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【解説】代理店契約と販売店契約って何が違うの?

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「中国の国内需要減少」で中国向け輸出について伸び悩んでいるが、依然として日本企業の海外進出は止まらない。

全ての企業に必ず共通していることは、国内マーケットだけでは不十分ということです。

ジェトロでは2015年11月~2016年1月にかけて、海外ビジネスに関心の高い日本企業を対象に実施したアンケート調査を約3,000社に対して実施した結果、日本の輸出拡大意欲は過去5年で最高となりました。

今後(3年程度)の輸出方針について、「輸出の拡大をさらに図る」企業が前年の66.2%から74.2%と過去5年間で最も高い比率に上昇、「新たに取り組みたい」(10.7%)企業とあわせると84.9%の企業が輸出拡大に積極的な姿勢を示した。輸出拡大の理由は「海外需要の増加」(73.8%)が最大であった。

海外拠点の経営の現地化(権限の委譲や現地人材の登用等)については、海外拠点を有する企業の48.4%が「現地化を一段と進める必要がある」と回答した。
出典:JETRO

このように海外進出のノウハウを自社で持っていれば自力で現地法人を設立したり、販路拡大という方法が取れるかもしれません。

ただ、海外進出が初めてという場合や、現地のノウハウが不足している場合、有力な販売網を持ち営業力のある現地企業と提携して販路を開拓するという方法が確実でしょう。

その形態の中には、さらに代理店契約販売店契約という2つの形態がありますが、それぞれの違いはご存知でしょうか?

今回の記事では、これらの特徴と、そこからわかるメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

代理店・販売店契約を利用することのメリット

代理店と販売店、それぞれの形態の特徴やメリット・デメリットを見ていく前に、まずはこの形態そのもののメリット・デメリットを説明します。

<メリット>

代理店・販売店のネットワークを活用できること

メリットはこの1点に尽きると言っても過言ではないでしょう。

多くの日本企業が海外進出をするにあたって、現地での情報や販売網、人脈などを持たない状態で始めることになります。現地人を雇っているから、その人に任せれば現地のことは多少なんとかなる…などと仰る方もいますが、現地人であっても、現地の人脈や商習慣に通じているとは限りません。

「担当者は現地生まれ現地育ち、日本の大学に通って日本の文化や商習慣を学びつつ、卒業後は現地企業で営業職・マーケティング職として8年の実務経験を積んでおりましたが、予てより日本企業での就職に興味を持っていたということで、このたび我々の海外進出担当者として迎え入れ、活躍してもらうことになりました」

…といった人物であれば任せられるかもしれませんが、逆を言えばこのような人物を抱えていないのであれば、代理店・販売店の力を借りるのが最善と言えるでしょう。

展開スピードを早められる他、展開地域を広げることもでき、現地視点から見て商品がより魅力的になるようなアドバイスなども仰ぐことができます。

<デメリット>

その一方で、デメリットもあります。

それは、ビジネスの成功をパートナーに大きく依存する形になってしまうこと

難しいのは、信頼できるパートナー探しです。代理店・販売店によってはあまり販路開拓に熱心ではないところもあり、そのような企業を避けて優良代理店・販売店を探すのには手間がかかります。

また、価格や販売方法が代理店・販売店任せになってしまうので、品質管理やや価格管理が難しくなり、しっかり管理しようとすればそれだけの人員と時間を割かなければいけません。

以上のことを踏まえて、「代理店契約」「販売店契約」の特徴を見ていきましょう。

代理店契約の特徴

代理店契約とは?

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代理店契約とは、メーカーが代理店となろうとする企業に対して、代理や媒介などの業務を定めて、商品の継続的な販売を委託するものです。

あくまで第三者として、売り主と顧客の仲立ちをする役割で、直接売り主から商品を購入することはありません。
商品について営業をして、売買契約へと仲介することまでが仕事になり、売買契約の結果に応じて手数料を受け取るという形になります。

基本的には、現地での販売活動によって生じた利益はすべて売り主にあり、同時に責任や損失、リスクも売り主にあります。
顧客から商品代金を回収できなくなったとしても、その責任は売り主にあり、代理店には無いということになります。

販売店契約と比べたメリット・デメリット

販売店契約と比べたデメリットはここで、売り主側でリスクを抱え込むことになることです。

また、販売店契約であれば販売店に直接商品を卸すことになるので、比較的少数の信頼できる会社との取引になるために回収リスクは低くなりますが、代理店契約であれば比較的多数の顧客と直接取引になるため、回収リスクの管理が難しくなります。

販売店と比べたメリットとしては、商品価格を売り主側で設定出来るということがあります。
国あるいは地域ごとに商品価格を統一して売り出したい場合などは、これが良い方向に働きます。

代理店契約する上での注意点

売り主は複数の代理店と契約を結ぶことができますが、ひとつの代理店にだけ独占的な権利を与えて、国または地域で排他的に活動することを認めた場合、その代理店は「総代理店」「独占代理店」などと呼ばれることになります。

現地での独占権は代理店の箔付けにつながる上、代理店としても経営する上での安心に繋がるために、代理店側からの求めに応じて設定されることが多いと言われています。

代理店としてはコストをかけて販売活動を行って、実績が上がってきた段階になって他社に横取りされたらたまらないので、最初から独占契約を求めるという事情があります。

注意しておきたいのは、売上が伸びなかった場合に別の代理店を探すことや、自社商品が現地に浸透した後に自社の直接販売をスタートすることも見越して、下記のような項目を事前に決めておくべきだということです。

①独占権の期間・国や地域の範囲・対象商品
②独占権解除の条件としての売上や最低購入量
③自社による直接販売の可否について

また、代理店とはいくつかの義務を取り決めておくことが一般的です。
たとえば、以下のようなものです。

①他社の同種の商品を取り扱わないようにする競業避止義務
②商品知識を備えてもらうための研修の受講の義務
③売上や営業活動などの状況に関する定期的な報告の義務
④広告宣伝活動、市場調査に関する協力の義務

上記のような取り決めについては必ず明確に文章化し、契約書という形で残しておくようにしましょう。

販売店契約の特徴

販売店契約とは?

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販売店契約とは、メーカーが販売店に直接商品を売却し、販売店側が責任を持って商品を販売するものです。

売り主から直接商品を購入し、自ら在庫を抱えて、顧客に販売するということが代理店と違う点です。
販売店は顧客からの代金回収のリスクや在庫を抱えるリスクを負う一方、商品の販売価格を設定することができます。

いわゆる「売り切り・買い切り」の取引になり、利益や損失、責任やリスクはすべて販売店に帰属することになります。
販売店側で在庫管理を行い、顧客からの代金回収のリスクも負うことになるということです。

販売店契約と比べたメリット・デメリット

代金回収のリスクを負わなくて良いというのは売り主にとって大きなメリットです。
また、販売店に商品を卸した時点で代金を回収できるので、販売店のぶんだけ信頼が担保できれば、各顧客ごとに信頼性を確認しなければいけない代理店形式に対して、代金回収リスクは小さくなります。

一方でデメリットも存在します。

それは売り主側で自由に価格を設定できないということ。
再販売価格を拘束することは独占禁止法に違反してしまうためです。

いわゆる「希望小売価格」として基準となる価格を設定することはできますが、最終的な裁量は販売店側にあります。

販売店契約する上での注意点

代理店契約と違い販売店は独立した立場にありますが、取扱商品の制限、最低販売量に関する義務、商品在庫をどちらが保有するか、補修部品やアフターサービスについて、といった内容を特約することもあります。
加えて、広告宣伝費の負担や、宣伝のための資料やPOPなどの制作に関しても別途取り決めすることがあります。
必要と思われる事項については事前に販売店側としっかりすり合わせて、明文化するようにしましょう。

代理店と同様に、販売店が独占販売店となる場合もあります。
その場合の注意点も代理店と同様となりますので、下記の項目を取り決めておくようにしましょう。

①独占権の期間・国や地域の範囲・対象商品
②独占権解除の条件としての売上や最低購入量
③自社による直接販売の可否について

また、代理店と違って販売店契約で注意しなければならないことの一つに、販売店側が在庫を抱えているということがあります。

契約終了時に在庫を投げ売りされ、ブランドイメージや商品価格の相場が下がってしまったというケースがありました。
このような事の無いよう、事前に契約書で契約終了時の在庫の取扱に関して取り決めておきましょう。

先述の通り、売り手側で再販売価格の決定はできず「最低いくら以上で販売すること」といった取り決めはできないため、在庫を卸値で引き取るといった内容が無難だと思われます。

最後に、これは代理店契約においても共通して言えることですが、代理店と販売店を混同しないようにしましょう。

日本では「販売代理店」「特約店」「系列店」といった言い方が使われることもあり、両者の区別が曖昧になっている場合もありますが、海外企業との契約において代理店(Agency)と販売店(Distributor)を勘違いしてしまった場合、先方が負うと思われていたリスク(顧客からの代金回収など)の義務を負うことになってしまいます。

業界によって用語が違う場合もあるので、契約を結ぶ際に両者の負う義務の範囲については明記し、確認するようにすることが重要です。

まとめ

海外展開にあたっての、代理店と販売店、それぞれの特徴やメリット・デメリットをお伝えした今回の記事、いかがだったでしょうか?

代理店と販売店の違いを改めて比較してみると、下記のようになります。

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代理店契約・販売店契約を結ぶ際のポイントとしては、以下の通りとなります。

売り主側としては、契約期間は短めで、中途解約や更新の拒絶が簡単な契約内容にしましょう。

代理店や販売店が思ったほどの実績を上げられなかったため、独占契約を解除したい場合や、後から手数料・卸価格を変更したい場合を想定するようにしましょう。
また、場合によっては代理店の営業活動が商品イメージ・企業イメージ的に良くない場合もあるため、そのようなトラブルも鑑みて契約期間は短めにしておくことが無難です。

反対に、代理店側・販売店側としては、契約期間は長めで中途解約や更新の拒絶が難しい契約内容にしましょう。

コストをかけて販売活動を続けて、実績が上がってきた段階で売り主(メーカー)が直接参入して全部奪われてしまった、という話もあります。
できるだけ掛けたコストを回収できるように、契約期間を長く取れるようにしましょう。

いずれにせよ、代理店契約・販売店契約を行う場合は、それぞれの義務やメリット・デメリットを理解した上で、契約終了時を見越して、できるだけ自社に有利な契約を結ぶことが重要です。

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