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海外で働く「海外駐在」と「現地採用」の違いとメリット・デメリット

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日本企業の海外進出が活発化する中で、海外で働く人も増えています。

一概に「海外に働く人」といっても、日本企業の「海外駐在員」として派遣される人から、現地在住で日本企業に就職する「現地採用」の社員の人まで、別々の働き方があります。

今回は、その2種類の働き方に焦点を当てて、それぞれの特徴から、メリットやデメリット、働き方別に向いている人/向いていない人をまとめました。

1.増え続ける「海外在住日本人」

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まず見ていきたいのは、海外在住の日本人がどのくらいいるのかということ。

外務省は毎年「海外在留邦人数調査統計」というのを発表しているのですが、今年は9月27日に発表が行われました。

その最新情報を見ていくと、海外在留期間が3ヶ月を超え、いずれ日本に戻る予定の長期滞在者は859,994人。

全体の65%を占めています。

前年比26,903人の増加となりました。

在留期間三ヶ月未満の短期の駐在員などを含めると、さらに多い数字になることが予想されます。

当該在留国より永住権を認められ、生活の本拠を海外に移した永住者は457,084人、全体の35%です。

前年比20,596人の増加となっています。

合計すると1,317,078人近くの邦人が海外に出ていることになります。

海外在留邦人数は常に右肩上がりですが、その中でも永住者数の増加率より長期滞在者の増加率が上がりつつあり、これには企業の海外進出の活発化による駐在員とその家族の海外への移動が背景にあるものと考えられます。

今後も海外市場の拡大を背景に、日本企業の海外進出も進み、それに伴って商談を進めるためのビジネスマンや、現場を監督し教育するための技術者といった、幅広い人材の海外進出が加速するでしょう。

2.海外在住日本人の働き方:海外駐在と現地採用

年々増加する海外在留日本人ですが、ほとんどの日本人は海外で仕事をしています。
海外で仕事をするというと、

◇日本で雇用され海外に派遣する現地駐在員
◇日本から現地に渡航した後に現地法人で採用される現地採用社員

の、大きく分けて2通りの働き方が考えられます。

それぞれの形態の特徴を見ていきましょう。

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※企業によって異なる部分もありますが、参考までにご覧ください。

<所属>

海外駐在員 :日本法人で雇用された正社員となります。

現地採用社員 :現地法人・支社の募集に応えて雇用されている形です。

<給料>

海外駐在員 :日本と同等の給与に加えて海外分の給料も支給されます。

現地採用社員 :日本人であることは考慮されず、現地人社員同様の給料水準となることが多いと言われています。

<各種手当>

海外駐在員 :住宅手当などが付く場合があります。

現地採用社員 :企業にもよりますが、大方の場合特に手当は付きません。

<保険・年金>

海外駐在員 :日本国内で働く正社員同様に、企業によって加入された保険・年金が適用されます。

現地採用社員 :一般的に海外旅行費用傷害保険および国民年金に任意で加入することになります。

<待遇>

海外駐在員 :光熱費の負担、帰国旅費負担といった制度があります。

現地採用社員 :特にそのような制度はありません。

<自由度>

海外駐在員 :赴任先や仕事内容などは会社が決めるものなので、駐在員個人の自由は低いです。

現地採用社員 :どこで働くか、どう働くかといった働き方を自分で決めることが出来ます。

<役職>

海外駐在員 :管理職・マネージャークラスとして働く場合が大半です。

現地採用社員 :現地人社員よりは高い場合が多いですが、非管理職として勤務することになります。

<難易度>

海外駐在員 :採用されるにあたっての難易度は高いといえます。

現地採用社員 :比較的スキルや実績がなくても、現地採用の可能性はあります。

さて、こうして見ると駐在員に比べて現地採用は主に待遇面などで厳しい事が多いように思えますね。

次の項目では、具体的な「現地採用社員の話」も交えて、現地採用側の視点から、どのように待遇に格差があるのかを見ていきましょう。

3.現地採用社員の持つ不満

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現地採用されている/されていた方の話を聞いてみると、やはり海外駐在と現地採用で大きな差が存在するとのこと。

企業のほうで、駐在員と現地採用の日本人に手当や社会保障などの面で格差を設けている
駐在員のほうも、現地採用の日本人にサービス残業の強要や、家族の送迎を命じたりする

…という話もありました。

「東南アジアだと駐在員が2~3人しかいない拠点も多く、そのわりに1人の裁量が大きいため、天狗になってしまう人が多い。そのため、現採日本人に『俺は100メートルも歩かないから、車を出せ』だとか、『書類はメールで送りつけるな! 俺の席まで持参しろ』などと言って、使用人扱いする駐在員もいるにはいます」(食品メーカー元駐在員)

出典:『Business Journal』2013年2月12日

もちろん、本社・駐在員・現地採用の間で良好な関係が築かれていることもありますが、未だ多くの場合は、現地採用の日本人について企業側は単なるコストカット要因としてしか見ておらず、その意識が駐在員にも共有されて、軋轢や不満に繋がっている、という事例が発生しています。

雇用されている間の待遇も良くはないようですが、傷病時の保障や失業保険にも加入していないため、病気になったらすぐに失業、失業後の生活のための貯金がなければ日本に帰国するしか無い…という状況もあるようです。

かなり厳しい境遇といえる現地採用の日本人ですが、

◇国内で経験を積んでおり、いわばエリートであることが多く、本社所属である海外駐在員
◇比較的業務経験が少なく、あくまで現地法人所属である現地採用社員

この二者の間で、企業側が前者のような格差を設けるのは仕方がないのかもしれません。

しかしながら、現地人と同じ待遇で私生活での奉仕まで強要されることは説明できませんし、そのような境遇に関する不満が募ると仕事のパフォーマンスにも影響が出ることが考えられます。

実際、現地採用社員の声を聞いてみると、「現地人並の待遇で、日本人並の奉仕を要求される」という不満が根強いようでした。

駐在員にとっては、同じ文化的背景を持つ日本人ということで何かと細かな仕事を言いつけやすいという事もあるかもしれませんが、それであれば特別に手当を出すなどして、企業側からより円滑な関係を築けるような歩み寄りがあっても良いかもしれません。

ここまでで現地採用の日本人社員の声を紹介してきましたが、現地採用の現地人の声も紹介したいと思います。

日本企業の現地採用社員への待遇が悪いことは有名で、海外企業との人材獲得競争が行われる中で、日本企業は現地在住の日本人はおろか、現地人からも不人気となりつつあると言われています。

日経ビジネスの記事によれば、現地からはこのような意見が出ていました。

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▼そもそも新興国をなめている
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メキシコ、ベトナム、タイ、インドネシア、ブラジル、中国など12の国と地域を取材した結果、共通していたのは「一部の日本企業の問題は、優秀な人材まで安い給料で雇えると思っていること」という意見。

つまり日系企業が人材難に陥っているのは「ケチだから」ということ。

2014年の調査によると、日系企業の平均給与は外資系はもちろん、現地のローカル企業よりも安い状況が伺えます。

米国系企業は日的企業の3倍という統計もあります。

長いデフレで社員の給料を抑えてきた、という事情もありますが、どこかに「黙っていても新興国の人間は日本企業で働きたがるはず」という考えがあるのは事実です。

また、海外進出の際、安易に海外企業向け工業団地を選ぶ傾向が強いことも影響しています。各国から多くの企業が集まるため、どんなに人口増加国でも人手不足になるからです。

自分たちが“憧れの存在”ではなくなったことを自覚し、選んでもらえるよう、給与設定から進出地の選択、採用戦略まで国内以上に工夫することなしに、日本企業の「地球どこでも人手不足」解消は始まりません。

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▼採用・人事が差別的
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日本企業の人事・採用戦略の中には、グローバルでは倫理的に通用しない仕組みが少なくありません。「年齢差別」や、「性差別」、「国籍・身分差別」などです。その中でも外国の優秀な人材が気にするのが国籍差別です。

給与差だけでなく、現地社員には教育投資をしなかったり、トップレベルの大学を卒業したにもかかわらず、日本で開発したシステムのバグ修正ばかりやらされた、という人や、担当以外の分野の改善提案をしても「それは君の仕事ではない」と言われるなど、実際に多くの人が不満に感じています。

日系企業に勤める現地社員にはガラスの天井がある

海外でよく聞く言葉です。どんなに実績を残しても社長にはなれない、という意味で、現地採用社員の離職率上昇を招いています。

出典:『日経ビジネス』2015年9月7日号および、『日本の人事研究所』2015年10月2日

企業の根幹はヒト・モノ・カネであると言われていますが、ヒトの獲得競争に競り勝ち、より強い基盤を作り上げるためには、現地採用の日本人社員の待遇改善というより、現地採用社員全体の待遇の引き上げが必要になることでしょう。

全員一致の体制でビジネスを進める環境づくりのために、日本人だから良い待遇を受けている、現地採用だから悪い待遇になっている、などの軋轢を生まないためにも、国籍や雇用形態に依らない、同一労働同一賃金的な考え方に基づく労務管理体制の整備が望まれます。

ここまででは現地採用のデメリットが目立つ形ですが、現地採用だからこそできることもあります。

次はそちらを説明していきます。 

4.現地採用が向いている人はこんな人

・とにかく早く海外で働きたい人

会社勤めと違い、辞令を待つ必要がないので、自分が「今行かねば」と思ったタイミングで海外に行くことが出来ます。

時期を逃したくない、できるだけ早いうちから海外での経験を積みたいという人であれば、現地採用狙いはピッタリの進路と言えるでしょう。

・働く場所を自分で選びたい人

海外駐在員であれば、どこの国のどの場所で働くことになるのかを選ぶことはできません。

アジアの新興国で働きたいと思っていたけどオーストラリア勤務になった、という事や、海外生活に慣れて調子が出てきた頃に急に日本に戻されることになった、となる事も考えられます。

対して現地採用を狙うのであれば、自分が働きたい国で、その国の現地法人に雇われて働くことになるので、その自由が効きます。

・既に日本で就業経験のある人

日本国内で暫く働いた経験があり、基礎的な社会人のスキルを身に着けている人は、現地採用されるに当たっても有利と言えます。

外国での経験を長く積んだ人材でありながら、日本人としての考え方・働き方を備えた人材として、現地人スタッフと日本企業・駐在員の間の潤滑油のような役割が期待されるでしょう。

・海外企業での就職にも忌避感のない人

前項では日本企業における駐在員と現地採用社員の待遇の差を説明しましたが、欧米企業などではその差も少ないと言われています。

もし現地語のみならず英語・仏語・独語などの言語にも堪能であれば、日本企業以外での就職を検討してみても良いでしょう。

また、日本企業と取引することを狙っている現地企業に就職して立身出世を狙うという手もあるかもしれません。

5.海外駐在が向いている人はこんな人

・じっくりと日本で経験を積んでから海外進出したい人

海外進出するにしても、まずはビジネスの基本を身に着けてから。

そういう風に考える人は、まずは日本で就職し、海外駐在員として選ばれることを狙うほうが良いでしょう。

特に複数人のスタッフをまとめて動かすマネジメントの経験などは中々得られないものです。

慣れない海外で強い責任感が圧し掛かる海外駐在の仕事にあたっては、事前に管理系のスキルを習得しておくことが大きな助けになるはずです。

・様々な国で自分を試し、スキルを磨きたい人

海外駐在員は職種によっては(自分の意思に関わらず)数年ごとに別の国に転勤になる可能性もあります。

一国の環境にとらわれず、常に変化を歓迎し、柔軟性のある人材となることを目標とする人であれば、このような働き方も良いかもしれません。

現地採用社員は移動が自由なので、その点においては色々な国で働くこともできるのですが、多くの場合現地採用社員に求められるものは「その国で長く過ごした者としての知識と経験」なので、あまり一国にいる期間が短いと評価されない場合もあります。

そういう意味では、多くの国を転々としても評価に繋がる駐在員の働き方のほうが良いでしょう。

・規模の大きい仕事に関わりたい人

駐在員は現地採用社員に比べて、規模の大きい仕事を任されることになります。

特に、企業がはじめてその地域に進出するといった場合であれば、現地のスタッフをまとめあげて一からビジネスを作り上げていくことになります。

困難も多いですが、それだけやり甲斐もあり、達成できた暁にはそれだけの高い評価を得ることが出来るでしょう。

・ストレス耐性のある人

ここまでで駐在員は現地採用に比べ恵まれているという風に書いてきましたが、恵まれているだけ求められているものも大きいのが駐在員。

アジアの新興国の日本人駐在員の間で使われる(と言われる)合言葉に、OKYというものがあります。

これが何かと言うと「お前がここでやってみろ」の略語だそうで…

日本と商習慣も価値観も違う海外ではなかなか思い通りにビジネスが進みません。
そんな状況の中、なんとか成果に結びつけようとしていても、本社からは一方的に無理難題が押し付けられるだけ。

なかなか日本側にはその悩みを理解してくれる人もいないままに、現地の駐在員同士で交わされるのがOKY、というわけです。

待遇の良さや仕事のやりがいと同時に、厳しいストレスにも晒される海外駐在。

会社側もかなりのコストを掛けて駐在員を派遣しているだけに、日本にいる時の能力というよりも、環境の変化に耐えるだけの自信がある人こそが駐在員の第一条件なのかもしれません。

6.まとめ

海外駐在員と現地採用社員の違いについての記事、いかがだったでしょうか?

どちらも楽な部分・厳しい部分のある仕事になりますが、日本企業の海外進出は本格化したばかり。

今後、外国企業と競争が進む中で、労働環境は変わっていくことが予想されます。

どのような形で働くにしても共通するスキル、例えば語学力やマネジメント能力などを磨いて、今後の海外でのビジネスに備えるようにしましょう。

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