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ASEAN、南シナ海問題で亀裂

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我々日本を含めたアジア・東南アジア諸国ですが、南シナ問題により関係に亀裂が走っています。同じアジア圏として見過ごすことができないこの問題にフォーカスします。

1:ASEANと南シナ海問題とは?

ASEANとは東南アジア10カ国からなる東南アジア諸国連合(Association of South-East Asian Nations)のことです。

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出典:asenavi.com

1967年の「バンコク宣言」によって設立された連合組織で、ASEAN設立の目的としては

①地域の経済成長、社会・文化的発展の促進
②地域の政治・経済的安定の確保
③地域のさまざまな問題の解決

が挙げられています。

原加盟国は、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5カ国で、1984年にブルネイが加盟したのち、加盟国が順次増え、現在は前出6カ国に加え、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオスの10カ国で構成されています。
ですが同じアジア圏とはいえ、加盟国は政治や経済体制、民族、文化、宗教が多種多様であり、国際情勢の影響もあったため、当初からの目標であった10カ国の加盟「ASEAN10」を実現するまでには、設立から30年以上も要しました。

設立後ASEAN加盟国は互いに協力し合い、政治、安全保障、経済面などでの数多くの問題を解決し、1980年代以降には海外企業などの進出により「地域の成長センター」とも呼ばれるほどの発展を遂げ、今後の展開が世界各国から注目されています。

ところが今現在最も注目されているのが、南シナ海におけるASEANの緊張です。

中国が南シナ海の領有権を巡って中国と近隣諸国(特にベトナム・フィリピン)の対立が続いており、南シナ海は公海と主張する米国との間では軍事的な緊張が高まっています。

中国の主張

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出典:50秒ニュース

なぜ中国は多国を敵に回してまで南シナ海にこだわるのでしょうか?

中国の狙いの一つは”南シナ海を制することで海上貿易の要衝を支配すること“だと考えられます。

南シナ海は海上交通の要衝に位置する。

以下の国交省の資料によると、スエズ運河の年間交通量は17224隻、パナマ運河が13660隻となっている。一方、南シナ海を含むマラッカ海峡の交通量はなんと126619隻、スエズ・パナマのおよそ10倍弱の交通量である。

日本が輸入するエネルギー資源の70%以上がこの海域を通行しており、また同様に中国・韓国のエネルギー資源も大半がこの海域を通行する。

これは、この海域における軍事的優位を確立したものが、北東アジア3国の生殺与奪の権利を得ることを意味する。南シナ海を制することは、成長著しいアジア諸国と、世界2位3位の経済大国である日本・中国を制することに等しいのである。

(国交省資料 http://www.mlit.go.jp/common/001067837.pdf 参照)
(日本船主協会資料 http://www.jsanet.or.jp/data/pdf/shippingnow2016.pdf 参照)
出典:http://www.real-politics-exploration-circle.com/

次に”エネルギー・資源の見た南シナ海は中国にとって非常に魅力的“だと考えられます。

南シナ海には原油・天然ガスなどの莫大なエネルギー資源が眠っている。中国の石油業界団体が行った調査によると、南シナ海には約250億トン(=1750億バレル)もの原油が存在し、この量はカナダ・イラン・イラクなどの産油国に匹敵する量で、世界第3位の規模である。世界2位のサウジアラビアの埋蔵量が2600億バレルであることを考えても、その量の莫大さが分かるであろう。

14億の人口を抱え、圧倒的なエネルギー不足に悩む中国にとって、南シナ海のエネルギー資源はまさに垂涎の的である。中国の弱点であるエネルギー不足・エネルギー安全保障を克服することは、中国が世界の覇権国となるうえで必要不可欠であると、中国政府は考えているのである。

未開発のエネルギー資源の眠る南シナ海の領有権問題は、エネルギーを輸入に頼るアジア各国にとって絶対に譲れないものなのである。

出典:http://www.real-politics-exploration-circle.com/

軍事的に見ても南シナ海は都合の良い領域である“ことも理由の一つでしょう。

中国にとって、南シナ海は軍事面でも特別な意味を持っている。

中国がアメリカとの戦争を想定したとき、最も重要なのは相互の核戦力である。アメリカを完全に破壊できるだけの核戦力を保持して初めて、アメリカに対しての核抑止力を持つことになる。

軍事の世界では常識ではあるが、現在最も強力な核戦力というのは、潜水艦配備型の核ミサイル(SLBM)である。

地上固定型のミサイル発射基地や地上移動型の核ミサイルは、現代では軍事衛星によって簡単に捕捉されてしまう。そのため、仮に米中が全面戦争に陥った場合、アメリカが開戦と同時に中国のすべてのミサイル基地を破壊してしまえば、中国の核戦力は完全に無力化されてしまう。

しかし、潜水艦配備型のミサイルはそうはいかない。いったんある程度の深さまで潜ってしまえば、現代の科学技術では捕捉することができない。広大な南シナ海の制海権を得れば、そこに核ミサイルを配備した原子力潜水艦を自由に展開することができ、そこではじめてアメリカと対等な核抑止力を手に入れることになるのである。

したがって、中国にとって南シナ海の制海権は、アメリカと軍事面で覇権を争ううえで欠かせないものなのである。

出典:http://www.real-politics-exploration-circle.com/

ASEAN諸国の主張

南シナ海にある既存の島での建設や、埋め立てによる人工島の建設は、これまでおもにベトナムとフィリピンが何十年もおこなってきました。
ベトナムは現在21島、フィリピンは8島の領有権を主張しています。また台湾とフィリピンは、領有権を主張する島の一部に軍を留置させていますが、ベトナムはUNCLOS(国連海洋法条約)の規則に従って「浮島」には軍を置いていません。

中国は南シナ海での建設合戦には出遅れましたが、これまでにない規模で建設を進めており、過去1年半で中国はこれまでのどの国よりも多くの建設をおこなったと報じられています。ただ他の国の領域にまでも勝手に建物を建設し続けていることで反感を買っています。
それだけではなく中国は少なくとも短期間は人工島のひとつに兵器を配備しており、中国の当局者たちは、兵器配備をふたたび行う予定であると明言しています。さらに注目すべき点は、自国の主張を守るのに十分な軍艦を保有しているのは中国だけなのです。

つまり”中国が経済力や軍事力を盾に横暴なやり方で他国の領有権を勝手に主張し、近隣諸国がそれを認めない。“といった構図となっているのです。

2:ASEANの現状は

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buckyardofssl.seesaa.net

中国は今年5月31日まで3日間にわたって開かれたアジア安全保障会議と並行して、2国間競技を積極的に行い、南シナ海での人工島建設への批判の広まりを抑えようと努めました。しかし、一部加盟国が領有権で対立するASEAN側は明確な説明をしない中国に対して不信を募らせているのが現状です。

今年ASEANの議長国を務めるマレーシアのヒシャムディ国防省は5月30日の公演で「もし南シナ海の緊張が高まれば、私たちの時代で経験する最も致命的な紛争になる」と発言しています。2002年にASEANと中国が合意した「行動宣言」にも行動自粛が盛り込まれており、シンガポールのウン・エンヘン国防省は「守られていればそれだけで緊張は緩和する」と訴えました。

しかし南シナ海の領有権をめぐる常設仲裁裁判所による制定では、中国の南シナ海の90%に対する領有権の主張は法的根拠がないとし、以降中国のプロパガンダは激しい反撃に出ています。
国家主権者らは非難の矛先を、フィリピン、日本、米国に向けたがっており軍事力による威嚇はほぼ無害とはいえ、経済的な反動はすでに弱まっていた地域貿易に追い打ちをかけることになります。ほかの周辺国に対する中国の取引も減少し、ASEAN加盟国との間では、輸入・輸出とともに今年は約8%減少しています。中国はカンボジアなどの「親中派」に圧力をかけて分断工作を展開し、これまで目指していたASEAN全体での共同声明の実現は見込めないとされています。

3:今後どうなるかことが予測されるか

中国の王外相は南シナ海問題について「国際法に沿った平和的な問題解決」を追求するとしています。中国はASEANが求めてきた南シナ海における「行動規範」の策定を来年上半期までに完了するとしており、ASEAN側にも一定の配慮を見せています。海洋問題に関しては中国には足かせとなるトピックかもしれませんが、大国らしい姿勢で臨み、周辺国との関係改善を果たせば、中国自身の発展と平和構築にもつながり、また国際社会のより大きな信頼を得ることにもなるでしょう。

4:まとめ

今回知られていなかった南シナ海の重要性が明らかになったのではないでしょうか。南シナ海問題でASEAN分断の可能性が示唆されていますが、できる限り紛争を避けて平和的解決を求めます。ですが、そこに漬け込み主張してくる中国をASEANだけでなく世界全体で対応しなくてはならないのではないでしょうか。

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