日本からセカイへ!努力の末の究極のグローバル展開

日本からセカイへ!努力の末の究極のグローバル展開

最近海外である食品が注目されているのをご存知ですか?

それは日本のコンビニや自動販売機などで販売されている「パンの缶詰」です。
日本人でもあまりピンとこない人も多いと思うのですが、非常に素晴らしい技術で作られており、まさに日本人特有の発想力から生まれた食品だったのです。

2009年3月16日、スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げでは、
このパンの缶詰が宇宙飛行士・若田光一さんと共に宇宙へ飛び
アメリカのNASAにも採用されたということで、さらに注目が集まっています。

なぜ生まれた?パンの缶詰誕生のきっかけ

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●株式会社 パン・アキモト
代表:代表取締役 秋元 義彦
資本金:3500万円
従業員:60人

株式会社パン・アキモト ホームページ
http://www.panakimoto.com/company/

パンの缶詰誕生のきっかけは日本史に残る大震災「阪神・淡路大震災」でした。

栃木県の那須塩原市にある「株式会社パン・アキモト」という会社が95年の阪神・淡路大震災の際に救援物資として焼きたてのパン約2,000個を神戸のキリスト教会を通じて被災地へ届け、非常に喜ばれました。

株式会社パン・アキモト代表取締役 秋元義彦はこの時を振り返って

非常時こそ おいしいパンを食べてもらいたいじゃないですか。

とTV番組カンブリア宮殿で語っています。

ですが、地震による混乱のため一部のパンが賞味期限切れなどで処分されてしまったことから”風味がなくならない長期保存ができるパン”の開発に乗り出したのでした。

長期保存でも美味しいパンの開発に着手

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高い保存性と美味しさを兼ね備えたパンを生み出すまでの道のりには、様々な問題を乗り越えなければなりませんでした。

まず、ぶつかった問題が「保存方法」です。

そもそもパンというのは長期保存に向いていない食材であり、真空パックにすると、開封したときに「ふっくらしたパン」には戻らず、瞬間冷凍も、解凍したとときの水分でグニョグニョになってしまいました。

保存方法で頭を悩ませている秋山さんがたまたま目にしたものが「缶詰」だったのです。

すぐさま缶詰にパンを詰めることにしました。

ところが”缶詰で保存“というひらめきは良かったものの、実際にやってみると雑菌が入ってしまい、食べるどころではなくなってしまったのです。

ここでぶつかった問題はパンの「殺菌方法」です。

一度焼いたパンを再び加熱すると大切な「風味」がなくなってしまいます。

悩んだ秋山さんは缶にパンの生地ごと入れて高温のオーブンで焼き上げ
粗熱がとれたらすぐにフタをする方法ならパンの風味を落とさないで済むのでは?
と考え、早速試してみることにしました。

秋山さんの理論は正しかったのだが、缶が冷めた時に内側に生じる結露により焼き上がったパンが台無しになってしまうのでした。

あともう一歩のところで上手くいかず、秋山さんは悩んでいました。

そんな時にふとインスピレーションを受けたのが、“障子”でした。

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和室でよく見られる障子は結露を抑える特殊な加工が紙になされているのです。

水分を吸収するこの紙を缶詰の内側に敷き詰めたら水分を抑えることができるのではないか?

と秋山さんはひらめきました。すぐに水を吸収する作用がある紙を取り寄せ、実験を行いました。

無数の試行錯誤の末、最終的に採用されたのが”エージレス(脱酸素剤)”というものでした。

これが缶の中身を無酸素状態にしてくれることで劣化を防ぎ、パンの焼きたての風味を出すことに成功したのでした。

焼きたてパンのように柔らかくておいしく、しかも乾パンのように保存性のある製品

という開発当初の目標を達成し新しい防災食としてマスコミなどでも多く取り上げられました。

様々な困難を乗り越え宇宙へ

保存性だけでなく、味の追及もするというスタンスは世界にも称賛され、日本、中国、米国、台湾で特許を取得しました。

さらに2001年には宇宙開発事業団関係者に「NASAに、このパンの缶詰を載せることはできないだろうか?」という提案を受け、
宇宙に持っていけるパンの缶詰」の開発が本格的に着手されたのでした。

当初は、NASAに非常においしいパンではあるが採用は難しいと言われていました。ですが、7年間改良を続けたことが功を制し、缶を開けた後の蓋で手や指を切らないような世界特許の技術も開発に成功、ついにNASAに採用されることになりました。

そして2009年にスペースシャトルのディスカバリーに日本の宇宙飛行士である若田光一さんと一緒に宇宙へ旅立ったのでした。

「救缶鳥」プロジェクト

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今では世界の震災や津波で被害を受けた都市の食料不足を解消するため、無料でパンの缶詰を送る「救缶鳥」プロジェクトという施策を行っています。

新しいパンの缶詰をそのまま被災地に送るのではなく、送るパンは製造から2年経ったものに限定しています。
しかも、企業や自治体などが備蓄用に購入したパンの缶詰を廃棄する前に回収して送るので無料で送っても赤字にならないのです。すでに1度販売しているので利益は出ているからです。

回収に同意してくれた企業や自治体には、次の購入時に割引サービスを適用し、回収した後も続けて購入してもらえるような工夫もしています。

「パン・アキモト」は無料でパンの缶詰を日本だけでなく世界中に送っているのにもかかわらず、黒字経営で大きく成長しているそうです。

人の役に立ちながらも利益を出している、これは企業として理想な形なのではないでしょうか。

まとめ

今回は長期保存を可能にしつつ味の質も落とさない日本の技術力と日本の食に対する繊細な部分が良い意味で調和して生まれたパンの缶詰をご紹介しました。

様々な課題をひらめきと行動で打開していった秋山さんは”日本から世界”へ展開したい方へ参考になるのではないでしょうか。

元々日本の食べ物というのは昔から海外の人々に受け入れられていて、和食は世界的ブームにまで発展しています。

細かいところまでこだわる日本人の繊細差や技術力が世界に受けた一つの良い例でしょう。
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