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ビジネスにも及ぶ「アジア人差別」はなぜなくならないのか。

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アジア人がヨーロッパなどの海外で受ける根強い差別。

実際に自分がその対象となるまでは想像しにくい問題かもしれませんが、事実としてそのような体験をされたと発言する方は多く居ます。

差別感情の背景にはどのような要素があるのか?それは今後解決されていくのか?といったことを解説した後に、アジア人同士での差別や、差別される側だけでなく、差別する側となることもある日本人の立場として、今後どう振る舞い、それをビジネスに結びつけるためにはどうすればいいのかをまとめました。

1.未だ根強く残るアジア人に対する差別問題

普段、日本で暮らしていると、日本人が差別される場に出くわすことはまず無いと言っていいでしょう。

日本においては日本人が多数派だからです。
ですので、海外で日本人が差別されることがあると聞いてもあまりしっくり来ないかもしれませんが、例えばサッカー選手の長谷部誠は目が細い、黄色、などと言われることがあったといいます。

また、テニス選手の錦織圭とコーチのマイケル・チャンは共にアジア人であることから差別的な扱いを受けることがありました。

「錦織がサーブを打とうとするたびに容赦なく汚い野次が飛び、ポイントを取るたびにブーイングの嵐が起きた。地元の声援で片付けるには、あまりにも理不尽でした。観客たちの頭には、アジア人に対する蔑視があったはずです」

そして、徐々に世界ランキングを上げていった昨年以降、そんなアジア人への「差別」は、さらに顕著になっていったという。

「『年間10回以上の抜き打ちドーピング検査や、早朝に検査担当者が自宅や宿泊先に突然現れたことがある』と錦織は言っていました。こんなもの、アジア人に対する嫌がらせ以外の何物でもありませんよ。クルム伊達公子も、深夜に抜き打ち検査を受け、激怒していましたからね」
出典:錦織圭とコーチ(マイケル・チャン)が受けた「人種差別」 よく耐えた、よく乗り越えた 全豪オープン、無念のベスト8 現代ビジネス [講談社]

幼少期を海外で過ごしたクリス松村、水嶋ヒロといった芸能人も、過酷ないじめ体験があったことを明かしています。
ミュージシャンのGACKTはパリのレストランで入口付近に座ったところ、奥に移動するように指示されたといいますし、旅行者からもレストラン関連のトラブル(注文を取りに来ない、トイレ近くなどの悪い席に通される)が報告されています。

フランスのテレビ局ではリオオリンピックに際して日本の体操選手を「小さなピカチュウたち」と揶揄し、解説者が批判を浴びました。

幾つか日本人が差別されるケースを取り上げましたが、例えば中国人も蔑視の対象になりやすく、スペイン語圏やイタリアなどではチーノ(中国という意味だが、“豚”や“汚い”を意味するコチーノとかけている事もある)と呼ばれることもあります。

東南アジア諸国の人間は、観光などでヨーロッパまで行く絶対数が少ないということもあって、まだ直接的な差別を受けることは少ないのですが、彼らにも今後そのようなことが起きるかもしれません。

このようにアジア人に対する差別は近年でも根強く残っているのですが、そもそもどのような理由があってアジア人が差別されるのでしょうか?

2.差別問題の背景

アジア人が差別されるのには、もちろん様々な理由がありますが、代表的と思われる要因を上げると、例えば以下のようなものがあります:

<宗教的理由>

キリスト教では日曜日が安息日とされており、収入を得るための労働などは避けられます。

今では普通に日曜日に営業するキリスト教徒の店舗・企業もあるのですが、以前は日曜日でも営業するところはユダヤ人や中国人の店であったので、現地文化に敬意を払わず不当な利益を得ているとして、良く見られないこともあったようです。
その頃の悪感情の名残が、現在の差別問題に影を落としている可能性があります。

<労働者にとっての脅威>

近代においては中国人移民や日本人移民が、特に北米や南米において安価な労働力として広まっていったことを背景として、労働者階級は東洋人排斥の姿勢に傾きました。

日本の自動車工業の躍進によるジャパン・バッシングなどは記憶に新しい例でしょう。
現代でも、東欧からの移民によって職を奪われるとして、西欧では東欧出身者は差別される傾向にあり、“生活に対する脅威”というものは、外国人を排斥する感情に繋がりやすいと言えます。

<歴史的理由>

太平洋戦争や植民地独立の後、征服者/被征服者という関係を脱して、学術や商業といった面で本格的な付き合いが始まったのは、歴史的に見てつい最近とも言えます。

アジア諸国の植民地化といったように白人側が征服者になった歴史がある一方、はるか昔まで遡れば、フンやモンゴルに脅かされてきたヨーロッパでは、黄色人種は外敵の象徴、自分たちの文明を滅ぼしかねない集団とされてきました。
そのようなイメージとも紐付いて、つい100年までは「黄禍論」といった黄色人種脅威論なども語られていました。

<文化的相違>

相手の国の習慣や文化への理解不足や、物事のとらえかたで“差別”が起きる場合もあります。

たとえばドレスコードの厳しいレストランなどでは、同じ西洋人に対してでも、それなりの身なりをした人間でなければ奥まった席に通され、場合によっては入店拒否される場合がありますが、例えばスリ対策として質素な格好をしている日本人が奥に通され、差別されたと感じるケースも。

<出る杭は打たれる>

特にこれといった理由はなく、ただ自分たちと顔の形や色が違い、言葉が流暢ではなく、変わった考え方をするから。

自分たちのコミュニティにはそぐわない、異質なものだから排除しようという考えです。
宗教的な差異や歴史上の紛争などに関してそれほど知識を持っていないはずの子どもが、外国出身の人間を差別する理由はここにあるのではないでしょうか。

5つほど差別問題の原因と考えられるものを挙げましたが、それではこのような感情は、今後どのように解決されていくのでしょうか?

3.差別問題はどう解決されていくのか

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差別の原因は相互理解の不十分さにあると言われることもあります。

幸いにも、ここ数十年でアジアとヨーロッパの繋がりは大きく改善されてきました。

世界中のビジネスマンが地球上をひっきりなしに移動して、相互に利益のある関係を作り出しています。

インターネット環境とSNSの普及によって外国人と個人的にやり取りをする機会も増えました。

過去の諍いを忘れた世代が増加し、先入観やしがらみに捕われない関係も築きやすくなるでしょう。

ヨーロッパ人からアジア人が受ける差別が緩和されていく一方、次はアジア人同士の差別や、アジア人からヨーロッパ人への差別に意識を向けるべきなのかもしれません。
以下はスリランカ出身の方が書かれた記事からの抜粋です:

私が日本で相手に「Japanese Only」と言われ、拒否された回数は、軽く三桁にのぼる。数年ほど前にも経験した。

大学の先輩と入った店での出来事である。席に通され、出されたおしぼりで手を拭いている最中に、店の奥から来られた店主に「新人の子が解らず入店させたが、実は店はJapanese Only」だと言われ退店させられ、精神的に深く傷ついたが、裁判を起こすほどのパワーもなく結局は堪えた。

日本には、「Japanese Only」を掲げる言動は問題であるという認識は社会全体として浸透しておらず、共有できていない。

訴えがあった場合において裁判で処理されているが、社会全体に対する啓発に至らず、ただただその場しのぎの印象は強く、日本社会全体の認識として蓄積され、成長につながっている気配はない。

浦和レッズの応援のため現場にいたほとんどの日本人は「Japanese Only」の幕に対し違和感を覚えず、無頓着だったことは、この社会の現状を表す何よりのバロメータである。

出典:にしゃんた ジャパニーズ・オンリー!(Japanese only!) 繰り返さないために。

このような事があると非常に残念だと思うのは、同様の印象を持つ外国人が増えれば増えるほど、日本が観光目的だけでなくビジネスの相手先としても魅力的ではない国になっていくという事です。

企業間のビジネスでも結局は個々人の繋がりになるので、いかに“日本で受け入れられた”と思ってもらえるかが、その後のビジネス関係に影響してくるはずです。

ここまでで意識のある差別の事例を紹介してきましたが、最後に、特に意識していなかった言葉を相手が差別と受け取る事例も紹介します。

ヨーロッパ人がアジア人から差別を受けた経験を紹介すると、こんな事がありました:

「目が大きい、鼻が高いと何度も言われた。外見的特徴を指摘されるのは好きじゃない」
「こんにちはと言っただけなのに、日本語が上手ですねと言われてうんざりする」
「今時、箸ぐらい使える人は多いが、会う人会う人に箸の使い方が上手いと言われる。イタリアに行って“ナイフとフォークの使い方が上手ですね”なんて言われたら、少し嫌な気持ちになりませんか?」

最初の二つに関しては他人からの伝聞で、下の一つに関しては実体験なのですが、恥ずかしながら、言われるまで全く失礼な事に気づいていませんでした。無意識で相手を不快にさせている可能性を考えるべきだったと反省しています。

4.今後日本人は差別問題にどう取り組んでいくべきなのか

2020年は東京でオリンピックが開催されます。

オリンピックは平和の祭典として、あらゆる国籍や人種の人々が日本に集まります。

現在、東京を始めとした大都市圏では、日本に来た外国人により快適に過ごしてもらえるよう、駅などのインフラにおける案内板の多言語表示や、IT技術によるガイドマッ
プアプリの開発、小売店などでの外国人店員採用・日本人店員への語学研修などが進んでいます。

外国人を受け入れる体制が整いつつある中で、多くのビジネスチャンスが生まれています。

差別に関して、人種問題以外の話を一つ紹介しますと、近年ニュースなどで取り上げられるLGBT問題があります。

LGBTとは性的少数者を指す用語なのですが、2014年末、国際オリンピック委員会では「オリンピック憲章に性的嗜好による差別禁止を盛り込む」旨を発表しました。

日本は諸外国と比べ、LGBTに対する理解や法整備などが進んでいないとされ、2020年に向けての課題の一つとされていますが、京都市にあるホテルグランヴィア京都は

LGBT顧客への対応に先進的であるとされ、口コミなどの影響もあって、欧州からの顧客が増加、年間に訪れる欧州からの宿泊者のうち1割をLGBTが占めています。

少し俗っぽい言い方になってしまうかもしれませんが、差別問題に対抗することはビジネスチャンスであるとも言えます。

差別というと難しい問題に思えますが、

お客様である外国人が、日本で感じる不便さや疎外感を取り除く

というふうに考えれば、取り組みやすいのではないでしょうか?

わざわざ海を超えて日本に来る方は、間違いなく日本に興味を持っている方です。
せっかく日本という商品に価値を感じてくれたお客様なので、最大限満足して帰って頂き、また来て頂けるようにしたいですね。

古今東西、商売によって得られる利益は人を動かして、社会構造を変化させてきました。

差別することもされることもない社会を目指すと同時に、ビジネス上での成功にも繋げられるよう、2020年とその先に向けて計画を立てていきましょう。

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