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ベンチャーブーム?世界から見た日本の起業力を解剖

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ドローンや人工知能、再生可能エネルギーといった新技術や、シェアリングエコノミーといった新しい文化の後押しを受けて、ベンチャー企業への投資が増加しています。

ビジネスチャンスが増えている今、ベンチャー起業は増えていくのでしょうか?

現在、日本のベンチャー企業の規模は世界的に見てどのくらいなのか?を確認した後に、日本人の「起業力」はどのくらいのものなのかを環境面や国民性といった観点から見ていく他、諸外国と比べた近年の開業数の推移、女性の起業や海外での起業についてまとめました。

「ユニコーン企業」から見る、日本と海外のベンチャー企業の規模の比較

ユニコーンという伝説上の生き物がいます。
誰もが聞いたことはあるけれど、めったに姿を見ることがない生き物として知られていますが、昨今、アメリカでこれに例えられているのはベンチャー企業。

非上場にも関わらず企業価値10億ドル(1,200億円)超えの企業がユニコーンと呼ばれています。

アメリカの調査会社、CBインサイツによれば、2016年10月末時点で176社の“ユニコーン企業“が全世界に散らばっていて、その企業価値の総額は65兆円以上とされています。

その代表的企業を企業価値の高い順に10社挙げると、以下のとおりです。

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ここに挙げた中でも、いくつかの企業は聞いたことがあるのではないでしょうか?
UberやSnapchatは使っているという人も多いかもしれませんね。

ユニコーン起業の数を国別に見ると、1位がアメリカ、2位が中国、3位がインドと続いており、その後はスウェーデン・ドイツ・イギリスなどが続いていきます。
では日本はどうかというと、実のところユニコーンと呼ばれるほどの規模の企業はほとんどありません。

唯一、メルカリ(評価額1042億円)が該当するのみです。

“予備軍”としては、下記の企業が該当します。

●スマートニュース・・・ネット記事の自動収集・閲覧アプリ

●エリーパワー・・・蓄電池メーカー

●スパイバー・・・人口の蜘蛛の糸を開発するメーカー

●フリー・・・クラウド会計ソフト

●DMM・・・ネット通販やビデオオンデマンド、ECなど運営

なぜ日本では、ユニコーン企業と呼ばれるようなベンチャー企業が育っていないのでしょうか?

その理由は2つあり、1つ目は「ベンチャー企業の大半がIPOを目指すこと」、2つ目が「革新的技術を持つベンチャーに対する社会的信用度が低いこと」が挙げられます。

そもそも、新商品や新技術に対する評価では時間がかかりがちであると言われる日本。

実績のない状態ではなかなか大規模な資金調達が難しいため、実績のある商品でコツコツ経営していき、IPOによって資金を獲得してから、やっと革新的な技術に取り掛かることが出来る…という状況です。

ベンチャー企業が自分の望むペースで発展していくことが難しく、どうしてもIPOを前提とした保守的な経営となってしまうことが、日本のベンチャー企業の成長が難しい要因の一つとされています。

しかしながら、近年「ベンチャー企業投資熱」が上がってきているとも言われています。

2012年に629億円だった調達額は2015年には1,658億円に増加。

伝統的企業発のイノベーションが少なくなり手詰まり感があった中で、フィンテック、ドローンといった新サービスや技術が相次いで注目されたことが投資を後押ししています。

今のところはまだベンチャーとして大きな企業となっているところは少ないようですが、これから起業したベンチャーに投資家の資金が流入し、10年後には日本からも「ユニコーン」と呼ばれる企業が多くなってくるのでしょうか?

次の項目は、現在の日本の「起業力」についてです。

環境面と国民性から見る、海外と比べた日本の「起業力」

<環境面から見た起業力>

まず、制度などの環境面から見ていきましょう。

世界銀行では毎年「Doing Business」という世界各国でのビジネスのしやすさをまとめた資料を発表しています。

その中には「Starting a Business」(起業のしやすさ)ランキングというものがあり、

◇ 起業までに必要な手続き
◇ 手続き開始から法人登記完了までの期間
◇ 最低資本金の額

といったことを指標として「起業のしやすさ」の格付けを行っています。

それによると日本のランキングは81位

2014年は120位だったので、そこから2年間で大幅に順位を上げたしたとはいえ、イギリス17位、韓国23位、フランス32位、アメリカ49位に比べると、まだまだ低いといえます。

<国民性から見た起業力>

次に、日本人自身がどれだけ起業志向を持っているかを見ていきましょう。

米国バブソン大学と英国ロンドン大学ビジネススクールの起業研究者達によって発表されている、GEM(グローバル・アントレプレナーシップ・モニター)は「起業家精神に関する調査」とも言われており、世界各国において以下のような設問で調査を実施し、各国の起業家の活動についての結果を公表しています。

「何らかの自営業、物品の販売業、サービス業等を含む新しいビジネスをはじめようとしていますか」
「雇用主のために通常の仕事の一環として、新しいビジネスや新しいベンチャーをはじめようとしていますか」
「現在、自営業、物品の販売業、サービス業等の会社のオーナーまたは共同経営者の1 人として経営に関与していますか」

などの設問から、起業家精神を測るものです。

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(出典:一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター掲載「平成25年度起業家精神に関する調査」)

これによれば日本の起業活動率は3.7%。調査を行った各国の中で下から2位となっています。

全体の傾向としては、

◇ 雇用の場の少ない後進国ではそもそも自分で働く場を作らないといけないので起業が活発になる
◇ 反対に先進国では雇われで生活することが出来るために起業する人は少なくなる

と分析されていますが、シンガポールやスウェーデン、オランダなどの先進国と比べても非常に低いことから、日本特有の問題もあるといえそうです。

日本において、起業の阻害要因となっているのは下記3つとされています。

1. 起業することのリスクが高く、安定性が求められる世の中ではそちらを選択する人が少ない
2. 雇用の流動性が低いので、優秀な人材は大企業に入社してそれっきりになることが多い
3. 企業勤めのサラリーマンに対して、起業家という身分への社会的信用・評価が高くない

特に3.の社会的評価については、下図にもある通り、諸外国に大きく差がついているというのが現状です。

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(出典:中小企業庁「中小企業白書2014年度版」)

今後の課題としては、雇用の流動化を促す施策や、教育機関での起業家育成を狙ったカリキュラムの充実などが挙げられますが、何より革新的技術や商品および、それをもたらす起業家に対する社会の目を改善していかなければいけないのかもしれません。

開廃業率から見る、日本と海外の起業数の推移

ここまでで、

◇ 海外と比べると、日本人にとって「起業」はハードルが高い
◇ 現在のところ起業活動率は低く、起業に向けて動いている人も比較的少ない

といった話をお伝えしてきましたが、これは今までもそうだったのでしょうか?

それを知るために、開廃業率(一定期間中に新規開業・廃業した事業所数の年平均を、その期間のはじめの総事業所数で割った比率)の推移を見ていきましょう。

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(出典:中小企業庁「中小企業白書2014年度版」)
※各国によってデータが出ている期間にばらつきがあるため、まとまったデータが出ているものとして、2012年までのデータを引用しています

これを見ていくと、日本は開業率にほとんど大きな変化はないことがわかります。

開業率は1950年~60年代は13%近くと非常に高かったものの、その後経済成長が落ち着くにつれて鈍化。
低くなった開業率を上げることは政府としても課題として認識していて、1980年以降、政府からはさまざまな創業支援策が行われました。

エンジェル税制(ベンチャー企業に個人投資家が投資を行った場合、課税上の特例が設けられ優遇される制度)
最低資本金規制特例(会社設立後5年以内までに資本金を準備すれば良いとしたもの)※後に規制そのものの廃止

このような制度はある程度認知度もあり、利用している企業も多いものの、なかなか開業率へのインパクトが出ていないということは、元より起業するつもりであった層によって利用されているものの、起業を迷っている・起業を考えていない層の考えを変えるまでには影響を及ぼしていないと考えられます。

フランスでは2009年1月に「個人事業主制度」という、起業した場合税金や社会保障費が一定期間優遇されるという制度が導入されました。
インターネットでの簡単な登録作業で会社設立が可能になったということもあって、失業者やサラリーマンによる起業が促されました。

2009年だけで前年比75%増の58万社が新たに起業され、開業率の爆発的な増加に繋がっています。
同時に廃業率も上がっているとはいえ、開業率は常に2%以上、上を行っていきます。
開廃業率共にそれほど差異のない諸外国とくらべ、大きな変化を付けた改革だったと言えます。

日本でもこのような起業によるメリットを大きくする制度、あるいは起業によるリスクを低減させる制度の拡充が求められていると言えるでしょう。

日本のベンチャー企業の現状:女性の創業の高まりと、海外への進出

ここまででお伝えした通り、日本人の起業は海外と比べればそう多くなく、起業数も増えていない傾向にあります。

そんな中でも、独自の視点を活かして起業を進める起業家や、海外進出を狙う起業家も居ます。

<女性の創業の高まり>

特に、宿泊業、飲食業、介護事業、教育関連など、サービス関連行を中心に女性の起業は増えており、年間11%ほどの伸び率で「女性社長の会社」が生まれていっています。

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一般的に消費行動を決めるのは8割が女性と言われていますが、女性の需要を細かく把握できる女性起業家はその強みを活かした起業をするケースが多いようです。

また、企業勤めであるとどうしても昇進などの面で不利であると感じるキャリア志向の女性や、あるいは反対に、自分でやりたいことを興してワークライフバランスを保った生活を送りたいという女性も起業しています。

<そもそも海外で起業するというパターン>

2012年に創業された、アメリカのAnyPerkは新興企業向けに福利厚生のアウトソーシングサービスを提供する会社。

日本人の福山太郎氏らが創業者となって始まった会社ですが、今ではシリコンバレーで最も有名な日本人と言われるまでに成功しまいした。

AnyPerkのサービス内容は、社員一人あたり5~10ドルで、顧客企業の社員は毎月5~10ドルで、ケーブルテレビやモバイル料金、映画、ジム、レストランなどの割引サービスなどの400種類以上の福利厚生サービスを受けることができるというもの。
Pinterestなど、冒頭で挙げたユニコーン企業にも利用が広がっており、現在クライアントは数百社です。

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AnyPerkの創業者たちはアメリカのベンチャーキャピタル、Y Combinatorの支援を受けてビジネスを始めました。
Y Combinatorは起業塾といった形式で、優れたアイデアを持つ人物を受け入れ、起業に関するアドバイスを通して事業計画を立てさせ、12週間後の最終日にそれを発表する場を設けるものです。

この発表の場(デモデー)には多くのエンジェル投資家やジャーナリストが参加し、優れたプレゼンがあればその場で資金調達が可能なのですが、AnyPerkの創業者たちはこれに成功したことでアメリカでの起業を確実にしました。

革新的技術やサービスに対して貪欲な諸外国のベンチャーキャピタルにアピールするというのも、日本人起業家にとっての注目スべき道になっていくかもしれません。

まとめ

日本のベンチャー企業の起業について、いかがだったでしょうか。

まだまだ日本では環境として起業が難しい部分も多くありますが、ベンチャー企業であるという身軽さを武器に、日本のみならず海外での起業を目指しても良いかもしれません。

また、日本では起業する人が少ないといっても、未上場ベンチャー企業の資金調達額は年々増加しています。

先述の通り、2012年に629億円だった調達額は2015年には1,658億円に。
IPO企業数も、2009年の19社から2015年には92社まで増えています。

開業数が伸び悩む一方、ベンチャーキャピタルは資金を余らせた有力な投資先を探していると言われています。

追い風が吹いている状態ではあるので、むしろ起業する会社が少ない今こそ、抜きん出るチャンスと見るべきかもしれませんね。

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