸出許可証 セカイコネクト
*実際に弊社で使用した輸出許可証

・輸出許可書
貨物を輸出する際には、インボイスパッキングリストで作成された輸出許可書が必要になります。輸出許可書は、税関に申請を出すことで発行してもらうことが可能です。申請を行う際には、輸出しようとしている品物の種類や数量なども申告しなければなりません。この輸出許可書の申請手続きは、通関業者に委託して行うことが多いです。申請が通ると輸出許可書に印鑑が押されて返却されます。消費税還付を受ける際に、この印鑑が押された輸出許可書が必要になります。

・帳簿書類

輸出をする品物を国内の業者から仕入れた場合には、納品書や領収書などが手元に残るでしょう。これらの書類が、消費税をいったん支払ったという証明になるので必ず保管しておかなければなりません。原材料を国内業者から仕入れて、それを加工した物を輸出する場合に関しても同様です。また、形のある物品ではなくサービスやデータなどを輸出する企業もあるでしょう。そのような場合に関しても、データの作成やサービスの提供に必要な費用を国内業者に支払った場合には、領収書などを保管しておく必要があります。さらに、輸出するにあたって、広告宣伝費を支出した場合や接待などを行った場合にも、それらの費用にかかる消費税が還付されます。事務用品などの消耗品に関しても、輸出取引にかかる分だと明確に区別できる分に関しては、対象にすることができるのです。これらの支出にかかる領収書などを、一般経費の領収書とは区別して保管しておくと、手続きをスムーズに済ませることができます。

2:申請フロー

輸出許可書と仕入や必要書類の納品書や領収書を保管しておき、消費税の確定申告をするという流れです。申告内容に不備がなければ、所轄税務署から消費税還付金が振り込まれます。受取は、確定申告のときに指定することによって口座への振込による方法か郵便局にて受け取る方法を選択することができます。また、還付金の支払手続きには1ヶ月から1.5ヶ月程度かかりますので期間も把握しておきましょう。

実際に消費税還付があった例が下記になります。

売上 3,240万円(税込)→預かった消費税 240万円
仕入 2,160万円(税込)→支払った消費税 160万円
設備投資 1,620万円(税込)→支払った消費税 120万円
預かった消費税 240万円-支払った消費税(160万円+120万円)=−40万円
40万円が還付されます。

出典:MFクラウド

2-1:輸出許可の申請手続き

委託通関業者に輸出許可の申請の手続きを委託します。どこの国へどんな商品をどのくらい輸出するのかを、通関業者の人に明確に伝えておきましょう。申請が通ると、押印された輸出許可書が返却されるため、これを大切に保管しておきます。

2-2:納品書や領収書の保管・整理

輸出をするために仕入れた商品や原材料の納品書や領収書を保管して整理しておきます。消費税を支払ったという証明になるため、かなり重要な書類です。仕入以外の経費に関しては、輸出をするために支出した費用がある場合には、その分の消費税を還付してもらうことができます。輸出と国内での販売の両方を行っている業者の場合には、輸出取引にかかる物のみが対象です。領収書や納品書は税務調査などの際に提示を求められることがあるため、7年間保管しておかなければなりません。

2-3:消費税の確定申告書を作成

消費税の確定申告書を作成して輸出許可書と一緒に管轄税務署に提出します。

還付を受けるには「仕入控除額に関する明細書」「課税売上高割合・控除対象仕入額等の計算書」も併せて提出する必要があります。提出期限は、法人なら課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内です。個人事業主の場合には、翌年の3月末日までと、かなり長めになっています。

3:まとめ

今回は輸出後の消費財還付についてご説明しましたが、いかがだったでしょうか?海外との貿易取引において消費税還付は非常に重要な項目となりますのでしっかりと理解しておきましょう。

消費税還付のポイントをまとめると下記になります。

(1)還付を受けることができるのは、消費税の申告をしている課税事業者のみ

(2)税関に申請を出すことで発行してもらう輸出許可書が必要

(3)消費税を支払った証明になるので納品書や領収書は保管しておく

(4)消費税の確定申告書を作成して輸出許可書と一緒に管轄税務署に提出

(5)還付金の支払手続きには1ヶ月から1.5ヶ月程度かかる
これらのポイントを抑えることで消費税還付を受けられることでしょう。取引額によっては戻ってくる額が多くなったりもするので是非活用してください。

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